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六本の糸~プログラム編~
71.細工
しおりを挟む「コウヤ!!」
モーガンが飛びつく勢いで走ってきた。
「モーガン!!」
コウヤは久しぶりに見る戦友に貌をほころばせた。実際にはそこまでの時間は置いていないが、あまりにもいろいろありすぎた。
「コウヤ君・・・・・シンタロウ君も・・・・」
リリーは二人を見て安心した顔をした。
「ハンプス少佐は?」
レスリーはぎこちなく歩いてきた。片手には何やら機械を付けている。
「ああ、なんかキャメロンと話し込んでいる。ジューロクさんも一緒だった。」
コウヤは立ち止まって話していた3人を思い出した。
「そうか・・・・あの人とは一度腹を割って話したいと思っていたからな・・・・」
レスリーはそう言うと何を思い出すように遠い目をした。
「そう言えば、戦友にあたるんですよね。ハンプス少佐と・・・・」
モーガンは思い出したように言った。
「ああ、クロスと入れ替わる前の殲滅作戦では共闘している。向こうは俺の顔を見ていないがな・・・」
レスリーは淡々と答えた。
「殲滅作戦?」
コウヤは首を傾げた。
「まあいい、あとで話そう。それよりもお前と・・・そこの3方はやることがあるだろ?」
レスリーは顎で後ろに立つユイ、レイラ、ディアを指した。
「・・・・そうだね。」
ユイは気まずそうにレスリーを見た。
「その腕・・・・私だよね・・・・・」
「操られていたものに切られただけだ。俺は気にしていない。だから気にするな。」
レスリーは切られた腕の部分をチラリとみて何でもないような顔をした。腕の部分には機械が付いている。
「・・・それよりも、もうちょっと俺のことを覚えておいてもよかったんじゃないか?レイラ嬢。」
レスリーは拗ねるようにレイラを見た。
「ああ・・・・ごめんなさい。私、当時はクロス以外モブだと思っていたから。」
レイラはしれっと言った。
「少尉殿の周りが見えないのは昔からだったんですね。」
シンタロウが皮肉を込めて言った。
「黙れ。」
レイラはシンタロウを睨んだ。
「さて、メンツがそろったところでゼウスプログラムが・・・・どこにあるか説明頼めますか?」
カワカミ博士は腕をコウヤレスリーたちのやり取りを笑顔で見ていたレイモンドに言った。
「あ・・・・ああ。そうだな。このドームの外に隠した。」
「は?」
レイモンドの言葉にカワカミ博士は素っ頓狂な声を上げた。
「いや、ロッド中佐いや、クロス君が一時陰謀で消されかけたことがあっただろう?その時にどこから足が着くとは分からないからドームの外に置いたんだ。安心しろ。この列島内にある。」
そう言うとレイモンドは地図を取り出した。
「サブドールかドールで行くのが最善だと思う。場所は・・・・ここから東北に行った島だ。」
詳しい場所を聞いて、コウヤは顔を顰めた。レイラも、ディアも、ユイもだ。
「・・・・ここ、湖ですよね。」
コウヤは隠したと言われた場所を指した。そこは湖だった。
「これは古い地図を使っている。実際は枯れ果てている。水たまりぐらいだろう。」
レイモンドはどうやら列島に詳しいようだ。無理もない。軍に出入りするとはいえ、隠居生活はほぼここでしているのだから。
「外にしたのには理由がある。カワカミ博士も開かせるのは外でやらせるつもりだったのだろう?」
レイモンドの言葉にカワカミ博士は頷いた。
「ええ、多少の暴走を考慮しました。」
「「「暴走?」」」
ユイとレイラとディアは声を揃えた。
「4人ならわかるはずよ。ドールプログラムを開いた時に起こる暴走。ましてやレイラちゃんは該当じゃないプログラムに触れた時の大惨事覚えているでしょ?」
部屋にラッシュ博士が入ってきた。
「・・・・・」
レイラは顔を顰めた。
「・・・・・」
シンタロウは無言でラッシュ博士を睨んだ。
「・・・・該当プログラムでなくとも暴走した。事実私も一瞬自我を失いそうになった。開いた時に冷静でいられるわけない。リミッターが外れるのは感覚だけでなく理性もだ。」
ディアは冷静に言った。
「・・・・そして、カワカミ博士の小細工がある。暴走したコウを止められるのは私とディアとユイってわけね。」
レイラは納得したようだった。
「お父さんはもうちょっとホウレンソウをしっかりすべきだと思うよ。」
ユイは頬を膨らませていた。
