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第二章 平穏な日々ばかりではないようです。
美味しいケーキなのですが
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一方ラミアーから逃げ出した暖は、リオールの元に来ていた。
「リオール、オハヨウ 」
「おはようウララ。そんなに急いでどうしたのですか?」
暖の顔を見て嬉しそうに笑うリオール。
いつも自殺を止めてくれるウルフィアがいなくなりどうなることかと心配したエルフだが、今のところ彼は首を吊っていない。
「せっかく邪魔者がいなくなって千載一遇の機会なのに、自殺なんかしていられるはずがないでしょう?」
邪魔者って何? とか、いったい何の機会なのか? とか、気になることはいくつかあるが、なんにしろリオールが自殺を企てないことは良いことなので暖は深く追及しなかった。
「リオール、死ナナイ。私、嬉シイ」
「私も嬉しいですよ」
暖の言葉にリオールはいつでもニッコリ笑って答えてくれる。
今日は上機嫌でお茶を淹れてもくれた。
「これは昨日エルフの里から届いた茶葉なんです。この香りは他のお茶では出せないものですよ」
大きく息を吸い匂いを嗅いで、満足そうに話すリオール。
しかし、暖はお茶より”エルフの里から”という言葉の方が気になった。
「リオール、戦争、知ラセ、アッタ?」
勢い込んで暖が聞けば、たちまちリオールは不機嫌になる。
「そんなこと、ウララは気にしなくていいんですよ」
「デモ!」
「でもも何もありません。戦争は遠くで、この辺は関係ないのですから。戦争なんてしたい奴らが勝手にすればいいんです」
リオールの態度は、とりつくしまもなかった。
「デモ、ウルフィア、トカ心配……」
「ウルフィアは殺しても死にません!」
きっぱりリオールは言い切る。何故か納得できるから不思議だ。
「そんなことよりウララ、新作のケーキを作ってみたんですよ。この茶葉を入れたのでとても香りが良くなって、我ながら上出来です」
リオールは表情を一変。きれいな笑顔でケーキの美味しさを力説した。
なんとなくそれ以上聞けなくなって、暖は内心がっかりしながら肩を落とす。
「さぁ、食べてみてください」
差し出されたのはとっても美味しそうなケーキだった。
しかし、暖はそれに手を伸ばす元気が出ない。
それでも、リオールに「さぁさぁ」と促されて1つだけ手に取った。
ジッと見てくるリオールの前で、パクリと口にする。
お茶の優しい香りが口の中に広がる絶妙な甘さのケーキは、リオールが力説するだけあって、とっても美味しい。
この美味しさなら、好き嫌いの多いアルディアでも食べるかもしれないくらいのケーキだった。
(もちろんアレルギーの食材が入っていないか確認してからだけど)
そう考えて、暖は急に心配になる。
今頃アルディアはどうしているのだろう?
まさか進軍先で食べ物に文句をつけてはいないだろうが、それならそれで食べられないものまで無理をして食べているかもしれない。
(アレルギー反応は、下手をしたら死んでしまうのに)
暖の脳内に、苦しみながら倒れるアルディアの姿が浮かんだ。
途端に暖は青くなる。首をプルプルと横に振った。
(だ、大丈夫。サーバスもウルフィアもいるんだし)
しかし思い出したサーバスは、暖の想像の中で、いかにも頼りなく突き出した両手を自分には無理ですと必死で振った。
一方のウルフィアは、興味がないとばかりに剣の手入れをしている。
(そういえば、そういう人達だったわよね)
絶望的な気分で暖は思い出した。
今この瞬間にも、アルディアは死んでいるかも知れない。
その死因が戦死ではなくアレルギーによるショック死かと思うあたりが多少ズレているが、それでも暖は心から心配した。
突然、涙がポロポロこぼれてくる。
アルディアが戦争に行ってから、暖は少し情緒不安定になった。
こんな風に時々泣いてしまうのだ。
「え? ウ、ウララ、どうしたんですか!? ケーキが口に合わなかったんですか?」
リオールが慌てる。
「チ、違……」
暖は、必死に違うと首を横に振るが、言葉は紡げなかった。
「ウララ……」
「ゴ、ゴメンナサイ。リオール」
やっとのことで暖は謝罪の言葉を告げた。
自作のケーキを食べた相手が急に泣き出せば、リオールだって面白くないはずだ。
「ゴメ――――」
暖は勢いよく頭を下げる。
リオールは、……大きくため息をついた。
やがて――――
「王子は、無事ですよ」
そう言った。
「エ?」
「まったく、流れ魔法にでも当たって死んでくれないかと願っているんですけれどね。残念なことに王子はピンピンしています」
リオールは、本当に残念そうだった。
暖は、パアッと表情を明るくする。
その暖を見て、リオールは表情を曇らせた。
「だから、あのクソ王子は嫌いなんです」
ブツブツと下を向いて呟く。
幸いにしてその言葉は暖には聞こえなかった。
「エ? リオール、何カ言ッタ?」
「いいえ、なんにも。さあウララ、ケーキを食べてください」
