旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦

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抜け駆け

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高坂昌信「その長沢で更なる事態が発生します。牧野保成は今川と交渉する際、当主の義元では無く。今川義元から命じられ、三河で指揮を採る太原雪斎を通して行われていました。そして牧野の要求に対し、表面には今川義元の。裏面には掛川城主で三河進出を担当していた朝比奈泰能並びに庵原城主の朝比奈親徳。更には太原雪斎の名前と花押を記した書状を返却する形で受理される運びとなっていたとの事であります。」

山県昌景「抜かりないな。」

武藤喜兵衛「それでも。と言う事でありますか?」

高坂昌信「その前に長沢の城を取り上げられているけどな。」

武藤喜兵衛「それよりも悪い事でありますか?」

高坂昌信「先程、今川軍の駐留経費として土地を召し上げられた話をしました。ただそれについては牧野も

『仕方が無い。今川の後ろ盾が無ければ維持する事は出来ないから。』

と納得は出来ないまでも、受け入れていた。問題はその後……。」



 今川から牧野に与えられた長沢の土地を我が物にした奴が現れた。



高坂昌信「その版図実に100貫。」

山県昌景「長沢が今川方になっても返して欲しいと言っていた地域を合わせると?」

高坂昌信「800貫です。」

山県昌景「……でかいな……。」

高坂昌信「しかもその手口が。」



 取次ぎ役である太原雪斎らを通さず、状況を知らない今川義元の所に直接出向き。安堵状を手に入れると言う方法。



私(武田勝頼)「雪斎の反応は?」

高坂昌信「『その人物と少し前に会った。その時、義元に会ったと言う話はして来なかった。とにかくびっくりしている。何故安堵状が出されたのかわからない。』

と。」

山県昌景「裏面には?」

高坂昌信「『何も書かれていなかった。』」

山県昌景「書類としての正当性は牧野の側にあるよな?」

高坂昌信「雪斎や朝比奈が知らなかったのは事実であると推測されます。実際、雪斎始め裏書きした者共は牧野の側に立って働き掛けを行ったのだが……。」



 今川義元の判物を盾に徹底抗戦の構えを崩さない。



山県昌景「場所が場所。長沢だからな……。」

私(武田勝頼)「その人物は長沢の者か?」

高坂昌信「少なくとも牧野と行動を共にした者ではありません。」

山県昌景「三河の事を知らない今川勢にとって必要な人物であったのは事実か……。」

高坂昌信「『もし私を蔑ろにするようでありましたら、わかっていますよね?』

の出し入れに、入ったばかりの。それも対織田最前線と位置付けている場所での無用な混乱を避けたい今川側が折れ。その結果、牧野は……。」



 泣き寝入り。
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