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第四章 選んだ先の未来へ向かいます!
再会した途端、怒鳴られました
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目も眩むような閃光と爆発音、グラグラとした振動がおこる。
立っていることができずに暖はその場にしゃがみこんだ。
「ダンケル!」
「立て! 行くんだ!」
咄嗟に目を瞑り名を呼べば、緊迫した声が返ってくる。
迷いながらも暖は立ち上がり、走り出した。
ダンケルは彼女の安全を第一にしてくれている。
彼が逃げろと言うからには、それが最善なのだ。
「ハッ! 笑止。大人しく我の後継者におさまり玉座を狙う野心も見せぬお前が、我に敵うものか!」
背後では、魔王がダンケルを嘲笑う声が聞こえた。
「俺は、無駄な争いをするつもりがなかっただけだ!」
凛としてダンケルは言い返す。
「戦いを無駄と考えるような魔族は、魔族と呼べん!」
「父上のような魔族のあり方は、もう古い!」
突如として親子喧嘩がはじまってしまった。
世代間ギャップの問題は、どうやら魔界でも変わらないらしい。
魔王とダンケルの戦いの行方は気になるが、振り返らずに暖は部屋から逃げ出そうとした。
ところが、そんな彼女の前にブラットが立ちはだかる。
「逃がすか! お前は俺が捕まえる! 父上に献上して俺が魔王の嗣子になるんだ!」
ついさっきまで瓦礫に埋もれて気を失っていたはずなのに――――本当に無駄に丈夫な魔族だった。
憎まれっ子世に憚るとは、彼のことを言うのだろう。
(冗談じゃないわ!)
暖は咄嗟に進路を九十度変えた。
幸いにして正妃の部屋からの出口は二つある。
もう一つの出口に向かおうとする彼女に、ブラットは手を伸ばしてきた。
「馬鹿な真似は、お止めなさい!」
ブラットの手が暖に触れるという寸前で、いつの間に移動したのか突如暖とブラットの間に現れた正妃が、その手を叩き落す。
魔王の妃の頂点に立つ女性は、キッとブラットを睨みつけた。
その後ろで、
「ウララ、こっちよ!」
背後からモノアが近づき、そっと囁いてくる。
「魔王さまに逆らうのは怖いけれど……でも、今はダンケルさまの方が正しいと思うから」
魔王とダンケルの言い争いを呆然と見ていた正妃やモノアたちだが、彼女たちは彼女たちなりにいろいろ考え決意をつけたらしい。
妃であり王の寵愛を競う立場の彼女たちが魔王の意に反することはかなり大きな葛藤だっただろう。
それでも、暖を守ろうとしてくれる二人の心が嬉しかった。
「さあ、早く! 正妃さまがブラットさまを止めている間に」
モノアは暖を導き走り出す。
胸をいっぱいにさせながら暖は後に続こうとした。
しかし、その暖の目の前からモノアの姿がかき消える。
「キャァ!」
悲鳴の後を追えば、モノアは暖の横に倒れていた。
「魔王さまに逆らうことは、私が許さないわ」
代わりに現れたのはイノトだった。
もう一人の魔王の側妃は、目をギラギラと光らせている。
「イノト! 止めなさい!」
モノアの悲鳴を聞いた正妃は、ブラットと対峙しながらも制止の声をあげた。
「私の忠誠は、魔王さまのものです」
揺るぎない信念を見せるイノト。彼女もまた彼女なりに考えて決意したのだろう。
イノトは、そのまま手の中に光る球を生み出した。ソフトボールくらいの大きさになったそれを、暖めがけ投げつけようとしてくる。
「止めなさい! 自動報復魔法が発動するわ!」
正妃が悲鳴のような叫びをあげた。
「殺しはしません! 気絶させて地下牢へ運ぶだけです。……それなら報復も少ないはず」
いやいや、絶対アウトだろう。
イノト自身、暖の報復魔法を身を持って知っているはずなのに、どうして大丈夫だと思えるのか?
こんなところは、やっぱりブラットの母だと思わざるをえなかった。
暖は、咄嗟に自らを庇うように両手を体の前に上げる。
(ダメよ! 魔界が滅んじゃう!)
