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第一章 今日中に契約を取ってこないとクビだ! (蒼side)
4.高級ホテルの一室で
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僕が会社へ戻ると営業二課のメンバーはとっくに定時は過ぎているというのにまだ仕事をしていた。
鬼塚課長の席まで歩いて行って、彼が取引先との電話を終えたタイミングで話しかけた。
「鬼塚課長、契約取れましたっ!」
「そうか、よかったな」
彼は手元の書類に視線を落としたまま返事した。
「15台、おまけに全て高機能モデルです」
そう言った瞬間、課長だけじゃなく、その場にいた全員が仕事の手を止めて僕の顔を見つめた。
驚いて当然だろう。入社してから半年間ずっと契約ゼロの僕が、1日にして15台も契約を取って来たのだから。
「すごいじゃないかっ、野々原。どうしたんだ?」
いつも怒鳴りつけてくる彼が僕の肩をパシパシと叩いた。
「いやぁ、お前ならやればできると思ったんだ」
「はあ、契約が取れた会社の名前は美……」
「ああ、会社名なんてどうでもいい。どんな会社だって契約取れればこっちのもんだからな。ほら、さっさと事務処理しろ」
僕は急いで机に向かった。21時からさっきの社長との約束があるし。
***
藤崎社長に指定された都内屈指の高級ホテルへ向かった。
借金苦のため、4畳半一間のボロアパートで質素に暮らしている僕にとって、こんな豪華な場所は場違いでなんだか落ち着かない。キョロキョロしているとラウンジに社長の姿を見つけた。
「藤崎社長、お待たせして申し訳ありません」
「ううん、俺も今来たところだよ。じゃあ行こうか」
てっきりホテルのカフェで話をするのかと思ったのに、社長は僕を連れてエレベーターで上の階へ向かった。新製品のテスターをしてほしいということだったけど、もしかして上の階のバーへ行くのだろうか。そう思っていたのに、連れてこられたのはなぜか客室だった。
「誰もいない静かな場所がよかったから、部屋を取っておいたんだ」
戸惑う僕に彼はなんてことないというふうにそう言った。
新製品のテスターのためにこんな高級ホテルの部屋を予約するなんて、やっぱり会社の社長となるとやることが違うんだなと僕は思った。
窓の向こうのキラキラと輝く都内の夜景が広がっていた。
「この部屋、なかなかいいでしょ? まず君の初めての契約を記念して何か飲もうか。シャンパンでいい?」
彼は冷蔵庫を開けてボトルを取り出した。
「え、あ、はいっ」
針金を緩めてポンと栓を開け、シュワシュワと気泡の弾ける淡い色の液体をグラスに注ぎ、僕に差し出した。
「契約、おめでとう。乾杯」
「あ、ありがとうございます、おかげさまですっ」
そう言えば、藤崎社長の会社、美麗クリエイションってどんなものを作っている会社で、僕は何のテスターをするんだろう。ここへ来るまでに調べておこうと思っていたのに、初めて契約が取れてバタバタしていたせいですっかり忘れてしまっていた。
「ところで、僕がテスターする新製品ってどんなものですか?」
藤崎社長は高級ブランドのビジネスバッグを開けた。
「じゃーん。これだよ」
にっこり笑った彼が差し出したのはピンク色のプラスチック製品だった。T字型の長い部分が場所により細くなったり太くなったりしていて緩やかにくねっている。
これは何に使うものだろうか? おしゃれなオブジェ? もしくはツボ押しアイテムだろうか?
「えっと……これって……?」
「大丈夫、俺に任せて。新製品だから使い方を教えてあげる」
鬼塚課長の席まで歩いて行って、彼が取引先との電話を終えたタイミングで話しかけた。
「鬼塚課長、契約取れましたっ!」
「そうか、よかったな」
彼は手元の書類に視線を落としたまま返事した。
「15台、おまけに全て高機能モデルです」
そう言った瞬間、課長だけじゃなく、その場にいた全員が仕事の手を止めて僕の顔を見つめた。
驚いて当然だろう。入社してから半年間ずっと契約ゼロの僕が、1日にして15台も契約を取って来たのだから。
「すごいじゃないかっ、野々原。どうしたんだ?」
いつも怒鳴りつけてくる彼が僕の肩をパシパシと叩いた。
「いやぁ、お前ならやればできると思ったんだ」
「はあ、契約が取れた会社の名前は美……」
「ああ、会社名なんてどうでもいい。どんな会社だって契約取れればこっちのもんだからな。ほら、さっさと事務処理しろ」
僕は急いで机に向かった。21時からさっきの社長との約束があるし。
***
藤崎社長に指定された都内屈指の高級ホテルへ向かった。
借金苦のため、4畳半一間のボロアパートで質素に暮らしている僕にとって、こんな豪華な場所は場違いでなんだか落ち着かない。キョロキョロしているとラウンジに社長の姿を見つけた。
「藤崎社長、お待たせして申し訳ありません」
「ううん、俺も今来たところだよ。じゃあ行こうか」
てっきりホテルのカフェで話をするのかと思ったのに、社長は僕を連れてエレベーターで上の階へ向かった。新製品のテスターをしてほしいということだったけど、もしかして上の階のバーへ行くのだろうか。そう思っていたのに、連れてこられたのはなぜか客室だった。
「誰もいない静かな場所がよかったから、部屋を取っておいたんだ」
戸惑う僕に彼はなんてことないというふうにそう言った。
新製品のテスターのためにこんな高級ホテルの部屋を予約するなんて、やっぱり会社の社長となるとやることが違うんだなと僕は思った。
窓の向こうのキラキラと輝く都内の夜景が広がっていた。
「この部屋、なかなかいいでしょ? まず君の初めての契約を記念して何か飲もうか。シャンパンでいい?」
彼は冷蔵庫を開けてボトルを取り出した。
「え、あ、はいっ」
針金を緩めてポンと栓を開け、シュワシュワと気泡の弾ける淡い色の液体をグラスに注ぎ、僕に差し出した。
「契約、おめでとう。乾杯」
「あ、ありがとうございます、おかげさまですっ」
そう言えば、藤崎社長の会社、美麗クリエイションってどんなものを作っている会社で、僕は何のテスターをするんだろう。ここへ来るまでに調べておこうと思っていたのに、初めて契約が取れてバタバタしていたせいですっかり忘れてしまっていた。
「ところで、僕がテスターする新製品ってどんなものですか?」
藤崎社長は高級ブランドのビジネスバッグを開けた。
「じゃーん。これだよ」
にっこり笑った彼が差し出したのはピンク色のプラスチック製品だった。T字型の長い部分が場所により細くなったり太くなったりしていて緩やかにくねっている。
これは何に使うものだろうか? おしゃれなオブジェ? もしくはツボ押しアイテムだろうか?
「えっと……これって……?」
「大丈夫、俺に任せて。新製品だから使い方を教えてあげる」
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