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第四章 選んだ先の未来へ向かいます!
恋する男の当然の態度だそうです
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再会と同時に怒られて、暖の気分は急降下する。
相手はあのアルディアなのだからロマンティックな再会になるなんて思ってはいなかったが、ちょっとあんまりなのではないだろうか?
「なによ?」
ムッとしながら考え込んだ。
――――“格好”とは、なんのことだろう。
その後、ハッ! として、自分の体を見おろす。
「キャァッ~!」
大きな悲鳴をあげてしまった。
そういわれれば、暖はアラビアンナイトの踊り子風衣装を着ていたのだ。
おへそや腰が丸見えの、スケスケキラキラで非常にセクシーな衣装である。
(ちょっ、ちょっと待って!)
暖は焦ってその場に踞った。
隠せるはずもないのだが、必死に体を見せまいとして小さく小さくなろうとする。
そうして恐々と視線を向ければ、アルディアはプルプルと体を振るわせていた。
彼の隣に立つエルフのリオールは、真っ赤になって硬直している。
ネモは、あちゃ~という表情で額を抱えていた。
「おぬしら、何をやっておるんじゃ?」
暖と男たちの様子を見たディアナが呆れたように聞いてくる。
「あぁら? ウララにしては珍しく可愛い格好をしていると思っていたのに、どうして隠すのかしらん?」
ラミアーはクスクスと含み笑いをした。彼女がこの事態を面白がっているのは間違いない。
「こ、これは……その……」
暖はしどろもどろになりながら、なんとか弁解しようとした。
しかし、必死になればなるほど、頭の中でうまく言葉が組み立てられない。
そんな彼女に向かい、アルディアが怖い顔で近寄ってきた。
暖の直ぐ横に立つと黙ったまま上着を脱ぎはじめる。
……やがてバサッと音がして、温かな重みが暖の肩にかかった。
アルディアが羽織っていた上着をかけてくれたのだ。
「アルディア……」
「さっさと着ろ!」
相変わらず傍若無人の命令口調だった。
それでも上着は温かくて、優しさが体に沁みてくる。
もそもそと体を動かし、暖はアルディアの上着に袖を通した。
病弱であってもやっぱり男性。彼の上着はブカブカで、袖口は余るし裾は暖の膝まで届くほど長い。
――――いわゆる彼シャツみたいな状況になってしまったが、そこは深く考えないようにした。
「私、これは、魔族の女性を治そうとして――――」
「わかった。わかったから、ちゃんと着てくれ!」
それでもなんとか言い訳をしようとする暖の言葉を遮り、アルディアが叫ぶ。
「……ったく、どうしてお前は、こんなに私を焦らせるんだ!」
そうは言われても暖だって好きでアルディアを焦らせているわけではない。
不可抗力だと思うし、原因の半分はわがままなアルディアの性格だ。――――面と向かって言おうものなら倍になって言い返されるから、言ったりはしないが。
「あぁら、そんなの。……好きな女の一挙手一投足に反応してしまうのは、恋する男にとっては当然のことよね」
二人の様子をニヤニヤと見ていたラミアーが、ひどく楽しそうにそう言った。
「へっ!? ス、好キ!?」
「恋する男!?」
暖とアルディアは、同時に大声で叫んでしまう。
カ~ッ! と、二人とも真っ赤になってお互い顔を見合わせた。
「あらあら、初々しい反応だこと」
ラミアーはますます楽しそうだ。
「揶揄ナ――――」
「そんなことをしている場合ですか!」
揶揄うラミアーを止めようとした暖の声に被せるように、エルフの声が響いた。
そういえばリオールとネモもアルディアと一緒に来たのだったと、暖は思い出す。
慌ててそちらを見れば、いつの間にかエルフとドワーフは城内から続々と駆けつけてくる魔族と戦っていた。
……まぁでも……なんというか、見るからに一方的な戦いである。
「私だって、ウララの側に行きたいのに!!」
叫ぶリオールの手からは暴風が吹きだし、駆けつけてくる大柄な魔族たちをまとめて彼方に吹き飛ばす!
