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第一章
怪力を見せるには
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昼食を終えて、階下の居酒屋のランチタイムが終わるまでの間、教会でもらったテキストで、回復魔法の自主練習をしてみる。
今は、怪我人はいないから、効果が出ているのかはよく分からないけれど、手応えはある感じがする。
2時を回った辺りで、犬達も散歩に出したいし、洗浄魔法で綺麗にした食器を返しに階下へ降りる。
アニタさんも休憩中なのか、カウンターでコーヒーを飲んでいた。
「あら、持ってきてもらって悪いねぇ」
「いえ、あのー、アニタさん。 折り入って、ちょっとお願いがあるんですが」
「何だい? 改まっちゃって」
そこで、さっき思い付いた事を、実現できないか相談してみると、二つ返事でOKを貰えた。
「いいね。 面白いじゃないか、勝算は、もちろんあるんだろ?」
「はい、多分、大丈夫だと思います」
「それなら、段取りは任せておきな。 楽しくなってきたねぇ」
アニタさんも、ノリノリである。
「じゃあ、ちょっと散歩がてら、本屋さんに行って来ます」
「あぁ、気を付けて行っといで」
アニタさんに見送られて、商店街を歩き出す。
犬達も、お外は大好きなので、嬉しそうにハツラツと歩いている。
まずは、本屋で地図を探したいので、昨日歩いた道をマーケット方面に進む。
途中、犬達が草むらで、おトイレするのを洗浄で綺麗にしつつ、昨日のマーケットの前まで15分程度で着いた。
すかさず、魔法バッグを開いて犬達に入ってもらう。
宿を出て来る前に、お水の入ったタッパー容器や、避難リュックに残っていたトイレシートなど用意して、使えるようにセットしておいたので、さほど、長時間でなければ大丈夫だろう。
「いいコにしててね」
そう、声を掛けると、
(中で遊んで、つかれたら てきとうに寝てるね)
との事なので、お任せしておこう。
マーケットに入って、すぐに階段を上る。
2階のフロアは何件かのテナントで構成されているらしく、本屋と寝具などを扱う店と、食器店が入っていた。
さっそく、本屋に入って世界地図を探す。
ほどなく、冊子になっている世界地図と、観光ブックのような、この地域の地図も見つけた。
あとは、
(この世界を知るのに、参考になりそうな本はないかな?)
と、見まわしてみると、子供向けの絵本に目が留まる。
“創世の物語” ~このくにのなりたちのおはなし~
と書いてある。
何となく気になったので、その絵本も買っておこう。
無事に地図を入手して、
(そういえば)
と、寝具のお店も見てみる。
魔法バッグの中で犬達が寝るなら、クッションとかラグとかも欲しいかも。
「いらっしゃいませ、なにかお探しですか?」
にこやかに対応してくれる、店員さんのお話を聞いていたら、いつの間にか羽根布団一式を購入していた。
びっくりである。
でもまぁ、わたしも犬達も、快適に寝られるのはいい事なので気にしないでおこう。
昨日、食器棚を買ったが、それはまだ空っぽの状態なので、少し食器も買ってもいいかも。
可愛らしい小花柄の食器のセットと、マグカップやカトラリーも一式購入。
あとは、階下のマーケットに降りて、更にお肉などを買い足した。
魔法バッグの容量が膨大なので、
(沢山買っておいてもいいかなぁ)
と、ちょっとタガが外れかけてる気もするが、念の為に備えて溜め込むのは、元からの、わたしの癖でもあるのだ。
以前の暮らしの中でも、非常用に色んな食材とか備蓄しまくっていたから、今、その血が滾っているのだろう。
さて、この位で宿に戻ろうかな。
魔法バッグを開けて犬達の様子を見ると、さっそく、先ほど放り込んだ羽根布団で丸まって寝ていた。
起こすのも可哀想なので、そのまま寝かせておく。
帰りの道すがら、お肉屋さんで、コロッケを6つ買ってお土産にする。
コータ達は、お仕事順調かな?
