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041 王子の帰国
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ーー南へ向かう街道は、春の風に砂塵を巻き上げながら、青い空の下で遠くまで伸びていた。
背後からは護衛騎士たちの馬蹄が一定の拍で続き、御者の掛け声がときおり風に砕けて消えた。
「殿下、峠を越えれば、今夜の野営地です」
レイセルが並びかけ、小声で告げる。
「あぁ、わかった」
ゼノンは短く返事をし、視線だけを夕焼けに帯び始めた稜線へ向けた。
(——望んではいけない。彼女の前では、もう何も。俺は俺の場所で、彼女の幸せを祈ればいいーー)
胸の内でそう繰り返し、ゼノンは馬腹を軽く蹴った。
アンダルシア王都・白亜の城壁が見え始めると、随行の旗が一斉にはためく。
門をくぐった一行に国民の祝声が上がると、城塞の高みにある王宮の鐘が、高らかに数度鳴った。
「王子殿下だ!」
「殿下、おかえりなさいませ!」
「殿下ー!!」
「お待ちしておりましたーー!」
ゼノンは国民に微笑みながら、ゆっくりと王城へと入っていった。
王宮に入るとすぐに、ゼノンは遠征用の外套を脱ぎ、父王の寝所へ足を踏み入れた。
窓から差し込む光に、年老いた王の白髪が浮かび上がる。
「……父上」
深く頭を垂れると、寝椅子に凭れた父がゆっくりと笑った。
「ゼノンか。戻ってきたのだな」
声は以前よりも幾分掠れていたが、その眼差しはなお鋭く、かつ慈しみに満ちていた。
「はい、ただいま戻りました」
王は軽く咳き込み、ゼノンが慌てて水を差し出す。
「ご無理をなさらず」
「ふむ……大げさだな。少し体調を崩しただけでお前を呼び戻したことを、まだ気にしているのか?」
国王はいたずらに微笑む。
ゼノンは静かにうつむいた。
「……あの時は、本当に驚きました。父上に何かあったらと思うと…」
王は笑い、頬に刻まれた皺が深まる。
「親子とは厄介なものだな。私が倒れれば、お前が心を痛め…私が元気を取り戻せば、今度はお前が過ぎた心配をする」
「……そうですね」
言葉を詰まらせるゼノンに、王は静かに手を伸ばした。
「ゼノン、お前はもう十分に強い。心も体もな。私が最も誇らしく思うのは、お前が他者を思いやる心を持っていることだ。お前はきっと民に愛される、良き王になるだろう」
ゼノンは目を伏せ、かすかに唇を噛んだ。
「ヴェルディア帝国はどうだった?」
「ええ、とても良い国でしたよ。精霊は居なくとも、人々は明るく活発で。それに…」
王はその沈黙を見透かすように微笑む。
「想い人を見つけたのだな?」
ゼノンの胸がわずかに疼いた。
「……ええ。ですが、私は…その人とは…結ばれることはないようです」
ゼノンは無理に笑顔を作って見せた。
王の眼差しは優しく、それでいて厳しかった。
「それでもよいではないか。愛は誰かを縛るものではなく、互いの力へと変わるものだ。……私も若い頃、お前の母上と結ばれるまでに数多くの障害を越えた。……ゼノン、己の心を否定するな。たとえ遠くにいても、結ばれることがなくともーーその強く優しい想いが、必ずお前の道を明るく照らすだろう」
窓の外では、夕陽が城壁を黄金に染めていた。
ゼノンは父の手を強く握り、その温もりを胸に刻む。
彼の心にあるのは、国を背負う覚悟と、遠い宮殿に残してきた愛しい女性への変わらぬ祈りだった。
***
報告を終えたレイセルが一歩退き、ためらいがちに続ける。
「昨夜は、また眠れませんでしたか?」
ゼノンは否とも肯とも言わず、羽根ペンの先で紙縁を叩いた。
「……ただ、色々と思うことがあってな。気がついたら夜が明けていただけだ」
「殿下、それを世間では”眠れていない”と申します」
軽口で緊張を和らげようとする侍従の笑みは温かい。
ゼノンは片眉を上げ、立ち上がる。
「…よし、朝稽古だ。体を動かせば、余計な考えなくなるだろう」
ーー王宮内の鍛錬場。
石畳の広い鍛錬場は、午後の日差しが斜めに差し込んでいた。
ゼノンは外套を脱ぎ、手に取った木剣を軽くあおる。
護衛候補の若い騎士たちが列をつくり、憧憬の色を隠しもしない。
「さぁ、始めよう」