「いかんせん年齢が年齢なもので、循環が悪いんですよ。」
カワカミ博士ははぐらかすように言った。
「肉弾戦なら、シンタロウは?」
モーガンはシンタロウを見た。
「こいつ怪我がまだ治っていないだろ。外気に触れさせるな。」
レイラは目を細めてシンタロウを見た。
「駄目だ。シンタロウは手加減の訓練を受けていないだろ?コウはとりあえず特別だから、おそらく厄介だ。君は殺しかねない。」
ディア首を振った。
「とりあえず?」
コウヤはディアを軽く睨んだ。
「まあ、シンタロウとモーガン。二人には訓練をしてもらうしな。」
キースは様子見ながら部屋に入って、シンタロウをモーガンを順に見て言った。
シンタロウは分かっていたことの様に頷いたが、モーガンはきょとんとしていた。
「え?」
「あの研究施設の戦いを経て、感覚が特別に近いのは二人だ。ムラサメ博士と戦うときは相手側の戦力を少しでも軽減がするため、通信機器が使えない状態で戦う。6人に戦ってもらうが、どうしても6人とも戦えない時がある。その時に二人が必要なんだ。」
キースは真面目な表情だった。
「俺・・・・戦闘訓練っていっても本当に初歩的なのしか受けていないし、ドールに乗っても動かす程度しか・・・・」
モーガンは不安そうな顔をしていた。
「いや、モーガンは戦艦の指示をしてもらう。ドールにはシンタロウが乗る。いいな。」
キースは確かめるようにシンタロウを見た。
「はい。こう見えてもドール乗りのための訓練も受けていたし、ドールで戦場にも出た。」
その出ていた戦場というのは対地連であり、フィーネを足止めしていた時も該当している。
「それに、俺が出ればアリアの力になる。一人で戦っているアリアに悪いだろ?」
シンタロウの言葉にミヤコは立ち上がった。
「アリアちゃんって・・・・・どういうとこ?コウヤ・・・・・あなたたち何が・・・・」
「ミヤコさん落ち着いてください。・・・・話せば長くなります。コウヤ様たちがプログラムを無事開いた時に、話してくださいます。」
カワカミ博士はしれっとコウヤから話すようにと示した。
「そうだよ・・・・母さん。話すから、アリアのことも・・・・・」
コウヤはカワカミ博士の言葉に頷いてミヤコを見た。
「・・・・そうね・・・・・いつ出るの?」
ミヤコはコウヤ達がいつ出発するのか気にしている。
「出発するのはドールとサブドールを準備する関係で2時間ほど余裕があります。ただ、場所の確認とか個人での準備を考えるとそこまで長くないです。」
カワカミ博士はそう言うとレイモンドを見た。
「レイモンド様。というわけでドールの準備は大丈夫ですか?」
「ああ、ネイトラル総裁お付の機械整備士をこき使わせていただいている。あと、マックス君か。彼にも手伝ってもらっている。」
レイモンドは愉快そうに笑っていた。
「彼がよく手伝ったわね・・・・」
ラッシュ博士は驚いていた。
「彼はレスリーに良くなついている。何があったのかわからないが、レスリーの腕の機械だってマックス君が作ったんだ。」
レイモンドはレスリーの腕を指して嬉しそうに言った。
「・・・・そうだな。本当にありがたいな。」
レスリーは腕を見て微笑んだ。
「ニシハラ君だっけ?彼は来ないの?」
ミヤコは残念そうにしていた。
「ハクトは宙に残って戦ってます。地連第二の男ですから軍本部を離れるわけにはいかないのですよ。」
そう答えるディアは寂しそうな顔をしていた。
「そうなの・・・・彼の両親が来ているから残念ね・・・・あら?」
ミヤコとは残念そうに言いながらもディアの表情と外見を凝視していた。
「リュウトさんとキョウコさんが来ているのですか?」
カワカミ博士は驚いた。
「ええ、マリーさんが呼んだのよ。ネイトラルに保護されていたのをレイモンドさんが連れて来たのよ。」
ミヤコは何でもないようなことを言うように気軽に言った。
「・・・・・まあ、腐っても軍の大将だ。影響力もある。」
レイモンドは初めて軍人らしい顔をした。
「ハクトの両親ってやっぱりハクトに似ているのか?」
キースは少し興味があるようだ。
「・・・・見たらわかりますよ。」
コウヤはチラリとディアを見た。
レイラとユイはもちろん知っているようだ。後ろでイジーは俯いている。彼女も知っているようだ。
「レスリーさん!!腕は大丈夫ですか?何か不具合は?痛みますか?気分は?」
ドールの格納庫に行くとマックスが犬の様にレスリーに飛びついてきた。