ひよどり亭に戻ると、アニタさんにコロッケを一個お土産に渡して、部屋に戻り、わたしもコロッケにかぶりつく。
揚げたてだから凄く美味しい。
次に、お風呂に入って汗を流す、その後は、ミミア達が帰るまでの間、一心に魔法の練習と習得に励むのだった。
夕方、仕事を終えて帰って来たミミア達に、コロッケをあげると、みんな大喜びですぐにパクついていた。
「ありがとう~。 もう、お腹ペコペコだったの、夕飯までもたないところだった~」
そう言いながら
「お風呂入って来るから、また、ご飯の時にね~」
と、部屋に戻って行く。
わたしも、魔法の練習に一区切りつけて、さっきの絵本を取り出し、パラパラと眺めてみる。
どうやら、この国の創世記を、子供向けの物語風に書いているものらしい。
あとは地図だが、世界地図は、元の世界の物とほぼ同じような地形のようで、今わたしがいるのは、どうやら元の世界的にはイタリアの辺りみたいだった。
そして王都は、ローマに当たる所みたい。
できれば、そこで救急救命士のコミネユウヤさんを探したい。
同じ日本から来た人なのか、話がしてみたい。
でも、一人で王都に向かうっていうのも、まだこの世界に不慣れな内は無謀だろうし、まずは、一旦コータ達と東のコリン村に行ってみるのが、やっぱり無難なのかな。
その日の夕食は、ビーフシチューにバゲット、ポテトサラダだった。
いつものごとく、誘いに来てくれたミミアとリムと一緒に、お腹をぐうぐう鳴らしながら階下に降りる。
犬達には、
「あとで、部屋に持ってくるからね」
と、我慢して部屋で待ってもらう事にした。
今夜も、居酒屋は盛況である。
賑わう客達を尻目に、テーブル席のコータとイシュリーの所に向かう。
アニタさんが優先してくれているのか、すぐに料理を運んでくれる。
「さぁ、今日も、お疲れさんだね。 たっぷり食べて英気を養っとくれ、楽しんで!」
さっそく、ポテトサラダから手を付けると、芋がゴロゴロしていて、胡椒の風味がぴりっと効いて、キュウリやコーンが入っているおかげで、噛み心地もシャキシャキ楽しい。
ビーフシチューは、お肉が噛まなくてもホロホロと崩れて、歯がいらないほどに煮込まれている。
デミグラスの濃厚な旨味に、生クリームがかけてあって、まろやかさも味わえる。
さらに、それにバゲットをちぎって、シチューをすくいながら口に入れると、もう絶品の美味しさだった。
夢中で、食べていると、
「なぁ、あれって、マナちゃんの提案なんだって?」
そう、コータに問いかけられる。
あれ、と、コータが親指で差す先には、アニタさんの手書きだろうか? カウンターの上に飾られた、でかでかとした横断幕に、
【明日、午前10時より、当店にてアームレスリング大会開催! 優勝パーティには豪華景品有り、奮って参加ください】
と書かれていた。
「うん、まぁ」
「アームレスリングねぇ。 パーティでの参加っていうなら、俺等も出るか?」
「え~、ミミアもリムも腕力ないよ~」
「代表で、俺だけやればいいだろ」
「それでも、構わないと思うよ、ウチも代表で出るのは、わたしだけの予定だし」
「やっぱ、マナちゃんも出るんか。 何、企んでる?」
「別に、何も」
「まぁ、いいけどさ。 お祭り騒ぎは大好きだし、明日は、俺等も1日休みの予定だしな」
「お互いに健闘しましょう」
「お、言うなぁ」
そう、アニタさんにお願いしたのは、アームレスリングの大会。
つまりは腕相撲だ。
これに勝ってみせれば、冒険者の人達も、わたしを、か弱いとは思えなくなるんじゃないのかな?