心配なのは、自分ではなく魔界――――ブラットや正妃、モノアたちだった。
「……オ願イ! 誰カ、誰カ、助ケテッ!」
力いっぱい、叫ぶ。
視界が白く染まって――――
「…………やれやれ、そこまで頼まれては、助けぬわけにはいかんな」
なんだかやる気なさそうな老婆の声が暖の耳に届いた。
イノトの放った攻撃は、暖の元には届かず代わりにふわりと体が抱き上げられる。
「ウララ、もう大丈夫だぞ」
耳元で囁かれたのは、年配の女性のしっかりとした声だ。
「……ウルフィア!」
彼女を抱き上げたのは、立派な騎士服に身を包んだ女老騎士だった。
「なあにぃ? このみっともない女たちは? こんなアンバランスな体を晒して、よく平気でいられるわねぇ?」
心底呆れた声をあげたのは相変わらず美人なラミアーで、気づかぬうちに暖の側に立っている。
三人の頼りになる――――なり過ぎる女性たちが、暖の目の前に現れた。
「なんだ! お前た――――グホォォッ!」
彼女たちを大声で誰何しようとしたブラットが、セリフの途中でスッと瞬間移動したラミアーのデコピンに弾き飛ばされる。
「わたし、躾のなっていない子供は、嫌いなのよぉ」
デコピンした指をハンカチで拭きながら、ラミアーは嫌そうに顔をしかめた。
弾かれたブラットの体は、壁を突き崩し廊下へと飛び出てしまう。
崩れた壁の向こうに、女性陣に出遅れた男性陣がいた。
リオールとネモ、そしてアルディアだ。
暖の目は、自然にアルディアに惹き付けられる。
久しぶりに見た彼は長かった銀の髪をバッサリ切って、少し精悍さが増していた。
(相変わらず、信じられないくらいキレイだけど……でも、ちょっと痩せた?)
暖の目に涙が浮かぶ。
アルディアも、白い頬を赤く染め――――
「………………お前はっ! なんて格好をしているんだ!!」
ビシッと彼女を指さしたアルディアは、ものすごい剣幕で怒鳴りつけた。
立っていることができずに暖はその場にしゃがみこんだ。
「ダンケル!」
「立て! 行くんだ!」
咄嗟に目を瞑り名を呼べば、緊迫した声が返ってくる。
迷いながらも暖は立ち上がり、走り出した。
ダンケルは彼女の安全を第一にしてくれている。
彼が逃げろと言うからには、それが最善なのだ。
「ハッ! 笑止。大人しく我の後継者におさまり玉座を狙う野心も見せぬお前が、我に敵うものか!」
背後では、魔王がダンケルを嘲笑う声が聞こえた。
「俺は、無駄な争いをするつもりがなかっただけだ!」
凛としてダンケルは言い返す。
「戦いを無駄と考えるような魔族は、魔族と呼べん!」
「父上のような魔族のあり方は、もう古い!」
突如として親子喧嘩がはじまってしまった。
世代間ギャップの問題は、どうやら魔界でも変わらないらしい。
魔王とダンケルの戦いの行方は気になるが、振り返らずに暖は部屋から逃げ出そうとした。
ところが、そんな彼女の前にブラットが立ちはだかる。
「逃がすか! お前は俺が捕まえる! 父上に献上して俺が魔王の嗣子になるんだ!」
ついさっきまで瓦礫に埋もれて気を失っていたはずなのに――――本当に無駄に丈夫な魔族だった。
憎まれっ子世に憚るとは、彼のことを言うのだろう。
(冗談じゃないわ!)
