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第四章「らしくない、ヒューガ」
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「あれ?」
誰かの声に振り向く前にチロルはキーホルダーへと形を変えた。
振り向いたら、タブレットを片手にわたしを見て足を止めているミサキちゃんがいた。
「ミサキちゃん、もしかして明日の校外学習の? 昨日も調べてくれたのに、今日も?」
わたしの指摘にミサキちゃんはタブレットをあわてて背中に隠してしまう。
「べ、べつに、あたしはただ明日の道が間違ってないかなあって、念のためよ」
「もしかして、ミサキちゃんも工場跡地の歴史見にきてくれた?」
だってこの辺りにある目的地は工場跡地と大きな神社くらいだし。
ミサキちゃんは『昨日ね、あたしが見てきた工場跡地には石碑があったの』、ってそう言ってたもん。
「だ、だってルート上だし! そりゃあ通りかかるでしょうよ」
フンっとほっぺたをふくらませてるけど、ミサキちゃんは面倒見がいいし、きっと今日のヒューガの様子も気にしてくれていたんだろうな
「うちの班に、ミサキちゃんがいてくれて良かった」
「はあ?」
「ミサキちゃんのおかげで、明日の校外学習スムーズに周れそうだし、しっかり皆下調べもできたし」
「まあ、一人できてない人はいたけどね」
「ああ、うん」
ヒューガのことだと苦笑いしたら、ミサキちゃんが少しだけため息をついた。
「なんか、ボーッとしてない? 最近」
「へ?」
「ほら、うちのリーダー! 学校ではボーッとしてるし、放課後になると教室を一番最初に出て行くじゃない?」
確かに、そうだ。
コクコクと頷いたら、目の端に虫取り網を片手に歩く親子連れが目に入る。
ミサキちゃんの視線もそれを追いかけていた。
「あれって、百万円のネコでも探してるのかな? もしかして、ヒューガくんもだったり……」
ヒューガに限って、そんなことはしてない気もする。
それにしても、百万円ネコ探しの人々、昨日も今日もよく見かけるし増えてるような?
「ネコ、追いかけまわしたら、かわいそうだよね」
ミサキちゃんがポツンとつぶやいた。
「うん、そう思う」
「だよね、見かけてもあたしは絶対に捕まえたりしない! 誰か優しい人に飼われていて、くれたらいいのになあ」
ね、とわたしの方を見て同意を求めたミサキちゃん。
わたしが笑顔で頷いたら、急になにかを思い出したように目を反らした。
「えっと、あたし帰らなくちゃ。また明日、学校でね。メイちゃん」
「あ、うん、バイバイ」
お互いに手を振り合ってからミサキちゃんがまたハッとしたように背中を向けて早歩きしていく。
その背中がなんだか照れているみたいに思えた。
いつ以来かな、ミサキちゃんからの『メイちゃん、また明日ね』は。
なんだか嬉しくて泣きそうになっている。
明日は今日よりもっとお話できたらいいな、そう願った。
誰かの声に振り向く前にチロルはキーホルダーへと形を変えた。
振り向いたら、タブレットを片手にわたしを見て足を止めているミサキちゃんがいた。
「ミサキちゃん、もしかして明日の校外学習の? 昨日も調べてくれたのに、今日も?」
わたしの指摘にミサキちゃんはタブレットをあわてて背中に隠してしまう。
「べ、べつに、あたしはただ明日の道が間違ってないかなあって、念のためよ」
「もしかして、ミサキちゃんも工場跡地の歴史見にきてくれた?」
だってこの辺りにある目的地は工場跡地と大きな神社くらいだし。
ミサキちゃんは『昨日ね、あたしが見てきた工場跡地には石碑があったの』、ってそう言ってたもん。
「だ、だってルート上だし! そりゃあ通りかかるでしょうよ」
フンっとほっぺたをふくらませてるけど、ミサキちゃんは面倒見がいいし、きっと今日のヒューガの様子も気にしてくれていたんだろうな
「うちの班に、ミサキちゃんがいてくれて良かった」
「はあ?」
「ミサキちゃんのおかげで、明日の校外学習スムーズに周れそうだし、しっかり皆下調べもできたし」
「まあ、一人できてない人はいたけどね」
「ああ、うん」
ヒューガのことだと苦笑いしたら、ミサキちゃんが少しだけため息をついた。
「なんか、ボーッとしてない? 最近」
「へ?」
「ほら、うちのリーダー! 学校ではボーッとしてるし、放課後になると教室を一番最初に出て行くじゃない?」
確かに、そうだ。
コクコクと頷いたら、目の端に虫取り網を片手に歩く親子連れが目に入る。
ミサキちゃんの視線もそれを追いかけていた。
「あれって、百万円のネコでも探してるのかな? もしかして、ヒューガくんもだったり……」
ヒューガに限って、そんなことはしてない気もする。
それにしても、百万円ネコ探しの人々、昨日も今日もよく見かけるし増えてるような?
「ネコ、追いかけまわしたら、かわいそうだよね」
ミサキちゃんがポツンとつぶやいた。
「うん、そう思う」
「だよね、見かけてもあたしは絶対に捕まえたりしない! 誰か優しい人に飼われていて、くれたらいいのになあ」
ね、とわたしの方を見て同意を求めたミサキちゃん。
わたしが笑顔で頷いたら、急になにかを思い出したように目を反らした。
「えっと、あたし帰らなくちゃ。また明日、学校でね。メイちゃん」
「あ、うん、バイバイ」
お互いに手を振り合ってからミサキちゃんがまたハッとしたように背中を向けて早歩きしていく。
その背中がなんだか照れているみたいに思えた。
いつ以来かな、ミサキちゃんからの『メイちゃん、また明日ね』は。
なんだか嬉しくて泣きそうになっている。
明日は今日よりもっとお話できたらいいな、そう願った。
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