「ワッハッハッ! いやぁ、若いもんの恥じらう姿はいいな。俺まで若返った気がするぞ!」
笑いながら戦うネモの周囲には、倒された魔族の山ができていた。
相手はあのアルディアなのだからロマンティックな再会になるなんて思ってはいなかったが、ちょっとあんまりなのではないだろうか?
「なによ?」
ムッとしながら考え込んだ。
――――“格好”とは、なんのことだろう。
その後、ハッ! として、自分の体を見おろす。
「キャァッ~!」
大きな悲鳴をあげてしまった。
そういわれれば、暖はアラビアンナイトの踊り子風衣装を着ていたのだ。
おへそや腰が丸見えの、スケスケキラキラで非常にセクシーな衣装である。
(ちょっ、ちょっと待って!)
暖は焦ってその場に踞った。
隠せるはずもないのだが、必死に体を見せまいとして小さく小さくなろうとする。
そうして恐々と視線を向ければ、アルディアはプルプルと体を振るわせていた。
彼の隣に立つエルフのリオールは、真っ赤になって硬直している。
ネモは、あちゃ~という表情で額を抱えていた。
「おぬしら、何をやっておるんじゃ?」
暖と男たちの様子を見たディアナが呆れたように聞いてくる。
「あぁら? ウララにしては珍しく可愛い格好をしていると思っていたのに、どうして隠すのかしらん?」
ラミアーはクスクスと含み笑いをした。彼女がこの事態を面白がっているのは間違いない。
「こ、これは……その……」
暖はしどろもどろになりながら、なんとか弁解しようとした。
しかし、必死になればなるほど、頭の中でうまく言葉が組み立てられない。
そんな彼女に向かい、アルディアが怖い顔で近寄ってきた。
暖の直ぐ横に立つと黙ったまま上着を脱ぎはじめる。
……やがてバサッと音がして、温かな重みが暖の肩にかかった。
アルディアが羽織っていた上着をかけてくれたのだ。
「アルディア……」
「さっさと着ろ!」
相変わらず傍若無人の命令口調だった。
それでも上着は温かくて、優しさが体に沁みてくる。
もそもそと体を動かし、暖はアルディアの上着に袖を通した。
病弱であってもやっぱり男性。彼の上着はブカブカで、袖口は余るし裾は暖の膝まで届くほど長い。
――――いわゆる彼シャツみたいな状況になってしまったが、そこは深く考えないようにした。
「私、これは、魔族の女性を治そうとして――――」
「わかった。わかったから、ちゃんと着てくれ!」
それでもなんとか言い訳をしようとする暖の言葉を遮り、アルディアが叫ぶ。
「……ったく、どうしてお前は、こんなに私を焦らせるんだ!」
そうは言われても暖だって好きでアルディアを焦らせているわけではない。
不可抗力だと思うし、原因の半分はわがままなアルディアの性格だ。――――面と向かって言おうものなら倍になって言い返されるから、言ったりはしないが。
「あぁら、そんなの。……好きな女の一挙手一投足に反応してしまうのは、恋する男にとっては当然のことよね」
二人の様子をニヤニヤと見ていたラミアーが、ひどく楽しそうにそう言った。
「へっ!? ス、好キ!?」
「恋する男!?」
暖とアルディアは、同時に大声で叫んでしまう。
カ~ッ! と、二人とも真っ赤になってお互い顔を見合わせた。
「あらあら、初々しい反応だこと」
ラミアーはますます楽しそうだ。
「揶揄ナ――――」
「そんなことをしている場合ですか!」
揶揄うラミアーを止めようとした暖の声に被せるように、エルフの声が響いた。
そういえばリオールとネモもアルディアと一緒に来たのだったと、暖は思い出す。
慌ててそちらを見れば、いつの間にかエルフとドワーフは城内から続々と駆けつけてくる魔族と戦っていた。
……まぁでも……なんというか、見るからに一方的な戦いである。
「私だって、ウララの側に行きたいのに!!」
叫ぶリオールの手からは暴風が吹きだし、駆けつけてくる大柄な魔族たちをまとめて彼方に吹き飛ばす!
「ワッハッハッ! いやぁ、若いもんの恥じらう姿はいいな。俺まで若返った気がするぞ!」
笑いながら戦うネモの周囲には、倒された魔族の山ができていた。
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