暖は咄嗟に進路を九十度変えた。
幸いにして正妃の部屋からの出口は二つある。
もう一つの出口に向かおうとする彼女に、ブラットは手を伸ばしてきた。
「馬鹿な真似は、お止めなさい!」
ブラットの手が暖に触れるという寸前で、いつの間に移動したのか突如暖とブラットの間に現れた正妃が、その手を叩き落す。
魔王の妃の頂点に立つ女性は、キッとブラットを睨みつけた。
その後ろで、
「ウララ、こっちよ!」
背後からモノアが近づき、そっと囁いてくる。
「魔王さまに逆らうのは怖いけれど……でも、今はダンケルさまの方が正しいと思うから」
魔王とダンケルの言い争いを呆然と見ていた正妃やモノアたちだが、彼女たちは彼女たちなりにいろいろ考え決意をつけたらしい。
妃であり王の寵愛を競う立場の彼女たちが魔王の意に反することはかなり大きな葛藤だっただろう。
それでも、暖を守ろうとしてくれる二人の心が嬉しかった。
「さあ、早く! 正妃さまがブラットさまを止めている間に」
モノアは暖を導き走り出す。
胸をいっぱいにさせながら暖は後に続こうとした。
しかし、その暖の目の前からモノアの姿がかき消える。
「キャァ!」
悲鳴の後を追えば、モノアは暖の横に倒れていた。
「魔王さまに逆らうことは、私が許さないわ」
代わりに現れたのはイノトだった。
もう一人の魔王の側妃は、目をギラギラと光らせている。
「イノト! 止めなさい!」
モノアの悲鳴を聞いた正妃は、ブラットと対峙しながらも制止の声をあげた。
「私の忠誠は、魔王さまのものです」
揺るぎない信念を見せるイノト。彼女もまた彼女なりに考えて決意したのだろう。
イノトは、そのまま手の中に光る球を生み出した。ソフトボールくらいの大きさになったそれを、暖めがけ投げつけようとしてくる。
「止めなさい! 自動報復魔法が発動するわ!」
正妃が悲鳴のような叫びをあげた。
「殺しはしません! 気絶させて地下牢へ運ぶだけです。……それなら報復も少ないはず」
いやいや、絶対アウトだろう。
イノト自身、暖の報復魔法を身を持って知っているはずなのに、どうして大丈夫だと思えるのか?
こんなところは、やっぱりブラットの母だと思わざるをえなかった。
暖は、咄嗟に自らを庇うように両手を体の前に上げる。
(ダメよ! 魔界が滅んじゃう!)
心配なのは、自分ではなく魔界――――ブラットや正妃、モノアたちだった。
「……オ願イ! 誰カ、誰カ、助ケテッ!」
力いっぱい、叫ぶ。
視界が白く染まって――――
「…………やれやれ、そこまで頼まれては、助けぬわけにはいかんな」
なんだかやる気なさそうな老婆の声が暖の耳に届いた。
イノトの放った攻撃は、暖の元には届かず代わりにふわりと体が抱き上げられる。
「ウララ、もう大丈夫だぞ」
耳元で囁かれたのは、年配の女性のしっかりとした声だ。
「……ウルフィア!」
彼女を抱き上げたのは、立派な騎士服に身を包んだ女老騎士だった。
「なあにぃ? このみっともない女たちは? こんなアンバランスな体を晒して、よく平気でいられるわねぇ?」
心底呆れた声をあげたのは相変わらず美人なラミアーで、気づかぬうちに暖の側に立っている。
三人の頼りになる――――なり過ぎる女性たちが、暖の目の前に現れた。
「なんだ! お前た――――グホォォッ!」
彼女たちを大声で誰何しようとしたブラットが、セリフの途中でスッと瞬間移動したラミアーのデコピンに弾き飛ばされる。
「わたし、躾のなっていない子供は、嫌いなのよぉ」
デコピンした指をハンカチで拭きながら、ラミアーは嫌そうに顔をしかめた。
弾かれたブラットの体は、壁を突き崩し廊下へと飛び出てしまう。
崩れた壁の向こうに、女性陣に出遅れた男性陣がいた。
リオールとネモ、そしてアルディアだ。
暖の目は、自然にアルディアに惹き付けられる。
久しぶりに見た彼は長かった銀の髪をバッサリ切って、少し精悍さが増していた。
(相変わらず、信じられないくらいキレイだけど……でも、ちょっと痩せた?)
暖の目に涙が浮かぶ。
アルディアも、白い頬を赤く染め――――
「………………お前はっ! なんて格好をしているんだ!!」
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