「マックス。落ち着け。腕は動いている。」
レスリーはマックスを宥めるように言うと機械の腕をひらひら動かした。
「あー・・・・よかった・・・・あ、どうも」
マックスはコウヤ達を見つけて軽くお辞儀をした。
「・・・・誰だこいつ。」
ディアがマックスを見て発した言葉だ。確かにコウヤ達と行動していた時のマックスとは別人のようだった。
「・・・・手懐けられた感じだな。レスリーさんもやりますなー。」
冷やかすように言うコウヤを見てレスリーは首を傾げた。
「手懐けた覚えもない。元々世話好きなのだろう?そうだろ?マックス。」
レスリーは照れもせずに笑った。
その言葉にマックスは頷いていた。
「親に会えて嬉しいのはいいが、お前等はまずプログラムを開くことが大事だ。これからのことにかかわる。いつまでも中佐や大尉を戦わせるわけにはいかないだろ。」
レスリーはそう言うとレイラ、ディア、ユイを交互に見た。
「3人はコウヤを頼む。俺の知っている限りだと、揺らぎやすいはずだ。」
「当然それは分かっている。だが・・・」
「私たちは頼りにしているのよね。」
「そうなの。」
ディア、レイラ、ユイは順にコウヤを擁護した。
「ははは、もう揺らげないな。」
レスリーは愉快そうに笑うと歩いて格納庫から出て行った。
「レスリーの言う通りだな。コウ」
ディアはコウヤを見て笑った。
「そうね。揺らいだら私たちからの鉄拳があるわよ。」
レイラも楽しそうに笑っていた。
「コウ・・・・一番弱いから心配・・・・・」
ユイはコウヤを心配そうに見ていた。
「・・・・・ユイの言葉が一番心に響く。」
割り当てられたのは
暴走したときの考慮でユイがサブドール、暴走経験は豊富だが、我に返った経験もあるレイラとディアがドール。もちろんコウヤもドールだ。
「そういえば、俺たちのドールって宙に置いたままだよな。」
コウヤはドールを積んで来ていないことを思い出した。
「地球で下手に騒ぎにされたくないと言っていたけど・・・・大丈夫なの?」
ユイも心配そうだ。
「主要プログラムが搭載されている機体が重要なのはプログラムを開くまでらしい。開いたらドールプログラムのネットワークの中に拡散されるみたいで、該当者ならネットワークさえあればその権限を振るえるらしいけど・・・・」
マックスは流石研究者で働いていただけある。詳しい。
「ディアのドールみたいにドール自体を本人以外使えないようにしているわけじゃないから・・・・プログラムよりもドールが心配ね。」
レイラはプログラムではなく、ドール本体が別の者に使われることを心配しているようだ。
「本人以外使えないようにしていたはずだが、あっけなくハクトに乗っ取られた。」
ディアは両手をひらひらさせて言った。表情から、まだ根に持っているようだ。
「その話詳しく聞きたいけど・・・・・プログラムを開いてからだな。」
マックスは好奇心で目をキラキラさせていた。やはり研究者だ。
「丸くなったな助手が。別人のようだ。好奇心優先のマッドサイエンティストの部類だと思っていた。」
レイラもディア同様マックスを見て驚いていた。
「今も好奇心はある。でも、俺はもうそこに戻れないな・・・何よりも、レスリーさんがプログラムを開くように言っているんだ。この事態を抑えないと好奇心も糞もないだろ。」
マックスは当然のことのように言った。
「なんかキモイ。」
ユイがぼそりと呟いた。
乗ってきた戦艦の中でカワカミ博士とラッシュ博士は向かい合っていた。
「コウヤ君たちはドールを置いて行ったことは納得しているのかしら?」
ラッシュ博士はタバコをふかせながら訊いた。
「プログラムの説明があれば納得しますよ。」
カワカミ博士は艦長が座るであろう椅子に腰を掛けていた。
「・・・・私、あなたの才能と発想は大好きよ。」
ラッシュ博士は煙を吐きながら唇を歪めた。
「そうですか。」
カワカミ博士は何ともないように答えた。
「まあ、ドール持ってこられないものね。あなたの小細工がバレてしまうものね。」
「・・・・・」
「ユイちゃんにも言っていないのね。絶対に反対されるからね。」
ラッシュ博士は愉快そうだった。
「・・・・感覚が支配されるというのは・・・・他人には信じられないものです。」
「そうね。ドールに乗ったことのある人ならまだしも、一般の人には理解できないでしょうね。人は理解できないものに関して冷たいわ。今は熱気があるからいいけど、いずれはどこかに非難が集中するわ。」
