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第六章「博士の遺言」
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「で、どうするんだよ? これから。オレたち、いつ学校に戻るんだ?」
「えっと、アイルちゃんとチロルを安全な場所に隠して」
「安全な場所なんかどこにもないよ。もうすぐ研究所の人たちがボクらを迎えにやってくるし。その前に腹ごしらえしとかなんきゃ」
「アタシは、おばあちゃんのところには戻ってもいいけど、研究所には行かないよ? 戻るならチロルだけで、どうぞ」
「そんな無茶言うなよ、アイルのおばあちゃんは先日」
「……、そうだよ。死んじゃったんだもん……。だから、アタシ未来には戻らないもん」
「はー? じゃあ、これからどうするって言うんだよ」
一気に食べ終えたアイルちゃんは、優雅に毛づくろいをはじめる。
まだ食べてる途中のチロルは、不服そうにアイルちゃんを見ていた。
「ねえ、アイルちゃん、チロル。二人は一体どうしてケンカしちゃったの?」
プイッとそっぽを向いているアイルちゃんとチロルをどうにかしたくて、そのケンカの理由を聞いてみた。
「聞いてくれる? メイちゃん! チロルってば、本当にひどかったの! アタシの言うこと全然信じてくれなかったのよ」
「だって、ボクらは生まれた時から人間を幸せにすることで、幸せをチャージができ、それをボクらの健康や、エネルギーに還元させることが目的だって言われてきたんだよ? 実際、アイルだって、それをわかっていたはずだよね? なんでいきなり考えが変わったんだよ」
「いきなり、じゃないもん」
と、アイルちゃんは寂しそうにつぶやいて、わたしたちにケンカの原因を教えてくれた。
「アタシの最初の飼い主さんは、農場主のケリーさんだったの。ケリーさん家はネズミが多くて、アタシはネズミ捕りが得意だったから、いつも褒めてもらえたわ。ケリーさん一家がうれしそうだったから、幸せチャージもいつだって満タンになってたのよ」
「幸せチャージってなに?」
なにもわからないヒューガが口をはさむので、手短にわたしが説明した。
「チロルやアイルちゃんが着けてるこの石は、人間を幸せにするとピンク色に光って幸せをチャージするんだって。そのチャージのおかげで、病気がちなこの子たちは健康を維持して、更にあまったチャージは未来の人間の電力なんかに還元されるみたいなの」
「そういえば、さっきピンク色に光ってたよな? アイルの石」
「うん」
あれは多分、ヒューガの笑顔を見てアイルちゃんが嬉しくなったからだ。
わかったのかわからないのか、うなずいたヒューガが黙ると、アイルちゃんが話を続けた。
「えっと、アイルちゃんとチロルを安全な場所に隠して」
「安全な場所なんかどこにもないよ。もうすぐ研究所の人たちがボクらを迎えにやってくるし。その前に腹ごしらえしとかなんきゃ」
「アタシは、おばあちゃんのところには戻ってもいいけど、研究所には行かないよ? 戻るならチロルだけで、どうぞ」
「そんな無茶言うなよ、アイルのおばあちゃんは先日」
「……、そうだよ。死んじゃったんだもん……。だから、アタシ未来には戻らないもん」
「はー? じゃあ、これからどうするって言うんだよ」
一気に食べ終えたアイルちゃんは、優雅に毛づくろいをはじめる。
まだ食べてる途中のチロルは、不服そうにアイルちゃんを見ていた。
「ねえ、アイルちゃん、チロル。二人は一体どうしてケンカしちゃったの?」
プイッとそっぽを向いているアイルちゃんとチロルをどうにかしたくて、そのケンカの理由を聞いてみた。
「聞いてくれる? メイちゃん! チロルってば、本当にひどかったの! アタシの言うこと全然信じてくれなかったのよ」
「だって、ボクらは生まれた時から人間を幸せにすることで、幸せをチャージができ、それをボクらの健康や、エネルギーに還元させることが目的だって言われてきたんだよ? 実際、アイルだって、それをわかっていたはずだよね? なんでいきなり考えが変わったんだよ」
「いきなり、じゃないもん」
と、アイルちゃんは寂しそうにつぶやいて、わたしたちにケンカの原因を教えてくれた。
「アタシの最初の飼い主さんは、農場主のケリーさんだったの。ケリーさん家はネズミが多くて、アタシはネズミ捕りが得意だったから、いつも褒めてもらえたわ。ケリーさん一家がうれしそうだったから、幸せチャージもいつだって満タンになってたのよ」
「幸せチャージってなに?」
なにもわからないヒューガが口をはさむので、手短にわたしが説明した。
「チロルやアイルちゃんが着けてるこの石は、人間を幸せにするとピンク色に光って幸せをチャージするんだって。そのチャージのおかげで、病気がちなこの子たちは健康を維持して、更にあまったチャージは未来の人間の電力なんかに還元されるみたいなの」
「そういえば、さっきピンク色に光ってたよな? アイルの石」
「うん」
あれは多分、ヒューガの笑顔を見てアイルちゃんが嬉しくなったからだ。
わかったのかわからないのか、うなずいたヒューガが黙ると、アイルちゃんが話を続けた。
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