だからウサギは恋をした

東 里胡

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第四章 うさぎパパ、おかえりなさい

4-3

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「ねえ、卯依、中学受験をしてみない? 今からじゃ大変かもしれないけど」
「受験?」
「そう、東京のマンションから通えるところには、色んな私立の学校もあってね」

 パパとママの間に座らされて見せられたタブレットの中には、たくさんの私立中学のホームページがあった。

「こことか、どう? 家からも近いし。あ、少し遠くの方がいいなら、ここなんかも。制服が可愛い女子中なんかもあるのよ」

 私の気持ちをどうにか、受験へと向かわせようとしているママが色々勧めてくれる。
 その中の一つの制服がかわいいなって思った。
 緑色のプリーツスカートが、大人っぽくて校舎の壁が真っ白で青空に映えた写真の中、笑顔の生徒が映っていた。
 ママからタブレットを受け取り、その中学の口コミを調べる。

「どうしてもって言うなら、ここがいい」

 指をさしたのが鈴城学園だった。
 私が指す口コミの内容を確認したパパもママも、納得したみたい。
 割と難関校であれど、生徒主体の自由な校風であると謳われていた。
 なにより、イジメが少ないらしい。それにホッとしてしまう。
 別に今までずっとイジメられていたわけじゃない。だけど、転校生はいつだって変に目立つんだもん。
 だから、できるだけ静かにしていたら『高梨卯依は、口数の少ないおとなしい子』というレッテルを貼られ続けていた。
 次の小学校では、うまくやるって転校の度に思っていたのに、なにも変われなかった。
 自分からもっと話しかければ良かったんだと思う。
 でも、怖かったの、自分の存在を否定されるのが。マジメすぎるって言われたりしないかなって。
 私から話しかけたりしたら、嫌がられるんじゃないだろうか。あの時みたいに、無視されちゃうんじゃないか――。
 そんな風に思っていたから。

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