「あの、豪華景品って何だろうね~」
リムが、楽しそうに首を傾げる。
「あ、それは、わたしの魔宝石をひとつ出すつもり」
「え~、景品の出品者は、マナちゃんなの~?」
「アタシんとこからも、ランチ一週間分、食べ放題を出すよ!」
横から通り掛かりに、アニタさんが口を挟んで去って行く。
「へぇー、女将も太っ腹だな」
「そんなにイイ物が貰えるなら、参加者すごくなりそうね~」
そう、参加者は多ければ多いほどいい。
たくさんの人に見てもらう為にやるのだから。
そういえば、今後の事について、コータに返事をしなくちゃいけない。
「コータ、昨日、誘ってくれた件だけど」
「おう、考えてみた?」
「うん、これからずっと、という訳にはいかないと思うんだけど、まだ、わたしは、この世界の常識とか、色々、知らない事が多過ぎると思うから、しばらくは、コータ達のお仕事の手伝いをして、一緒に、いさせてもらいたいと思う」
「え~、マナちゃん、ずっとじゃないの~?」
ミミアが、口をとがらせる。
「うーん。 元いた場所に戻る手掛かりを探しに、自分達だけで旅が出来る自信がついたら、王都にも行きたいんだよね」
「王都か」
「うん」
「分かった。 まぁ、しばらくは、俺等と一緒に旅して、一般常識を身に付ける所からな」
そう言って、コータは笑った。
「はい、よろしくお願いします」
「こちらこそ、改めてよろしくだよ~」
「よかった~、まだ、マナちゃんと一緒にいたいもんね~」
イシュリーは、無言で頷いている。
今後の方針は、これで決まった。
コータ達、交易パーティと、しばらくは旅生活だ。
食事を終えると、みんなはコーヒーを頼んでいたが、わたしは、ひと足先に犬達用に作ってもらった、雑穀とモツの煮物を持って部屋に戻った。
ココ達は、
(おなかすいたぁ)
と、抗議しつつ、尻尾ブンブンで、まとわりついてくる。
「はいはい、お待たせ。 どうぞ」
と、お皿を置くと、待ってましたとばかりに、一斉に食べだした。
犬達の食事も、これまでのドッグフードに比べると、ずいぶん贅沢な物だ。
今までも、夕飯だけは、トッピングとして茹でたお肉や、ふかしたサツマイモなどを乗せてあげたりはしていたのだけど、もう口が肥えてしまって、以前のドッグフードだけでは、食べてくれないかもしれないな
でも、美味しそうに夢中で食べている様子は、見ているだけでも幸せな気持ちになる。
このコ達を守る為にも、明日の腕相撲大会は絶対に優勝しなくっちゃ。
今は、怪我人はいないから、効果が出ているのかはよく分からないけれど、手応えはある感じがする。
2時を回った辺りで、犬達も散歩に出したいし、洗浄魔法で綺麗にした食器を返しに階下へ降りる。
アニタさんも休憩中なのか、カウンターでコーヒーを飲んでいた。
「あら、持ってきてもらって悪いねぇ」
「いえ、あのー、アニタさん。 折り入って、ちょっとお願いがあるんですが」
「何だい? 改まっちゃって」
そこで、さっき思い付いた事を、実現できないか相談してみると、二つ返事でOKを貰えた。
「いいね。 面白いじゃないか、勝算は、もちろんあるんだろ?」
「はい、多分、大丈夫だと思います」
「それなら、段取りは任せておきな。 楽しくなってきたねぇ」
アニタさんも、ノリノリである。
「じゃあ、ちょっと散歩がてら、本屋さんに行って来ます」
「あぁ、気を付けて行っといで」
アニタさんに見送られて、商店街を歩き出す。
犬達も、お外は大好きなので、嬉しそうにハツラツと歩いている。
まずは、本屋で地図を探したいので、昨日歩いた道をマーケット方面に進む。
途中、犬達が草むらで、おトイレするのを洗浄で綺麗にしつつ、昨日のマーケットの前まで15分程度で着いた。
すかさず、魔法バッグを開いて犬達に入ってもらう。
宿を出て来る前に、お水の入ったタッパー容器や、避難リュックに残っていたトイレシートなど用意して、使えるようにセットしておいたので、さほど、長時間でなければ大丈夫だろう。
「いいコにしててね」
そう、声を掛けると、
(中で遊んで、つかれたら てきとうに寝てるね)
との事なので、お任せしておこう。
マーケットに入って、すぐに階段を上る。
2階のフロアは何件かのテナントで構成されているらしく、本屋と寝具などを扱う店と、食器店が入っていた。
さっそく、本屋に入って世界地図を探す。
ほどなく、冊子になっている世界地図と、観光ブックのような、この地域の地図も見つけた。
あとは、
(この世界を知るのに、参考になりそうな本はないかな?)
