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第六章「博士の遺言」
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「チロルやアイルちゃんは、時間を止めたり戻れたりできるんでしょう? それで、研究所の人たちから逃げられないのかな?」
「ボクだってそれができるなら、とっくにしてるさ。この装置を作った人たちだよ? 彼らには効かないんだ」
「今頃はもうさっき連絡した場所に到着し、アタシたちのことを探してると思うわ」
「ええっ!?」
思わずリビングのカーテンを引き、部屋の片隅に固まった。
「なにかいい手はないの? 帰らなくて済む方法」
「へ?」
「だって、チロルもアイルちゃんもここがいいんでしょ? え? 違う?」
ビックリしたような顔でチロルがわたしを見上げていた。
「アタシはヒューガの側がいい。もしね、ヒューガのお母さんがダメだって言うなら、仕方ないから野良猫になって側にいるしかできないけど」
「それはさせない! オレが必ず説得するから」
大事そうにアイルちゃんを抱きしめているヒューガの隣で、わたしもチロルを見つめてたずねる。
「チロルは、元の世界に戻りたい? ここにいたい?」
「ボクは……、いてもいいの?」
「え?」
「メイたちの側にいても、いいの? 迷惑じゃない?」
「迷惑なわけない! いてよ、ずっといなよ! わたし、チロルともっと一緒にいたいよ」
わたしの中でも、いつの間にかチロルは特別なネコになってしまったんだもん。
しゃべったり、魔法を使えたり、それが特別ってことではない。
家の中で好き勝手に過ごしている姿に、いつの間にかいやされて、学校から帰ってる時だってチロルのこと考えちゃってる。
新しいネコを飼うのが怖かった。
ミイのように、またいつかわたしより先にいなくなってしまうって思ったら、飼う勇気がでなかったけど。
わたしは、チロルとこの先もずっと一緒にいたい。
「一緒に考えよう、どうしたらチロルとアイルちゃんがここにいられるか」
ヒューガとアイルちゃん、そしてチロルもうなずいてくれたから、思わず強くチロルを抱きしめた。
「痛いよ、強すぎるって、メイってば!」
強く抱きしめすぎたみたいで、チロルが腕の中で暴れていた。
「ボクだってそれができるなら、とっくにしてるさ。この装置を作った人たちだよ? 彼らには効かないんだ」
「今頃はもうさっき連絡した場所に到着し、アタシたちのことを探してると思うわ」
「ええっ!?」
思わずリビングのカーテンを引き、部屋の片隅に固まった。
「なにかいい手はないの? 帰らなくて済む方法」
「へ?」
「だって、チロルもアイルちゃんもここがいいんでしょ? え? 違う?」
ビックリしたような顔でチロルがわたしを見上げていた。
「アタシはヒューガの側がいい。もしね、ヒューガのお母さんがダメだって言うなら、仕方ないから野良猫になって側にいるしかできないけど」
「それはさせない! オレが必ず説得するから」
大事そうにアイルちゃんを抱きしめているヒューガの隣で、わたしもチロルを見つめてたずねる。
「チロルは、元の世界に戻りたい? ここにいたい?」
「ボクは……、いてもいいの?」
「え?」
「メイたちの側にいても、いいの? 迷惑じゃない?」
「迷惑なわけない! いてよ、ずっといなよ! わたし、チロルともっと一緒にいたいよ」
わたしの中でも、いつの間にかチロルは特別なネコになってしまったんだもん。
しゃべったり、魔法を使えたり、それが特別ってことではない。
家の中で好き勝手に過ごしている姿に、いつの間にかいやされて、学校から帰ってる時だってチロルのこと考えちゃってる。
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「一緒に考えよう、どうしたらチロルとアイルちゃんがここにいられるか」
ヒューガとアイルちゃん、そしてチロルもうなずいてくれたから、思わず強くチロルを抱きしめた。
「痛いよ、強すぎるって、メイってば!」
強く抱きしめすぎたみたいで、チロルが腕の中で暴れていた。
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