女神と共に、相談を！

恋する乙女の恋愛相談

妹の友達は妹に告白したい

「……おかしなところは沢山あったけど。それほどまでに、楓花のことが好きだと。そういうことなんだよね」
「あ。後ですね、楓花さんから香るリンスの匂いが──」
「もういい！　もう全部伝わったから！」
「おぉ。さすが楓花さんのお姉さんなだけはありますね」

　「ど、どうも」と頭を下げ、本題に一つも近づいてないということに気がついた。
　私は場を整えるように、こほんと咳一つ。
　桃杏もあちゃんの視線が私の目に向いた。

「それで。桃杏ちゃんは楓花とどうしたいの？」
「え。えっと。それは。……こ、告白したいと思っています！」

　全力で。
　振り切るように。
　彼女は告げた。

「さぁ。それを叶えるためにはどうすればいいか！」

　なんとなく。私もノリノリで応答する。

「そのための相談部！」
「はい！　その通りです！」

「さすがお姉さん！　できる女感、すごいですね！」
「でしょー」

　掴み(?)は完璧。
　……さて。
　私が恋愛経験ゼロということを隠して、どれほどまで相談に乗れるかだ。
　それを知られたら、私と相談部の沽券に関わる。と思う。

「あ。できる女『感』がすごいってだけで。楓花からお姉さんのことはたまに話題に出されますよ。『恋愛経験皆無』だって」

　おい。楓花。
　何を言ってくれているんだ。

「ちょ。お姉さん。顔がすごいですよ。むしろ、それを認知している上でここにいますし、何よりお姉さんは、楓花のお姉さんじゃないですか。それが何よりもアドバンテージというか、ここに相談するメリットだと思っていますよ」

　桃杏ちゃんはいたって真面目に、真剣な表情で言ってくれた。
　なんや、実はええ子やん。

「さっき、変人の変態とか思ってごめんね」
「やっぱ、相談するのやめようかなと、今思いました」
「だ、だめ！　それは良くない！」
「冗談ですよ。……けど、お姉さんの背後にいる……えっと、天崎先輩でしたっけ。結構、恋愛経験豊富だと思うんですけど」

　と言いながら、私の背後を指す桃杏ちゃん。
　そういえば、桃杏ちゃんに夢中になり過ぎて、天崎さんに構ってあげれてなかった。
　そんな若干の申し訳なさを抱きつつ、私は後ろを──

「うおっ！　びっくりしたー」

　背後に、本当にすぐ背後に、天崎さんがいた。
　私は驚いた反動で、その場で跳ね上がる。
　そして──

『恋愛の相談なら私に任せてください！』

　そう書かれたボードを胸の前に掲げていた。

　大丈夫じゃないだろー。
　そう心の中でツッコミを入れつつ、部屋の隅に固めたカバンからスマホを取り出し、誰かさんの通知がめっちゃ溜まっているラインを開いて、すかさず文字を入力した。

『恋愛相談なんて大丈夫？』

　送った瞬間に、彼女のポッケからブーっとバイブレーションの音が聞こえる。
　即座にスマホを取り出した彼女は、例によって、超光速で返信をしてきた。

『長年、片思いをしていた私なら。恋煩いをする乙女の気持ちなぞ丸わかりな訳です』
『おぉ！　めっちゃ頼もしいね！』
『ありがとうございます！　そんな訳で、詳細を一から教えてください』
『はい。了解です。。。』