と、見まわしてみると、子供向けの絵本に目が留まる。
“創世の物語” ~このくにのなりたちのおはなし~
と書いてある。
何となく気になったので、その絵本も買っておこう。
無事に地図を入手して、
(そういえば)
と、寝具のお店も見てみる。
魔法バッグの中で犬達が寝るなら、クッションとかラグとかも欲しいかも。
「いらっしゃいませ、なにかお探しですか?」
にこやかに対応してくれる、店員さんのお話を聞いていたら、いつの間にか羽根布団一式を購入していた。
びっくりである。
でもまぁ、わたしも犬達も、快適に寝られるのはいい事なので気にしないでおこう。
昨日、食器棚を買ったが、それはまだ空っぽの状態なので、少し食器も買ってもいいかも。
可愛らしい小花柄の食器のセットと、マグカップやカトラリーも一式購入。
あとは、階下のマーケットに降りて、更にお肉などを買い足した。
魔法バッグの容量が膨大なので、
(沢山買っておいてもいいかなぁ)
と、ちょっとタガが外れかけてる気もするが、念の為に備えて溜め込むのは、元からの、わたしの癖でもあるのだ。
以前の暮らしの中でも、非常用に色んな食材とか備蓄しまくっていたから、今、その血が滾っているのだろう。
さて、この位で宿に戻ろうかな。
魔法バッグを開けて犬達の様子を見ると、さっそく、先ほど放り込んだ羽根布団で丸まって寝ていた。
起こすのも可哀想なので、そのまま寝かせておく。
帰りの道すがら、お肉屋さんで、コロッケを6つ買ってお土産にする。
コータ達は、お仕事順調かな?
ひよどり亭に戻ると、アニタさんにコロッケを一個お土産に渡して、部屋に戻り、わたしもコロッケにかぶりつく。
揚げたてだから凄く美味しい。
次に、お風呂に入って汗を流す、その後は、ミミア達が帰るまでの間、一心に魔法の練習と習得に励むのだった。
夕方、仕事を終えて帰って来たミミア達に、コロッケをあげると、みんな大喜びですぐにパクついていた。
「ありがとう~。 もう、お腹ペコペコだったの、夕飯までもたないところだった~」
そう言いながら
「お風呂入って来るから、また、ご飯の時にね~」
と、部屋に戻って行く。
わたしも、魔法の練習に一区切りつけて、さっきの絵本を取り出し、パラパラと眺めてみる。
どうやら、この国の創世記を、子供向けの物語風に書いているものらしい。
あとは地図だが、世界地図は、元の世界の物とほぼ同じような地形のようで、今わたしがいるのは、どうやら元の世界的にはイタリアの辺りみたいだった。
そして王都は、ローマに当たる所みたい。
できれば、そこで救急救命士のコミネユウヤさんを探したい。
同じ日本から来た人なのか、話がしてみたい。
でも、一人で王都に向かうっていうのも、まだこの世界に不慣れな内は無謀だろうし、まずは、一旦コータ達と東のコリン村に行ってみるのが、やっぱり無難なのかな。
その日の夕食は、ビーフシチューにバゲット、ポテトサラダだった。
いつものごとく、誘いに来てくれたミミアとリムと一緒に、お腹をぐうぐう鳴らしながら階下に降りる。
犬達には、
「あとで、部屋に持ってくるからね」
と、我慢して部屋で待ってもらう事にした。
今夜も、居酒屋は盛況である。
賑わう客達を尻目に、テーブル席のコータとイシュリーの所に向かう。
アニタさんが優先してくれているのか、すぐに料理を運んでくれる。
「さぁ、今日も、お疲れさんだね。 たっぷり食べて英気を養っとくれ、楽しんで!」
さっそく、ポテトサラダから手を付けると、芋がゴロゴロしていて、胡椒の風味がぴりっと効いて、キュウリやコーンが入っているおかげで、噛み心地もシャキシャキ楽しい。
ビーフシチューは、お肉が噛まなくてもホロホロと崩れて、歯がいらないほどに煮込まれている。
デミグラスの濃厚な旨味に、生クリームがかけてあって、まろやかさも味わえる。
