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パラサイト
池
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「この池に、カッパがいるの?」
私の声が林に消えて行く。
ヤマバトの声が響く…
が、秋吉は黙っていた。
私もばつの悪さを殺して黙って歩く。
カッパは、いないんだなぁ(~_~;)
私は爽やかな避暑地の空気を吸い込んだ。
枯れ草の香りを含んだ、暖かな初夏の風が心地良い。
落ちた枝や枯れ草のその奥には、きっと、丸々と太った甲虫類の幼虫が元気に育っているに違いない。
掘りたいなぁ……!
私は大きく延びをした。
「美人の女の妖怪…らしいですよ。」
秋吉は少し嬉しそうに私に言った。
「え?」
「だから、尊徳先生の探していた」
「尊徳先生が、女の妖怪を探すの?」
私は疑り深く秋吉を見た。
少年の尊徳と美人の妖怪がうまく頭で結び付かなかったのだ。ついでに、秋吉のいやらしい笑い方も。
「妖怪より、池が気になったみたいですよ。
なんでも、池が…うまれる?あれ、消えるんだっけな?まあ、どちらかになると、林のなかに妖怪の屋敷が出来て、男を誘って食らうんだそうですよ。」
秋吉は少し大袈裟に話ながら、細かい話し方などを調整していた。
どうも、番組の為のエピソードを語っているようだ。
昔、有名な司会者が、番組で使うエピソードは、事前に何度か誰かに話しながら、自分の言葉に昇華してゆくと言ってたのを思い出した。
それなら、私も少しは協力しなくては。
「この先のため池は、大正時代に別荘建設に合わせて作られた新しいものらしいから、その伝説は怪しいね。」
私は自分の知っている範囲の事を伝えた。
「そうですか……ですよね。何か、違和感があったんですよ。
やはり、少し、誇張があるみたいですね。
何か、突然出現する?とか、消えるとか…ロプノールを思わせますよね?」
「幻の湖…タクラマカン砂漠のさまよえる湖かぁ。」
「ええ、ネットで調べたら、ヒットしましたよ。
どうも、1900年辺り探検家が、ロプノールを探して現地で、
ロプノールには、さまよえる湖があり、いずれ湖は戻ると学説を発表したらしいんですよ。
で、1921年に湖が出現したと言う証言がでて、センセーションがおこったらしいです。
日本でも、80年代に話題になったようで、その辺りで作られた都市伝説みたいな気がするんですよね。」
秋吉はあっさりと、自分で妖怪退治の話を引っ込める。
「80年代…随分、新しい伝説だね。」
私は学生時代を思い出しながら言う。
尊徳先生の話は、学生時代から調べていたが、そんな都市伝説聞いた事はない。
「新しい…でも、40年前ですよ?スマホも無いし、変な噂が生まれてもおかしくは無いですよ。」
秋吉の言葉に絶句した。
40年前ですよ…(-_-;)
学生時代から40年も経過した事に、秋吉には昔話の時代になってる事に軽いショックを受けた。
「い、池上さん?」
秋吉に不思議そうに声をかけられ、私は慌てて返事を返す。
「ああ、すまん。ロプノール…よりも、地元の昔話に元ネタがあるんじゃないかな?
ほら、屋敷に美人の妖怪が招く…なんてのは、民話の典型だし。
池と言うより、水溜まりとか、雨季の事かもしれないよ?雨季は、不思議な植物が繁殖したりするし、茸類が大量発生したなら、幻覚効果のあるものや、薬用効果のある種類もあるから…採取するために山に入って戻らない事もあったかもしれないよ。」
私は取り繕うようにそう言った。
40年前…
時の重さに深いため息が漏れた。
私の声が林に消えて行く。
ヤマバトの声が響く…
が、秋吉は黙っていた。
私もばつの悪さを殺して黙って歩く。
カッパは、いないんだなぁ(~_~;)
私は爽やかな避暑地の空気を吸い込んだ。
枯れ草の香りを含んだ、暖かな初夏の風が心地良い。
落ちた枝や枯れ草のその奥には、きっと、丸々と太った甲虫類の幼虫が元気に育っているに違いない。
掘りたいなぁ……!
私は大きく延びをした。
「美人の女の妖怪…らしいですよ。」
秋吉は少し嬉しそうに私に言った。
「え?」
「だから、尊徳先生の探していた」
「尊徳先生が、女の妖怪を探すの?」
私は疑り深く秋吉を見た。
少年の尊徳と美人の妖怪がうまく頭で結び付かなかったのだ。ついでに、秋吉のいやらしい笑い方も。
「妖怪より、池が気になったみたいですよ。
なんでも、池が…うまれる?あれ、消えるんだっけな?まあ、どちらかになると、林のなかに妖怪の屋敷が出来て、男を誘って食らうんだそうですよ。」
秋吉は少し大袈裟に話ながら、細かい話し方などを調整していた。
どうも、番組の為のエピソードを語っているようだ。
昔、有名な司会者が、番組で使うエピソードは、事前に何度か誰かに話しながら、自分の言葉に昇華してゆくと言ってたのを思い出した。
それなら、私も少しは協力しなくては。
「この先のため池は、大正時代に別荘建設に合わせて作られた新しいものらしいから、その伝説は怪しいね。」
私は自分の知っている範囲の事を伝えた。
「そうですか……ですよね。何か、違和感があったんですよ。
やはり、少し、誇張があるみたいですね。
何か、突然出現する?とか、消えるとか…ロプノールを思わせますよね?」
「幻の湖…タクラマカン砂漠のさまよえる湖かぁ。」
「ええ、ネットで調べたら、ヒットしましたよ。
どうも、1900年辺り探検家が、ロプノールを探して現地で、
ロプノールには、さまよえる湖があり、いずれ湖は戻ると学説を発表したらしいんですよ。
で、1921年に湖が出現したと言う証言がでて、センセーションがおこったらしいです。
日本でも、80年代に話題になったようで、その辺りで作られた都市伝説みたいな気がするんですよね。」
秋吉はあっさりと、自分で妖怪退治の話を引っ込める。
「80年代…随分、新しい伝説だね。」
私は学生時代を思い出しながら言う。
尊徳先生の話は、学生時代から調べていたが、そんな都市伝説聞いた事はない。
「新しい…でも、40年前ですよ?スマホも無いし、変な噂が生まれてもおかしくは無いですよ。」
秋吉の言葉に絶句した。
40年前ですよ…(-_-;)
学生時代から40年も経過した事に、秋吉には昔話の時代になってる事に軽いショックを受けた。
「い、池上さん?」
秋吉に不思議そうに声をかけられ、私は慌てて返事を返す。
「ああ、すまん。ロプノール…よりも、地元の昔話に元ネタがあるんじゃないかな?
ほら、屋敷に美人の妖怪が招く…なんてのは、民話の典型だし。
池と言うより、水溜まりとか、雨季の事かもしれないよ?雨季は、不思議な植物が繁殖したりするし、茸類が大量発生したなら、幻覚効果のあるものや、薬用効果のある種類もあるから…採取するために山に入って戻らない事もあったかもしれないよ。」
私は取り繕うようにそう言った。
40年前…
時の重さに深いため息が漏れた。
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