ゼノンの一声が合図となり、足さばきの練習が始まる。
砂が舞い、靴底が砂利をかむ微かな音すら、ゼノンは拾い上げては指摘する。
「はッ!」
ゼノンの踏み込みは無駄がない。
守りに回った相手の木剣が弾かれ、地面を滑った。
周囲で見守る若い騎士たちがどよめく。
「殿下の剣は、海に似ておりますな。引いては寄せ、寄せては引く。間合いが全く読めませぬ」
「いや、殿下の剣はまさに閃光ですよ。あまりの速さに、剣筋が読めないのです」
「閃光のように素早いのに、力強さもある…本当に殿下には敵いません」
騎士たちは苦笑混じりに言う。
ゼノンは肩で息をし、額の汗を袖で拭った。
「そういえば、殿下はヴェルディアの武闘大会に出場されたとか!」
若い騎士が声を上げると、周囲の騎士たちが一斉に身を乗り出した。
「…おい、お前か?」
ゼノンはレイセルを訝しげに見る。
「…言ってはいけませんでしたか?良いではないですか。負けたわけでもあるまいし」
「お前なぁ…」
「殿下はそういったことはお嫌いなのに珍しいですね!」
「確かに!殿下は普段、ご自分の強さを隠しておられますよね!」
「殿下は当然、優勝されたのでしょう!?」
「当たり前だろ!殿下は、我が国随一の剣の達人なんだぞ!」
普段、どんな国事でも己の腕を誇ることのないゼノンが、あえて武闘大会に出た――。
その理由を知りたくて、騎士たちの眼差しは少年のような好奇心に光っていた。
「……」
(俺はただ──栄光あるギンバイカの花冠を、彼女に渡したかっただけだ)
ゼノンは諦めたように口を開いた。
「……武闘大会は、剣を通じた友好の場だ。アンダルシアを代表するものとして、顔を見せぬわけにもいかなかったのだ。……まあ、勝ちはしたが、いい勝負だったぞ。北方グレヴァルのルクレル将軍と剣を交えたがーーあれは、実に見事な剣士だった」
「殿下が他人を褒めるなんて!」
「よほどの腕だったのでしょうね!」
「さすがは殿下、アンダルシアの実力を見せつけるいい機会でしたね!」
「その通りだな!」
騎士達は目を輝かせて、ノンゼの話を聞いている。
「……ああ。あれほど豪快に剣を振るう者は、そうはいない。彼の剣をお前たちにも見せてやりたいものだ」
ゼノンはルクレルの豪快な物言いや笑い方を思い出し苦笑した。
背後からは護衛騎士たちの馬蹄が一定の拍で続き、御者の掛け声がときおり風に砕けて消えた。
「殿下、峠を越えれば、今夜の野営地です」
レイセルが並びかけ、小声で告げる。
「あぁ、わかった」
ゼノンは短く返事をし、視線だけを夕焼けに帯び始めた稜線へ向けた。
(——望んではいけない。彼女の前では、もう何も。俺は俺の場所で、彼女の幸せを祈ればいいーー)
胸の内でそう繰り返し、ゼノンは馬腹を軽く蹴った。
アンダルシア王都・白亜の城壁が見え始めると、随行の旗が一斉にはためく。
門をくぐった一行に国民の祝声が上がると、城塞の高みにある王宮の鐘が、高らかに数度鳴った。
「王子殿下だ!」
「殿下、おかえりなさいませ!」
「殿下ー!!」
「お待ちしておりましたーー!」
ゼノンは国民に微笑みながら、ゆっくりと王城へと入っていった。
王宮に入るとすぐに、ゼノンは遠征用の外套を脱ぎ、父王の寝所へ足を踏み入れた。
窓から差し込む光に、年老いた王の白髪が浮かび上がる。
「……父上」
深く頭を垂れると、寝椅子に凭れた父がゆっくりと笑った。
「ゼノンか。戻ってきたのだな」
声は以前よりも幾分掠れていたが、その眼差しはなお鋭く、かつ慈しみに満ちていた。
「はい、ただいま戻りました」
王は軽く咳き込み、ゼノンが慌てて水を差し出す。
「ご無理をなさらず」
「ふむ……大げさだな。少し体調を崩しただけでお前を呼び戻したことを、まだ気にしているのか?」
国王はいたずらに微笑む。
ゼノンは静かにうつむいた。
「……あの時は、本当に驚きました。父上に何かあったらと思うと…」
王は笑い、頬に刻まれた皺が深まる。
「親子とは厄介なものだな。私が倒れれば、お前が心を痛め…私が元気を取り戻せば、今度はお前が過ぎた心配をする」
「……そうですね」
言葉を詰まらせるゼノンに、王は静かに手を伸ばした。