さらに、それにバゲットをちぎって、シチューをすくいながら口に入れると、もう絶品の美味しさだった。
夢中で、食べていると、
「なぁ、あれって、マナちゃんの提案なんだって?」
そう、コータに問いかけられる。
あれ、と、コータが親指で差す先には、アニタさんの手書きだろうか? カウンターの上に飾られた、でかでかとした横断幕に、
【明日、午前10時より、当店にてアームレスリング大会開催! 優勝パーティには豪華景品有り、奮って参加ください】
と書かれていた。
「うん、まぁ」
「アームレスリングねぇ。 パーティでの参加っていうなら、俺等も出るか?」
「え~、ミミアもリムも腕力ないよ~」
「代表で、俺だけやればいいだろ」
「それでも、構わないと思うよ、ウチも代表で出るのは、わたしだけの予定だし」
「やっぱ、マナちゃんも出るんか。 何、企んでる?」
「別に、何も」
「まぁ、いいけどさ。 お祭り騒ぎは大好きだし、明日は、俺等も1日休みの予定だしな」
「お互いに健闘しましょう」
「お、言うなぁ」
そう、アニタさんにお願いしたのは、アームレスリングの大会。
つまりは腕相撲だ。
これに勝ってみせれば、冒険者の人達も、わたしを、か弱いとは思えなくなるんじゃないのかな?
「あの、豪華景品って何だろうね~」
リムが、楽しそうに首を傾げる。
「あ、それは、わたしの魔宝石をひとつ出すつもり」
「え~、景品の出品者は、マナちゃんなの~?」
「アタシんとこからも、ランチ一週間分、食べ放題を出すよ!」
横から通り掛かりに、アニタさんが口を挟んで去って行く。
「へぇー、女将も太っ腹だな」
「そんなにイイ物が貰えるなら、参加者すごくなりそうね~」
そう、参加者は多ければ多いほどいい。
たくさんの人に見てもらう為にやるのだから。
そういえば、今後の事について、コータに返事をしなくちゃいけない。
「コータ、昨日、誘ってくれた件だけど」
「おう、考えてみた?」
「うん、これからずっと、という訳にはいかないと思うんだけど、まだ、わたしは、この世界の常識とか、色々、知らない事が多過ぎると思うから、しばらくは、コータ達のお仕事の手伝いをして、一緒に、いさせてもらいたいと思う」
「え~、マナちゃん、ずっとじゃないの~?」
ミミアが、口をとがらせる。
「うーん。 元いた場所に戻る手掛かりを探しに、自分達だけで旅が出来る自信がついたら、王都にも行きたいんだよね」
「王都か」
「うん」
「分かった。 まぁ、しばらくは、俺等と一緒に旅して、一般常識を身に付ける所からな」
そう言って、コータは笑った。
「はい、よろしくお願いします」
「こちらこそ、改めてよろしくだよ~」
「よかった~、まだ、マナちゃんと一緒にいたいもんね~」
イシュリーは、無言で頷いている。
今後の方針は、これで決まった。
コータ達、交易パーティと、しばらくは旅生活だ。
食事を終えると、みんなはコーヒーを頼んでいたが、わたしは、ひと足先に犬達用に作ってもらった、雑穀とモツの煮物を持って部屋に戻った。
ココ達は、
(おなかすいたぁ)
と、抗議しつつ、尻尾ブンブンで、まとわりついてくる。
「はいはい、お待たせ。 どうぞ」
と、お皿を置くと、待ってましたとばかりに、一斉に食べだした。
犬達の食事も、これまでのドッグフードに比べると、ずいぶん贅沢な物だ。
今までも、夕飯だけは、トッピングとして茹でたお肉や、ふかしたサツマイモなどを乗せてあげたりはしていたのだけど、もう口が肥えてしまって、以前のドッグフードだけでは、食べてくれないかもしれないな
でも、美味しそうに夢中で食べている様子は、見ているだけでも幸せな気持ちになる。
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