77 / 102
幕間2
魔界最低の王子
しおりを挟む
話は変わるが暖のおかげで最初に生理が戻った下女を、みなさま覚えておいでだろうか?
後宮を出て無事婚約者の元へ戻った彼女は、暖からダンケルへの無事を伝える伝言を頼まれている。
暖がモノアの説得に一生懸命だった頃――――
下女の婚約者は、未来の妻の恩人の望みを叶えようと彼なりに努力していた。
とはいえ彼は王宮の警備兵の一人。王子であるダンケルに理由もなく接触するのは、実はそれほど簡単ではない。いくら貴族といってもそうそう王子と話す機会なんてないのである。
下女は爬虫類の目を持っていた。
婚約者の彼は、立派なリザードマンだ。
子を産めなくなった婚約者をギリギリまで待っていた事実からもわかる通りの誠実な男で、腕力には自信がある。
しかし、天は二物を与えなかった。
彼は、あまり難しい事を考えるのが、得意ではなかったのだ。
結果、下女の婚約者はダンケルに話しかけるよい方法も考えつかないまま、今日も王宮で警備の仕事をしていたりする。
彼にとって不運なことに、ここ最近ダンケルはあまり表に姿を見せていなかった。
後宮にいる暖を心配し、ダンケルなりに何かできないかと苦心惨憺しているのである。
そして、不運は重なった。
少しでいいから顔をのぞかせてくれないかと、ダンケルの部屋の近くをうろついていた婚約者の側をブラットが通りかかったのだ。
――――念のためお伝えしておくが、ブラットとはダンケルの弟である。
暖を『子豚』呼ばわりし、七転八倒した食いしん坊の餓鬼だ。
「おや? 下級兵士がこんなところにいるのは珍しいね。ダンケルに何か用事かい?」
目ざとくリザードマンを見つけたブラットは、彼に声をかける。
末子とはいえ王子に声をかけられた婚約者は、直立不動になった。
「はい! いいえ!」
「……どっちだい?」
緊張のあまり肯定と否定の返事を一緒にした警備兵に、ブラットは首を傾げる。
焦りながらリザードマンは考えた。
――――彼が伝言を届けたいのはダンケルだ。
しかしダンケルの弟であるブラットへ、兄への伝言を頼んでも良いのではないだろうか?
もしも彼がもう少し敏い男であれば、こんなバカなことは考えつかなかっただろう。
魔王の子らは王座を狙う敵同士。事実ダンケルとブラット以外の王子は、権力争いの果てに全員死んでいる。
ダンケルが生き残ったのは彼がもっとも優秀な王子だったからで、ブラットが生き残ったのは彼が競争相手にもならぬほど最低な王子だったから。
天と地ほども差のある二人の王子だが、それでも彼らが敵同士なのは変わらなかった。
ダンケルが失脚すれば魔王の座はブラットの元に転がり込んでくるのである。
つまりブラットはいつだってダンケルの足を引っ張ろうと虎視眈々なのだ。
王宮の常識ともいえる事実だが、善良で誠実なリザードマンは……知らなかった。
かてて加えて彼の兄弟仲は良好だ。彼には弟が二人いるのだが、二人が二人とも兄に似た脳筋――――元へ、善良なリザードマンで、後宮へ入った婚約者を諦めずに待つ兄を心から応援するくらいに仲の良い兄弟だった。
兄弟ならば助け合って当たり前。伝言を届けることなど頼まれなくたってやるのが、リザードマン一家の常識だ。
結果として彼は、勇気を出してブラットへ話しかけることにする。
「すみません。ダンケルさまにご伝言を御願いできますか?」
「伝言? 俺からダンケルに?」
ブラットは意表を突かれたようだった。何かの罠ではないかと赤い目を厳しく眇める。
「はい。……『ウララさまは、ご無事でおられる』と!」
そんなブラットの様子には少しも気づくことなく、ビシッと直立不動を崩さずにリザードマンは話した。
ブラットは「ウララ?」と呟き、考えるように目を瞬く。
――――実は、暖のことなどすっかり忘れているブラットである。
「はい! 私の、その、……つ、妻は、ウララさまのおかげで後宮から帰ってこられたのです。この度、私が無事、結婚できるのも全てウララさまのおかげです! ウララさまには、感謝してもしきれないと思っています」
婚約者をはじめて「妻」と他人に対し話したリザードマン。
彼は照れまくり相変わらずブラットの様子には気づかない。
「後宮? 帰ってきた?」
「はい! 私も彼女も、もうダメだと思っていいたのですが……ウララさまの治療を受け、彼女は私と結婚できる体に戻れました」
婚約者の恩人に対する感謝の気持ちを表したいと、リザードマンは懸命にブラットに事情を話す。
ブラットは少し考え込むように目を閉じた。
なんとか暖を思い出したようで「ひょっとして、あの時の……」と、小さく呟く。