「ゼノン、お前はもう十分に強い。心も体もな。私が最も誇らしく思うのは、お前が他者を思いやる心を持っていることだ。お前はきっと民に愛される、良き王になるだろう」
ゼノンは目を伏せ、かすかに唇を噛んだ。
「ヴェルディア帝国はどうだった?」
「ええ、とても良い国でしたよ。精霊は居なくとも、人々は明るく活発で。それに…」
王はその沈黙を見透かすように微笑む。
「想い人を見つけたのだな?」
ゼノンの胸がわずかに疼いた。
「……ええ。ですが、私は…その人とは…結ばれることはないようです」
ゼノンは無理に笑顔を作って見せた。
王の眼差しは優しく、それでいて厳しかった。
「それでもよいではないか。愛は誰かを縛るものではなく、互いの力へと変わるものだ。……私も若い頃、お前の母上と結ばれるまでに数多くの障害を越えた。……ゼノン、己の心を否定するな。たとえ遠くにいても、結ばれることがなくともーーその強く優しい想いが、必ずお前の道を明るく照らすだろう」
窓の外では、夕陽が城壁を黄金に染めていた。
ゼノンは父の手を強く握り、その温もりを胸に刻む。
彼の心にあるのは、国を背負う覚悟と、遠い宮殿に残してきた愛しい女性への変わらぬ祈りだった。
***
報告を終えたレイセルが一歩退き、ためらいがちに続ける。
「昨夜は、また眠れませんでしたか?」
ゼノンは否とも肯とも言わず、羽根ペンの先で紙縁を叩いた。
「……ただ、色々と思うことがあってな。気がついたら夜が明けていただけだ」
「殿下、それを世間では”眠れていない”と申します」
軽口で緊張を和らげようとする侍従の笑みは温かい。
ゼノンは片眉を上げ、立ち上がる。
「…よし、朝稽古だ。体を動かせば、余計な考えなくなるだろう」
ーー王宮内の鍛錬場。
石畳の広い鍛錬場は、午後の日差しが斜めに差し込んでいた。
ゼノンは外套を脱ぎ、手に取った木剣を軽くあおる。
護衛候補の若い騎士たちが列をつくり、憧憬の色を隠しもしない。
「さぁ、始めよう」
ゼノンの一声が合図となり、足さばきの練習が始まる。
砂が舞い、靴底が砂利をかむ微かな音すら、ゼノンは拾い上げては指摘する。
「はッ!」
ゼノンの踏み込みは無駄がない。
守りに回った相手の木剣が弾かれ、地面を滑った。
周囲で見守る若い騎士たちがどよめく。
「殿下の剣は、海に似ておりますな。引いては寄せ、寄せては引く。間合いが全く読めませぬ」
「いや、殿下の剣はまさに閃光ですよ。あまりの速さに、剣筋が読めないのです」
「閃光のように素早いのに、力強さもある…本当に殿下には敵いません」
騎士たちは苦笑混じりに言う。
ゼノンは肩で息をし、額の汗を袖で拭った。
「そういえば、殿下はヴェルディアの武闘大会に出場されたとか!」
若い騎士が声を上げると、周囲の騎士たちが一斉に身を乗り出した。
「…おい、お前か?」
ゼノンはレイセルを訝しげに見る。
「…言ってはいけませんでしたか?良いではないですか。負けたわけでもあるまいし」
「お前なぁ…」
「殿下はそういったことはお嫌いなのに珍しいですね!」
「確かに!殿下は普段、ご自分の強さを隠しておられますよね!」
「殿下は当然、優勝されたのでしょう!?」
「当たり前だろ!殿下は、我が国随一の剣の達人なんだぞ!」
普段、どんな国事でも己の腕を誇ることのないゼノンが、あえて武闘大会に出た――。
その理由を知りたくて、騎士たちの眼差しは少年のような好奇心に光っていた。
「……」
(俺はただ──栄光あるギンバイカの花冠を、彼女に渡したかっただけだ)
ゼノンは諦めたように口を開いた。
「……武闘大会は、剣を通じた友好の場だ。アンダルシアを代表するものとして、顔を見せぬわけにもいかなかったのだ。……まあ、勝ちはしたが、いい勝負だったぞ。北方グレヴァルのルクレル将軍と剣を交えたがーーあれは、実に見事な剣士だった」
「殿下が他人を褒めるなんて!」
「よほどの腕だったのでしょうね!」
「さすがは殿下、アンダルシアの実力を見せつけるいい機会でしたね!」
「その通りだな!」
騎士達は目を輝かせて、ノンゼの話を聞いている。
「……ああ。あれほど豪快に剣を振るう者は、そうはいない。彼の剣をお前たちにも見せてやりたいものだ」
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