ハピネコは、ニャアと笑う

東 里胡

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第六章「博士の遺言」

6-9

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「さあ、どうします? 私どもも手荒な真似はしたくないんですよ。ただウチのネコたちを黙って返し下さればいいのです。あとはこちらにお任せあれ。ここで起きたことは、ぜーんぶもみ消しておきますから、心配ご無用! あ、壁の穴も完璧に塞ぎますのでね」
「そういう問題じゃない! アイルのこと、どうするつもりだよ!!」

 ヒューガが、アイルちゃんとチロルを抱き上げてわたしに手渡す。
 絶対に離すなと託されたようだ。
 ヒューガの背中に隠れながら、二人を抱きしめた。

「困らせないでいただけます? ただでさえ、アイルの思想のせいで、今未来ではプチパニックが起きて、ぞの対応に追われているんです。ハッピーペットたちが働かないのです。そのせいで研究所が訴えられそうでしてね。わかりますか? 研究所が訴えられて存続できなくなったら、どうなるのか? 未来のエネルギーは? あの子たちの健康は? 賢いアイルならわかるでしょう?」

 腕の中でアイルちゃんが震えている。
 それを見てチロルが声をあげる。

「帰ったらアイルをどうするつもりだよ?」
「さあ? まだ研究所での処分は決定しておりません。所長の判断を待っているところです」
「それって、アイルの首輪を取り上げる、そういうことじゃないの?」
「まだそれも決まってませんよ。ただ、アイルにはハッピーペットとしての役割はもうないでしょうね」

 ヒューガの肩越しに、研究所の男の人が笑っているのが見えた。
 アイルちゃんが、ハッピーペットでなくなってしまったなら……、そんなのわかりきっていることだ。

「だったら、アイルもチロルも返さないよ! 訴えるっていうなら、そうすればいい! だけど、未来に戻ってこの子たちが幸せになれないなら、絶対に返すわけには行かない!」

 立ち上がったヒューガが、手を広げてわたしたちをガードした。
 その口ぶりで、本当に怒っているということが伝わってきた。

「じゃあ、まあ仕方ないでしょう。これ以上あなたたち、過去の、しかも子供らに時間を割いてるわけには行かないのでね。悪く思わないでくださいね」

 またクスリと嫌な笑い方をしたその人は、白衣の胸元から銀色に光る何かを取り出し、こちらに向けた。



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