やがて、開いた真紅の目をキラリと光らせた。
「そう……それは良かったね。ちょっと詳しく教えてくれる?」
「はい!」
リザードマンは、聞かれるままに自分の婚約者と暖のことを知る限りブラットに話した。
「へぇ~? あの子豚ちゃんに、そんな能力がね」
口笛を吹きそうな勢いでブラットは感心する。
「はっ? 子……?」
『子豚』と聞こえたリザードマンは聞き間違いかと驚く。
「あぁ、なんでもないよ。……愛称みたいなものかな?」
軽い感じで、ブラットは笑った。
「あ、ああ、愛称。……そうですか。ブラットさまは、ウララさまを愛称で呼ぶほど親しくていらっしゃるのですね!」
ブラットの言葉を聞いたリザードマンは、やっぱり彼に伝言を頼んで正解だったとホッとした。
「うん。あぁ、俺はウララを、食べちゃいたいくらい気に入っているよ」
にこやかなブラットの返事に、リザードマンも笑う。
「お手数をおかけします! よろしくお願いいたします!」
深々と頭を下げ、リザードマンは帰っていった。
後に残ったブラットは、ダンケルの部屋とは正反対の方向へと歩き出す。
「……ふ~ん。食料でもない人間をわざわざ父上に会わせるなんて言い出すから変だと思っていたけれど……そういうわけか。あの子豚ちゃん、治癒魔法の使い手だったんだ。あの後すっかり姿を見ないから、てっきり食べられたんだろうと思っていたけれど……後宮にいるってことは、ダンケルに反発している後宮で成果を上げて、次期魔王の地位を確実にしようってわけかな? まったく我が兄ながら抜け目がなくて嫌になるよな。……ああでも、わざわざあんな下っ端に伝言を頼むくらいだ。ダンケルと子豚ちゃんの連絡は、取れていないってことかな?」
ブツブツ呟きながら歩くブラット。
彼は、ニヤリとした笑みを浮かべる。
「だったら、まだ俺にも打つ手はあるかな? ダンケルばかり一人勝ちじゃつまらないからな。子豚ちゃんを手に入れて、手柄を横取りするか……手に入らないんなら、消すのもいいかもしれない」
最低王子のブラット。
それゆえ彼は現在魔界が抱える深刻な問題に何の関心もなかった。
別に魔王になんてなれなくてもかまわないが、ダンケルだけがいい思いをするのは面白くないと単純に考える。
「もちろん、消える先は、俺の腹の中だけど」
舌なめずりをしながら、ブラットは呟く。
のど元過ぎれば熱さを忘れる彼の頭の中からは、暖に苦しめられた記憶はすっかり消えていた。
魔界最低の王子は、楽しそうにクツクツと笑う。
自分の行動の結果が魔界にどう影響を与えるかなんて思ってもみないブラットだった。
後宮を出て無事婚約者の元へ戻った彼女は、暖からダンケルへの無事を伝える伝言を頼まれている。
暖がモノアの説得に一生懸命だった頃――――
下女の婚約者は、未来の妻の恩人の望みを叶えようと彼なりに努力していた。
とはいえ彼は王宮の警備兵の一人。王子であるダンケルに理由もなく接触するのは、実はそれほど簡単ではない。いくら貴族といってもそうそう王子と話す機会なんてないのである。
下女は爬虫類の目を持っていた。
婚約者の彼は、立派なリザードマンだ。
子を産めなくなった婚約者をギリギリまで待っていた事実からもわかる通りの誠実な男で、腕力には自信がある。
しかし、天は二物を与えなかった。
彼は、あまり難しい事を考えるのが、得意ではなかったのだ。
結果、下女の婚約者はダンケルに話しかけるよい方法も考えつかないまま、今日も王宮で警備の仕事をしていたりする。
彼にとって不運なことに、ここ最近ダンケルはあまり表に姿を見せていなかった。
後宮にいる暖を心配し、ダンケルなりに何かできないかと苦心惨憺しているのである。
そして、不運は重なった。
少しでいいから顔をのぞかせてくれないかと、ダンケルの部屋の近くをうろついていた婚約者の側をブラットが通りかかったのだ。
――――念のためお伝えしておくが、ブラットとはダンケルの弟である。
暖を『子豚』呼ばわりし、七転八倒した食いしん坊の餓鬼だ。
「おや? 下級兵士がこんなところにいるのは珍しいね。ダンケルに何か用事かい?」
目ざとくリザードマンを見つけたブラットは、彼に声をかける。
末子とはいえ王子に声をかけられた婚約者は、直立不動になった。
「はい! いいえ!」
「……どっちだい?」
緊張のあまり肯定と否定の返事を一緒にした警備兵に、ブラットは首を傾げる。
焦りながらリザードマンは考えた。
――――彼が伝言を届けたいのはダンケルだ。
しかしダンケルの弟であるブラットへ、兄への伝言を頼んでも良いのではないだろうか?
