【完結】大好きなあなたのために…?

月樹《つき》

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第3話 子爵令嬢セイラ

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 卒業まであと少しとなった今…

 あんなに『私と離れたくないから…』と言って学園まで一緒について来たチャーリーを見掛けることはほとんどなくなった…。

 もともと騎士を目指すチャーリーは騎士科、私は普通科とクラスが異なったので会えるのは、昼食の時くらいだったのだけれど…今では、それもなくなった。

 ~・~・~・~・~

 王都に出てくる時、チャーリーはうちのタウンハウスに自分も住めると思っていたようだ…。

 もちろん家族でも婚約者でもない男性が同じ屋敷に住むなど、うちのお父様が許すわけもなく、チャーリーは学園の寮に入ったのだけれど…。

 その時、チャーリーは『じゃあ、俺達婚約すればいいんじゃないか?俺はリアのことが好きだよ』と言ってくれたけれど…
 そんなことは叶うはずもないので、私は曖昧に微笑んだ…。


 学園の食堂の料理は貴族向けの価格だったため、平民のチャーリーにはとても手が出ない値段だった。

 自炊しようにも料理なんてしたことがないチャーリーにまともに食べられるものが作れるはずもなく…
 一度その悲惨な食事を見てから、リアはチャーリーの分もお弁当を持ってきてあげることにした。

 朝と夜は購買で買ったもので何とか済ませているそうなので、1食だけでもちゃんとしたものを…と思い、屋敷のシェフに頼んで栄養バランスの取れた、彩りも美しいお弁当を作ってもらった。

 チャーリーも美味しいと喜んでくれていたのだけれど…

 私達が三年生になった時に、子爵令嬢のセイラさんが編入してきたことでその関係は変わってしまった…。

 ~・~・~・~・~

 彼女はオズボーン子爵がメイドに産ませた子供で、つい最近まで平民として暮らしていたそうだ。
 昨年母親が亡くなったため、父であるオズボーン子爵に引き取られることになり、この学園にやって来た。
 
 見た目は肩にかかるくらいの珍しいストロベリーブロンドの髪に、こぼれ落ちそうに大きなサファイアの瞳と庇護欲をそそる可愛らしい見た目をしている。
 けれど…平民として育ったためか貴族らしくなく、人との距離の取り方がおかしかった…。

 特に見た目の良い異性にばかりスキンシップが激しいので、クラスでは遠巻きにされていた。

 同じ普通科の生徒には避けられるので、彼女が次に目をつけたのがチャーリーのいる騎士科だった。
 もちろん騎士科にいるのも、ほとんど貴族の子達なので、見ず知らずの者が作ったあやしい差し入れなど食べる者はいない。
 でも、その中で唯一人、彼女の差し入れを美味しいと食べる者がいた。

 平民のチャーリーだ…。

 チャーリーはセイラさんが作る差し入れを喜んで食べ、セイラさんも見た目の良いチャーリーを気に入り…そのうち2人はお昼も一緒に食べるようになった。

 その際に彼が言った言葉は…
『ごめん。セイラさん、三年から編入して来て友達が1人もいないそうなんだ…。
 かわいそうだから、俺が一緒に食べてあげることにした』

 それだけ…。たぶんチャーリーにとってはお昼が食べられたら、誰でも良かったのかもしれない…。

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