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第二章 こんな気持ちは初めて…… (麗夜side)
12.廃墟同然のアパート
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無事に契約が取れた蒼は帰りの車の中で俺に礼を言った。
「麗夜さん、今日はありがとうございました」
「はは、圭介のやつ、1台だけじゃなくもっと契約してくれりゃあよかったのにな」
「いえ、一番高いモデルを契約してくれたので十分です。それに僕は自分の力だけじゃ1台も契約が取れずに途方に暮れていたので、本当になんとお礼を言ったらいいか……」
俺から大口契約が取れてクビを免れたものの、「やればできるんだから、気合が足りん」と上司からノルマをきつくさせられ、達成できずに困っているという。
「麗夜さんのおかげでしばらく課長から怒られずに済みます」
蒼はにこっと笑った。
「話聞く限り、蒼の会社って結構ブラックじゃん。俺が君の立場だったらそんなとこさっさと辞めて他の会社に転職しちゃうと思うけど、そうしようとは思わないの?」
「ふふ、そうですよね。営業に不向きな僕はさっさと転職するべきだって自分でもわかってて、何度か真剣に考えたこともあるんです。でも天国から亡くなった両親が僕を見守ってくれていると思うと、簡単に逃げないでもう少しだけ頑張ろうって踏みとどまってしまうんです」
うわ、神々しい……。
俺は蒼のピュアさに心を震わせた。
「いえ、なんかいい子ぶり過ぎちゃいましたね。僕なんて今の会社を辞めたらどこにも採用してもらえないんじゃないかって思って、怖くて今の会社を辞められないのが本心です」
おどけてそう続けたけれど、最初に言ったことの方がむしろこの子の本心なんだろうって俺は思った。
「俺には経営者の知り合いが結構いるから、よかったらもっと紹介するよ。たぶん何台か契約する人もいると思うから。また連絡するね」
「ありがとうございます。本当に嬉しいです」
彼に道を案内してもらいながら、彼の住んでいるところまで車で送ってあげた。
「へー……、ずいぶんレトロだね……」
言葉をオブラートに包んで俺は人が住んでいるとは思えない廃墟同然のアパートを見つめた。
「古いですが、家賃が激安なんです。それに中は案外きれいで清潔感があるんですよ」
壁にはツタが這い、二階へ上がる外階段は朽ち果てていた。
「二階へはもう上がれないみたいだね」
「ええ、二階は床が抜けると危ないからって大家さんが貸してなくて。僕のお隣にはリイさんっていう海外の方が住んでるんですけど、お話好きで楽しい人なんですよ」
なんでだろう、普通こんなボロい住居を見せられたら一気に恋心が冷めてしまうだろうけど、卑屈にならず苦しい生活の中にも楽しさを見出している彼に心打たれた。
「上がってお茶でもと言いたいところですが、見ての通り狭いところですから」
「うん、またの機会に」
向かいの空き地に車を止めても大丈夫そうではあるけど、アパートの敷地には駐車場もないみたいだから悪いと思って俺は蒼を下ろして車を出した。
また一つ蒼の魅力的な部分が知れて俺は嬉しかった。やっぱり俺はどうしようもないくらい蒼のことが好きなんだと自覚せざるを得ない。
「麗夜さん、今日はありがとうございました」
「はは、圭介のやつ、1台だけじゃなくもっと契約してくれりゃあよかったのにな」
「いえ、一番高いモデルを契約してくれたので十分です。それに僕は自分の力だけじゃ1台も契約が取れずに途方に暮れていたので、本当になんとお礼を言ったらいいか……」
俺から大口契約が取れてクビを免れたものの、「やればできるんだから、気合が足りん」と上司からノルマをきつくさせられ、達成できずに困っているという。
「麗夜さんのおかげでしばらく課長から怒られずに済みます」
蒼はにこっと笑った。
「話聞く限り、蒼の会社って結構ブラックじゃん。俺が君の立場だったらそんなとこさっさと辞めて他の会社に転職しちゃうと思うけど、そうしようとは思わないの?」
「ふふ、そうですよね。営業に不向きな僕はさっさと転職するべきだって自分でもわかってて、何度か真剣に考えたこともあるんです。でも天国から亡くなった両親が僕を見守ってくれていると思うと、簡単に逃げないでもう少しだけ頑張ろうって踏みとどまってしまうんです」
うわ、神々しい……。
俺は蒼のピュアさに心を震わせた。
「いえ、なんかいい子ぶり過ぎちゃいましたね。僕なんて今の会社を辞めたらどこにも採用してもらえないんじゃないかって思って、怖くて今の会社を辞められないのが本心です」
おどけてそう続けたけれど、最初に言ったことの方がむしろこの子の本心なんだろうって俺は思った。
「俺には経営者の知り合いが結構いるから、よかったらもっと紹介するよ。たぶん何台か契約する人もいると思うから。また連絡するね」
「ありがとうございます。本当に嬉しいです」
彼に道を案内してもらいながら、彼の住んでいるところまで車で送ってあげた。
「へー……、ずいぶんレトロだね……」
言葉をオブラートに包んで俺は人が住んでいるとは思えない廃墟同然のアパートを見つめた。
「古いですが、家賃が激安なんです。それに中は案外きれいで清潔感があるんですよ」
壁にはツタが這い、二階へ上がる外階段は朽ち果てていた。
「二階へはもう上がれないみたいだね」
「ええ、二階は床が抜けると危ないからって大家さんが貸してなくて。僕のお隣にはリイさんっていう海外の方が住んでるんですけど、お話好きで楽しい人なんですよ」
なんでだろう、普通こんなボロい住居を見せられたら一気に恋心が冷めてしまうだろうけど、卑屈にならず苦しい生活の中にも楽しさを見出している彼に心打たれた。
「上がってお茶でもと言いたいところですが、見ての通り狭いところですから」
「うん、またの機会に」
向かいの空き地に車を止めても大丈夫そうではあるけど、アパートの敷地には駐車場もないみたいだから悪いと思って俺は蒼を下ろして車を出した。
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