だからウサギは恋をした

東 里胡

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第十三章 全力うさぎ、背中を押してくれた人

13-3

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 唇をかみしめた私の足元にワンバウンドしたボールが転がってきた。
 ボールを拾い上げて、サツキちゃんを見たら泣き出しそうな顔で私をにらんでいた。
 そっか、サツキちゃんだって余裕なんかなかったんだ。

「うさぎ! 両足を肩幅くらいに開いて腰を落とせ! 体全体をやや前かがみ、両手はおなかの位置だぞ! おなかと両手で包み込むようにして、体全体でボールをキャッチする。覚えてるか? 取ったら全力で投げろ! 全身をバネにして投げるんだぞ」

 え? 会長の声が聞こえてハッとして周りを見たら、生徒会役員の面々が私を見ていた。

「がんばれ、うさぎちゃん! 試合はまだまだこれからだよ」

 なっちゃん先輩が笑顔で手を振っている。

「ごめん、審判だけど今だけはうさぎちゃんを応援させて。がんばれ、うさぎちゃん!」

 明日香先輩が珍しく顔を真っ赤にして大きな声を出すから、他のクラスの子たちもビックリしてる。

「四組の敵を取ってくれ!」

 大樹くんの叫び声。

「うさぎちゃんも前川もがんばれ! オレはどっちも応援する!」

 吉居先輩の応援には皆がどっと笑って、サツキちゃんもふと表情をゆるめる。
 そして。

「がんばれ、うさぎ! 絶対、負けるな! 俺がついてる」

 はい、会長! 負けません! 負けたくないです!
 だって私には、会長がついてる。生徒会の皆やクラスの友達が側にいてくれる。
 あの頃の自分には、もう負けたくないから。

「よしっ」

 息を吸って、サツキちゃん目掛けて渾身の送球をする。
 まさか私がそんなに強いボールを投げると思ってなかったのか、不意をつかれたのか。

「えっ……」

 私のボールを受け損ねたサツキちゃんは、アウトになったのだった。

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