「・・・・・理解が必要なのですよ。」
カワカミ博士は義務や責務を語るようだった。
「・・・・そのために、あなたがドールプログラムの本懐を達成させるのは面白いわよ。」
ラッシュ博士は愉快そうだった。
船の入る場所とドールの出撃口は別のようで、開かれた出口は崖だった。
「あ・・・・ここだ。俺が出撃したのは!!」
コウヤは思いだしたように言った。
『そうかそうか。落ちるなよ。』
ディアはあまり興味なさそうだった。
『場所は確認した?』
レイラはそう言うとみんなモニターに地図のデータを送った。
「ありがとう。じゃあ、飛んで行こうか。」
コウヤは地図を見て方角を定めようとした。
『コウ・・・・あのね、地図に書いている座標を入力するといいんだよ。』
ユイは申し訳なさそうに言った。
『試しに座標を入力してみるといいわ。手でなくドールプログラムの接続を使って。』
レイラは楽しそうだった。
「・・・俺知らないんだから・・・・仕方ないだろ・・・・」
コウヤは拗ねながらもレイラに言われた入力を試した。
地図の座標を見て、数字を脳内から引き渡すようにする。
「・・・・・簡単だ・・・・・」
あまりの便利さにコウヤは驚いた。
『ドールプログラムが重宝されるのは兵器としてだけではない。レスリーの腕にしろ、今のコウがやった入力にしろ、人の生活をよくするものだ。』
ディアは講義するように言った。
「・・・・なあ、どうしてレーザー砲が適合率必要なんだ?武器を付属させることは考えられなかったのか?」
コウヤはドールに搭載されている機能なのにレーザー砲が限られた人物しか放てないことと、付属させている武器が剣などと飛び道具が少ないことに疑問があった。
『・・・・レーザー砲に関しては、制限をかけられていた。最初から普通の人には使えないようになっていた。それ以上はわからないけど、付属の武器に関しては・・・・・ドールが感知して拒否するのよ。』
レイラは試したことがあるようだ。
『ネイトラルでも同じような実験をした。私も大型の銃を作らせて撃ったが、やはり反動のようなものがあった。適合率が低いものだと銃火器を認識するとドールが動かなくなる。これは安全機能だと思うが・・・・』
ディアも試したことがあったようだ。話す口調は歯切れが悪い。
『・・・・・たぶん安全機能に関してはお父さんが付けたものが大半だと思うの。』
ユイの口調は父親を擁護するようなものでなく、何か不安があるようだった。
ドームの外を写すモニターを見てレイモンドは安心していた。
「よかった、崖から落ちていない・・・・・」
「レイモンドさん。あの3人が落ちるわけがないですよ。ドール操作ならベテランですから。」
レスリーは安心するレイモンドを見て微笑んでいた。
「コウヤは落ちるってお前ひどいな。」
キースはレスリーの言葉に笑った。
「誰とは言っていないですよ。ハンプス少佐。」
レスリーは意地の悪い表情をしていた。
「ハンプス少佐。私とレスリーに話しでもあるのか?呼び出して・・・・」
レイモンドの口調から、どうやら二人はキースに呼び出されたようだ。
「・・・・・レイモンド・ウィンクラー大将には最終戦にあたるムラサメ博士およびゼウス共和国のドール攻略の責任者になっていただきたい。」
キースはかしこまった口調だった。
「・・・・責任者か・・・・私に任せていいのか?今なら他の奴は傀儡だろ?誰でも選び放題だ。・・・・いや、昔から傀儡か。」
レイモンドは皮肉るように言った。上層部のことだろう。
「責任者がレイモンド・ウィンクラー大将。戦艦の艦長はレスリー・ディ・ロッド中佐、ドール隊の隊長は俺、キース・ハンプス少佐・・・・これが俺のオーダーだ。これ以外は認めない。」
キースはレイモンドとレスリーを交互に見た。その目はいつものキースではなかった。
「・・・・殲滅作戦の関係者が仕切るのか。過去を思い出させるものだ。」
レスリーは少し冷ややかだった。
「当然だ。関係者が仕切るから意味がある。」
キースはレスリーの冷たい態度に対し、真面目な顔で言った。
「ハンプス少佐。君はあの作戦に憑りつかれているのではないか?・・・・あの悲劇を経験したものなら仕方ないと思うが・・・・」
「殲滅作戦・・・・希望周辺のゴミ回収とゼウス軍の残党殲滅作戦だった。蓋を開けてみると、無意味な進軍。休息地点のはずの軍事ドームは敵に占領されている。戦艦は乗っ取られる・・・・・出港した戦艦は全部沈んだ。生き残ったのは俺とレスリー・ディ・ロッドだけだ。」
