だからウサギは恋をした

東 里胡

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第九章 うさぎ、パニック!

9-6

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「そっか、わかった」

 ゴシゴシと私の頭をなでてニッと笑った副会長と共に屋上を降りる。

「来年は、この鍵うさぎちゃんにあげよっか」
「え? いいんですか?」
「いいの、いいの。代々生徒会に伝わってきた鍵なんだ。どうせ、来年もいるでしょ、生徒会」
「そうなんですか?」
「そうそうよっぽどのことがなければ、鈴城学園書記は、そのまま繰り上げで生徒会役員になるんだよ。ま、オレは去年、愁と明日香に負けて今年再候補して当選したんだけどね」

 なるほど、そういうことか。
 去年の生徒会役員の写真の中に、吉居先輩はおらず、会長と明日香先輩が後列に並んで立ち、前列真ん中になっちゃん先輩が笑っていた。

「だから、オレもうさぎちゃんや、大樹と同じ生徒会役員一年目なの。仲良くしようね」

 ね、と笑った吉居先輩がふざけるように私の肩を抱いて、昇降口へと送り出そうとしてくれた時だった。

「あれ? なんで?」

 後ろからかかった声に二人で振り向くと、会長となっちゃん先輩と明日香先輩がそこに立っていた。
 待って、さっき帰るって言ってたのに、また会っちゃうなんて。しかも。

「ねえ、吉居! うさぎちゃんから手を離して、汚らわしい」
「ちょっと、明日香! オレ、汚くなんかないってば」
「そういう意味じゃなくって」

 明日香先輩の声に、吉居先輩が私の肩からあわてて手を離す。
 そんな中で、会長と目があったら、フイっと反らされた。
 胸の奥がズキズキする。

「うさぎちゃん、歯医者の時間って」

 なっちゃん先輩の声で私は。

「そ、そうでした! 帰ります、帰ります、また明日です~!」

 髪の毛がハシンバシンと頬を打つくらいに勢いよく頭をさげて、顔を上げることなく靴を履き替え一目散に逃げる。
 タイミングが悪い日ってあると思うけど。吉居先輩と会うために早く帰ったと思われてないかな?
 待って、さっき仲良くしてたの見られたし。
 それって私が、会長から吉居先輩に乗り換えたように見られていない?
 校門前を一気に駆け抜けて坂を下る。
 学校が見えなくなってからようやく足を止めて長い一日を振り返るようにため息をついた。
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