「ハイ!」
先ほどとは一転、暖は元気よくケーキを口に運ぶ。
幸せそうな姿に、複雑な表情で笑うリオールだった。
「リオール、オハヨウ 」
「おはようウララ。そんなに急いでどうしたのですか?」
暖の顔を見て嬉しそうに笑うリオール。
いつも自殺を止めてくれるウルフィアがいなくなりどうなることかと心配したエルフだが、今のところ彼は首を吊っていない。
「せっかく邪魔者がいなくなって千載一遇の機会なのに、自殺なんかしていられるはずがないでしょう?」
邪魔者って何? とか、いったい何の機会なのか? とか、気になることはいくつかあるが、なんにしろリオールが自殺を企てないことは良いことなので暖は深く追及しなかった。
「リオール、死ナナイ。私、嬉シイ」
「私も嬉しいですよ」
暖の言葉にリオールはいつでもニッコリ笑って答えてくれる。
今日は上機嫌でお茶を淹れてもくれた。
「これは昨日エルフの里から届いた茶葉なんです。この香りは他のお茶では出せないものですよ」
大きく息を吸い匂いを嗅いで、満足そうに話すリオール。
しかし、暖はお茶より”エルフの里から”という言葉の方が気になった。
「リオール、戦争、知ラセ、アッタ?」
勢い込んで暖が聞けば、たちまちリオールは不機嫌になる。
「そんなこと、ウララは気にしなくていいんですよ」
「デモ!」
「でもも何もありません。戦争は遠くで、この辺は関係ないのですから。戦争なんてしたい奴らが勝手にすればいいんです」
リオールの態度は、とりつくしまもなかった。
「デモ、ウルフィア、トカ心配……」
「ウルフィアは殺しても死にません!」
きっぱりリオールは言い切る。何故か納得できるから不思議だ。
「そんなことよりウララ、新作のケーキを作ってみたんですよ。この茶葉を入れたのでとても香りが良くなって、我ながら上出来です」
リオールは表情を一変。きれいな笑顔でケーキの美味しさを力説した。
なんとなくそれ以上聞けなくなって、暖は内心がっかりしながら肩を落とす。
「さぁ、食べてみてください」
差し出されたのはとっても美味しそうなケーキだった。
しかし、暖はそれに手を伸ばす元気が出ない。
それでも、リオールに「さぁさぁ」と促されて1つだけ手に取った。
ジッと見てくるリオールの前で、パクリと口にする。
お茶の優しい香りが口の中に広がる絶妙な甘さのケーキは、リオールが力説するだけあって、とっても美味しい。
この美味しさなら、好き嫌いの多いアルディアでも食べるかもしれないくらいのケーキだった。
(もちろんアレルギーの食材が入っていないか確認してからだけど)
そう考えて、暖は急に心配になる。
今頃アルディアはどうしているのだろう?
まさか進軍先で食べ物に文句をつけてはいないだろうが、それならそれで食べられないものまで無理をして食べているかもしれない。
(アレルギー反応は、下手をしたら死んでしまうのに)
暖の脳内に、苦しみながら倒れるアルディアの姿が浮かんだ。
途端に暖は青くなる。首をプルプルと横に振った。
(だ、大丈夫。サーバスもウルフィアもいるんだし)
しかし思い出したサーバスは、暖の想像の中で、いかにも頼りなく突き出した両手を自分には無理ですと必死で振った。
一方のウルフィアは、興味がないとばかりに剣の手入れをしている。
(そういえば、そういう人達だったわよね)
絶望的な気分で暖は思い出した。
今この瞬間にも、アルディアは死んでいるかも知れない。
その死因が戦死ではなくアレルギーによるショック死かと思うあたりが多少ズレているが、それでも暖は心から心配した。
突然、涙がポロポロこぼれてくる。
アルディアが戦争に行ってから、暖は少し情緒不安定になった。
こんな風に時々泣いてしまうのだ。
「え? ウ、ウララ、どうしたんですか!? ケーキが口に合わなかったんですか?」
リオールが慌てる。
「チ、違……」
暖は、必死に違うと首を横に振るが、言葉は紡げなかった。
「ウララ……」
「ゴ、ゴメンナサイ。リオール」
やっとのことで暖は謝罪の言葉を告げた。
自作のケーキを食べた相手が急に泣き出せば、リオールだって面白くないはずだ。
「ゴメ――――」
暖は勢いよく頭を下げる。
リオールは、……大きくため息をついた。
やがて――――
「王子は、無事ですよ」
そう言った。
「エ?」
「まったく、流れ魔法にでも当たって死んでくれないかと願っているんですけれどね。残念なことに王子はピンピンしています」
リオールは、本当に残念そうだった。
暖は、パアッと表情を明るくする。
その暖を見て、リオールは表情を曇らせた。
「だから、あのクソ王子は嫌いなんです」
ブツブツと下を向いて呟く。
幸いにしてその言葉は暖には聞こえなかった。
「エ? リオール、何カ言ッタ?」
「いいえ、なんにも。さあウララ、ケーキを食べてください」
「ハイ!」
先ほどとは一転、暖は元気よくケーキを口に運ぶ。
幸せそうな姿に、複雑な表情で笑うリオールだった。
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