キースは手に爪が食い込むほど握り締めていた。
「最近得た情報だと・・・・ゼウス共和国のモルモットの実用実験だったんだって?あとは、母体プログラムを搭載したドールの捜索だったとか・・・」
キースは押し込めている何かを抑えるように歯を食いしばった。
「あんたらを責める気は無い。レイモンド大将はよくやってくれていた。レスリーもだ・・・・だが、責められるべき奴が制裁を受けていない。」
キースはレスリーとレイモンドに対して表情を和らげた。
「ハンプス少佐が上層部をひっくり返すのに協力的だったのはこれが目的だったのか?」
レスリーは納得したように頷いた。
「足りねえよ・・・・」
キースは俯いて呟いた。肩が震えていた。
「・・・・・」
レイモンドとレスリーはキースを黙って見ていた。
「あの人たちが生きた作戦が無駄と言われる。死んだ作戦が無駄と言われる。それを仕組んだ、情報漏洩や共謀した当時の上層部全員吊るし上げる。」
キースの目には確固たる意志があった。
「・・・・ねえ、つくまで聞きたいことがあるんだけど・・・いい?」
コウヤは気になっていたことがあった。
『何?わかることならいいけど・・・・』
レイラは分かることなら答えてくれるようだ。
「レスリーとキースさんが戦友って言っていたの・・・・宙でキースさんが無茶な作戦で生き残ったって言っていたけど・・・・それのなのかな?って」
コウヤはキースとレスリーが参加した作戦というのが気になっていた。
『有名よ。話しぶりだと・・・クロスとの入れ替わり前みたいだし』
レイラは聞いたことがあるようだ。
『それがきっかけでレイモンド・ウィンクラー大将は本部から飛ばされ、現ネイトラルの総裁は地連軍を辞めたぞ。』
ディアも知っているようだ。
「え?テイリーさんって元地連軍なの?」
コウヤは驚いた。あの頼りなさげな人が元軍人ということに。
『平和主義の男だ。根っこには犠牲に対する憤りがある。』
ディアは意外にもテイリーを頼りにしているようだ。
『・・・・私も聞いたことがある。モルモットの戦闘データ以外何も得られなかったって聞いた。』
ユイは批判を滲ませていた。
「内容って知っている?」
『無駄死にが多い、無駄な作戦としか聞いていないな。内容については伏せられている。』
ディアは端的に答えた。だが、それ以上は知らないようだ。
『私も知らないの。モルモットのデータ収集としか聞いていない。内容については・・・・当人だけじゃないかしら?』
レイラも知らないようだ。
『私も同じ。生き残った人が少ないし圧力があったとかかな?』
ユイも知らないようだ。
『気になっているのか?コウ』
ディアはコウヤが気にかけていることが引っかかるようだ。
コウヤはあまり揺らがず、表に出てこないキースの感情の流れを思い出した。
作戦のことを言った時に確かに揺らいだ。
「・・・・そうなんだ。キースさんの感情が揺らいだ。俺があの人と接していて判別できたのは初めてかもしれない。」
コウヤがキースのことを落ち着いていると評価しているのは何よりも感情の流れが安定しているからだった。激昂することもない。
『それは興味深い。私も少佐殿に関しては冷静過ぎて怖いと思っていた。』
ディアが興味を示した。
『レスリーに聞いてみる?その様子を聞くとハンプス少佐は教えてくれそうにないわ。』
レイラも興味を示していた。
『私も、ドールプログラムの実験のような作戦だったみたいだし・・・気になる。』
ユイも興味を示した。
ドールのモニターが切り替わった。地図が表示され、目的地が近いことを告げた。
「あ!・・・・もうすぐ着くよ。」
コウヤは辺りを見渡した。珍しく草木が生えており、土の色は黒色である。
栄養価の低い赤褐色の水気のない土ばかりであったから、湿り気と有機成分が想像できる黒い土はドームの中でしかみなかった。
『・・・・ここら辺は意外に自然があるのね。』
レイラも見ていたようで感心していた。
『湖周辺だけというところか・・・・あの大将、本当に信用できるのか?』
ディアは呆れたような様子だ。
その意味はコウヤもわかった。
なぜなら、枯れ果てていると言われた湖には水がしっかりと張ってあった。
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