もしも彼がもう少し敏い男であれば、こんなバカなことは考えつかなかっただろう。
魔王の子らは王座を狙う敵同士。事実ダンケルとブラット以外の王子は、権力争いの果てに全員死んでいる。
ダンケルが生き残ったのは彼がもっとも優秀な王子だったからで、ブラットが生き残ったのは彼が競争相手にもならぬほど最低な王子だったから。
天と地ほども差のある二人の王子だが、それでも彼らが敵同士なのは変わらなかった。
ダンケルが失脚すれば魔王の座はブラットの元に転がり込んでくるのである。
つまりブラットはいつだってダンケルの足を引っ張ろうと虎視眈々なのだ。
王宮の常識ともいえる事実だが、善良で誠実なリザードマンは……知らなかった。
かてて加えて彼の兄弟仲は良好だ。彼には弟が二人いるのだが、二人が二人とも兄に似た脳筋――――元へ、善良なリザードマンで、後宮へ入った婚約者を諦めずに待つ兄を心から応援するくらいに仲の良い兄弟だった。
兄弟ならば助け合って当たり前。伝言を届けることなど頼まれなくたってやるのが、リザードマン一家の常識だ。
結果として彼は、勇気を出してブラットへ話しかけることにする。
「すみません。ダンケルさまにご伝言を御願いできますか?」
「伝言? 俺からダンケルに?」
ブラットは意表を突かれたようだった。何かの罠ではないかと赤い目を厳しく眇める。
「はい。……『ウララさまは、ご無事でおられる』と!」
そんなブラットの様子には少しも気づくことなく、ビシッと直立不動を崩さずにリザードマンは話した。
ブラットは「ウララ?」と呟き、考えるように目を瞬く。
――――実は、暖のことなどすっかり忘れているブラットである。
「はい! 私の、その、……つ、妻は、ウララさまのおかげで後宮から帰ってこられたのです。この度、私が無事、結婚できるのも全てウララさまのおかげです! ウララさまには、感謝してもしきれないと思っています」
婚約者をはじめて「妻」と他人に対し話したリザードマン。
彼は照れまくり相変わらずブラットの様子には気づかない。
「後宮? 帰ってきた?」
「はい! 私も彼女も、もうダメだと思っていいたのですが……ウララさまの治療を受け、彼女は私と結婚できる体に戻れました」
婚約者の恩人に対する感謝の気持ちを表したいと、リザードマンは懸命にブラットに事情を話す。
ブラットは少し考え込むように目を閉じた。
なんとか暖を思い出したようで「ひょっとして、あの時の……」と、小さく呟く。
やがて、開いた真紅の目をキラリと光らせた。
「そう……それは良かったね。ちょっと詳しく教えてくれる?」
「はい!」
リザードマンは、聞かれるままに自分の婚約者と暖のことを知る限りブラットに話した。
「へぇ~? あの子豚ちゃんに、そんな能力がね」
口笛を吹きそうな勢いでブラットは感心する。
「はっ? 子……?」
『子豚』と聞こえたリザードマンは聞き間違いかと驚く。
「あぁ、なんでもないよ。……愛称みたいなものかな?」
軽い感じで、ブラットは笑った。
「あ、ああ、愛称。……そうですか。ブラットさまは、ウララさまを愛称で呼ぶほど親しくていらっしゃるのですね!」
ブラットの言葉を聞いたリザードマンは、やっぱり彼に伝言を頼んで正解だったとホッとした。
「うん。あぁ、俺はウララを、食べちゃいたいくらい気に入っているよ」
にこやかなブラットの返事に、リザードマンも笑う。
「お手数をおかけします! よろしくお願いいたします!」
深々と頭を下げ、リザードマンは帰っていった。
後に残ったブラットは、ダンケルの部屋とは正反対の方向へと歩き出す。
「……ふ~ん。食料でもない人間をわざわざ父上に会わせるなんて言い出すから変だと思っていたけれど……そういうわけか。あの子豚ちゃん、治癒魔法の使い手だったんだ。あの後すっかり姿を見ないから、てっきり食べられたんだろうと思っていたけれど……後宮にいるってことは、ダンケルに反発している後宮で成果を上げて、次期魔王の地位を確実にしようってわけかな? まったく我が兄ながら抜け目がなくて嫌になるよな。……ああでも、わざわざあんな下っ端に伝言を頼むくらいだ。ダンケルと子豚ちゃんの連絡は、取れていないってことかな?」
ブツブツ呟きながら歩くブラット。
彼は、ニヤリとした笑みを浮かべる。
「だったら、まだ俺にも打つ手はあるかな? ダンケルばかり一人勝ちじゃつまらないからな。子豚ちゃんを手に入れて、手柄を横取りするか……手に入らないんなら、消すのもいいかもしれない」
最低王子のブラット。
それゆえ彼は現在魔界が抱える深刻な問題に何の関心もなかった。
別に魔王になんてなれなくてもかまわないが、ダンケルだけがいい思いをするのは面白くないと単純に考える。
「もちろん、消える先は、俺の腹の中だけど」
舌なめずりをしながら、ブラットは呟く。
のど元過ぎれば熱さを忘れる彼の頭の中からは、暖に苦しめられた記憶はすっかり消えていた。
魔界最低の王子は、楽しそうにクツクツと笑う。
自分の行動の結果が魔界にどう影響を与えるかなんて思ってもみないブラットだった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる