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仲良し少女の恋愛相談
死ぬほどの覚悟?
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ウキウキ気分で開けた部室のドア。
だけれどそこには。
「……あれ?」
がらんしていて、寂しくて。
つまり誰もいなかった。
教室の隅に目をやって。
美結ちゃんのカバンがないことを確認する。
帰ってしまったようだ、と確信した。
次に目に入ったのは、机の上の……。
あれは……封筒?
それと、紙切れのようなものが丁寧に揃えて置かれていた。
机上に向かい、紙切れには文字が書いてあるということに気付く。
書き置きのようだった。
『遅いので帰るね! それと、この封筒は私が好きな人宛に書いた手紙なんだけど、よければ読んで! 悪いところが無ければ私に教えて欲しい!』
と、割と大きめの紙に不釣り合いな小さな丸い文字で、そう書かれていた。
同時に若干の罪悪感を覚えてしまう。
罪悪感というか、これは完全に私が悪い。
心音との時間に多くを使いすぎた。
もう日も沈みそうな時間だし。
思いながらも、私は置かれている封筒を手に取った。
部屋の電気をパチンと付けて、カーテンを閉め。
椅子に座って、傷一つない綺麗な封筒を眺める。
「ふーむふむ」
これが。美結ちゃんのラブレターか。
これの悪い場所を私が添削する感じね。
私は特に悪びれも無く中に入っている便箋を取り出した。
いかにも女の子な可愛い模様が入っていて、肝心の内容も結構書かれている。
これって、美結ちゃんのかなりプライベートな部分を覗くことになるのではないかと少し不安にはなったが、これは美結ちゃんが頼んだことで、むしろ私が読まないのはそれこそ失礼というものではないかと。そう思案し。
私は、目を通した。
『急にこんなお手紙を出してごめんね』
出だしは、かなり丁寧だ。
『それで、急なお願いがあるんだけどね。私と付き合って欲しいの』
……。
こういうラブレターは今まで何度か見たことはあったが。
何度見ても、なぜか自分までも恥ずかしくなってしまう。
『何でって言われても仕方がないと思うけど、前々からあなたのことは好きで、ずっと付き合いたいなって思っていて。女同士って変? じゃなかったら付き合って欲しい、お願い』
そこからは、思い出話が描かれていて。
美結ちゃんが想い人への好きになる過程が熱く語られていた。
そして前から抱いていた想いを、ついに告げることにしたと。
そういう内容のことが書かれていた。
遂には、最後の文章まで辿り着き、
『振られたら、私。死ぬかも。それくらいの想いなの。だから、この想いを受け取ってくれるなら、私のところまで持ってきて』
そこで手紙は締めくくられていた。
死ぬ……って、そんなのは多分、嘘……だよね?
ただそれほどの想いだってことを伝えたいだけであって。
それにこれは、もう添削の余地がない。
と言うよりも美結ちゃんが書いた手紙なのだ。
添削をするというのは、そもそもが間違っているのかもしれない。
明日、学校に来た時にそのまま返してあげよう。
告白の成功の有無に問わず、想いを伝えるというのは大切なことだ。
私からも、しっかり美結ちゃんのことを応援してあげないと。
「よし……」
何かを意気込んだかのように呟きを漏らした私は、椅子から立ち上がり、便箋を綺麗にたたんで封筒の中にしまい、それを私のカバンに入れた。
部室内の後片付けを雑に行い、戸締り確認、忘れ物も無し。
そして部室を後にする。
少し駆け足になっているのは、心音とのキスが私を待っているから。
だけれどそこには。
「……あれ?」
がらんしていて、寂しくて。
つまり誰もいなかった。
教室の隅に目をやって。
美結ちゃんのカバンがないことを確認する。
帰ってしまったようだ、と確信した。
次に目に入ったのは、机の上の……。
あれは……封筒?
それと、紙切れのようなものが丁寧に揃えて置かれていた。
机上に向かい、紙切れには文字が書いてあるということに気付く。
書き置きのようだった。
『遅いので帰るね! それと、この封筒は私が好きな人宛に書いた手紙なんだけど、よければ読んで! 悪いところが無ければ私に教えて欲しい!』
と、割と大きめの紙に不釣り合いな小さな丸い文字で、そう書かれていた。
同時に若干の罪悪感を覚えてしまう。
罪悪感というか、これは完全に私が悪い。
心音との時間に多くを使いすぎた。
もう日も沈みそうな時間だし。
思いながらも、私は置かれている封筒を手に取った。
部屋の電気をパチンと付けて、カーテンを閉め。
椅子に座って、傷一つない綺麗な封筒を眺める。
「ふーむふむ」
これが。美結ちゃんのラブレターか。
これの悪い場所を私が添削する感じね。
私は特に悪びれも無く中に入っている便箋を取り出した。
いかにも女の子な可愛い模様が入っていて、肝心の内容も結構書かれている。
これって、美結ちゃんのかなりプライベートな部分を覗くことになるのではないかと少し不安にはなったが、これは美結ちゃんが頼んだことで、むしろ私が読まないのはそれこそ失礼というものではないかと。そう思案し。
私は、目を通した。
『急にこんなお手紙を出してごめんね』
出だしは、かなり丁寧だ。
『それで、急なお願いがあるんだけどね。私と付き合って欲しいの』
……。
こういうラブレターは今まで何度か見たことはあったが。
何度見ても、なぜか自分までも恥ずかしくなってしまう。
『何でって言われても仕方がないと思うけど、前々からあなたのことは好きで、ずっと付き合いたいなって思っていて。女同士って変? じゃなかったら付き合って欲しい、お願い』
そこからは、思い出話が描かれていて。
美結ちゃんが想い人への好きになる過程が熱く語られていた。
そして前から抱いていた想いを、ついに告げることにしたと。
そういう内容のことが書かれていた。
遂には、最後の文章まで辿り着き、
『振られたら、私。死ぬかも。それくらいの想いなの。だから、この想いを受け取ってくれるなら、私のところまで持ってきて』
そこで手紙は締めくくられていた。
死ぬ……って、そんなのは多分、嘘……だよね?
ただそれほどの想いだってことを伝えたいだけであって。
それにこれは、もう添削の余地がない。
と言うよりも美結ちゃんが書いた手紙なのだ。
添削をするというのは、そもそもが間違っているのかもしれない。
明日、学校に来た時にそのまま返してあげよう。
告白の成功の有無に問わず、想いを伝えるというのは大切なことだ。
私からも、しっかり美結ちゃんのことを応援してあげないと。
「よし……」
何かを意気込んだかのように呟きを漏らした私は、椅子から立ち上がり、便箋を綺麗にたたんで封筒の中にしまい、それを私のカバンに入れた。
部室内の後片付けを雑に行い、戸締り確認、忘れ物も無し。
そして部室を後にする。
少し駆け足になっているのは、心音とのキスが私を待っているから。
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