だからウサギは恋をした

東 里胡

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第十三章 全力うさぎ、背中を押してくれた人

13-2

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 ボーッとしていた私の横の子がボールをキャッチしそこねて、外野に出て行く。
 そうだ、今は試合中だった!
 あわてて身構えると、相手チームには鬼のような形相のサツキちゃんが、そこにいた。
 大樹くんの言っていた『肩が強い女子』っていうのは、サツキちゃんのことだったようだ。
 私は逃げるのが精一杯なのに、気づけばそのボールがずっと私を狙っているような気がする。
 いや、狙ってるんだ。ボールから逃げる度に、あのメールがよみがえってくる。

『baby don't cry(泣かないで、赤ちゃん)』
 赤ちゃんなんかじゃないもん!

『Look at me, baby(こっちを見てよ、赤ちゃん)』
 見たくなかった、あなたのことなんか思い出したくなかった。
 五分がとっても長く感じた。
 私、立ってるのツライ。逃げてるのもツライ。

『Smile, baby(笑って、赤ちゃん)』
 笑えないよ! あの時、笑うことなんてできなかった!
 息切れをしているのは私だけで、サツキちゃんはまだまだ余裕そうに見えていたけど。

『listen to me(私の話を聞いて)』
 聞きたくなかったよ、あなたの過去なんて。聞いてしまったら、私は。

「『Unfair(ズルイ)』
 ズルイよ、あなたを許すしかなくなってしまうのに。

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