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仲良し少女の恋愛相談
来客
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いつもの放課後。部室の中。
昨日の様に、部室の隅で心音と体育座りをしていた。
けれど、いつもとは色が違う。
先の事に対し、未だ答えを出すことはできなかった。
「あーーーーー! 分からん!」
考えすぎて頭が火照って、今にも爆発しそうだ。
「もうこれ神隠しでいいでしょ。……いや? 神隠しって隠された人の記憶って覚えていないものなんだっけ? もーう! 分からん!」
──ブー。
私の喚きを遮るようにスマホが鳴る。
ラインの着信だ。それを開く。
『ちょっと静かにしましょう』
『すみません』
結構マジな感じでお咎めを受け、私は昂った気持ちを抑える。
けど、顔に出さなくても心の中は相当荒れているもので。
そんな複雑な心内で、私は指の動くままに入力。送信した。
『ねぇねぇ。心音はさ、どうするべきだと思うかね? 私はもう何もできない』
ぽちぽちと心音から聞こえる入力音。
数秒後、返信が届く。
『えっとですね。私的には、普通に先生に聞いたらいいと思いますよ。昼休みは職員会議でいなかったですけど。というか、鍵を取りに行った時、普通に先生方いましたよ』
『あーー。それ盲点。完全に忘れていた』
その通りだ。
先生が一番確実だと思う。
生徒と違って、テキトーなこと言わない筈。
だからって生徒がテキトーなことを言っているというのも悪いけれど。
「よし! 善は急げだ!」
勢いよく立ち上がる。
「心音も! 行くよ!」
手を差し伸べ、促す。
心音も頷いて、私の手を握ってくれる。
少し引っ張り心音が立ち上がるお手伝いをしてあげた。
目線が合い、なんとなく微笑む。
手を握ったまま、ドアの方へと歩く。
ノブに手をかけた。
その時。違和感を覚えた。少し重かった。
そして同時に、人の気配を感じた。
ドアの向こう側にいる誰かが、ノブを手にしているということだった。
「美結ちゃん⁉︎」
考えもなしに、勢いよくドアを開いた。
美結ちゃんだ。絶対。この向こう側にいるのは。と、確信的に。
考えもなしとは言ったが、そう思えばこういう考えもあったのかもしれない。
「あ──」
けれど。違かった。
「……あの。急に押しかけてすみません。ご相談があるのですが」
昼休み。
教室の端っこで本を読んでいた少女。
『その人のことは分かりません』と、バッサリ切り捨てた少女。
その人が、ドアの向こう側にいたのだ。
今は私の正面にいる。
落胆した。そこいたのは、美結ちゃんじゃない。
思わず、握っていた心音の手を離してしまう。
「ご、ごめんね! 今、ちょっと急いでて。また明日来てもらえる?」
落ち込んだ気持ちを顔には出さずに。
両手を合わせて頭をペコと下げて、その人の横をさっと通り抜けた。
「待ってください!」
背中に声量のある声がぶつかり、私は思わず振り向いた。
「どうか聞いて貰えませんか。……その。今さっき私を『美結ちゃん』と言いましたよね? その美結ちゃんについてのことなんです」
ほぼ無意識的に聞き返す。
「何か知ってるの?」
少女は頷いた。
昨日の様に、部室の隅で心音と体育座りをしていた。
けれど、いつもとは色が違う。
先の事に対し、未だ答えを出すことはできなかった。
「あーーーーー! 分からん!」
考えすぎて頭が火照って、今にも爆発しそうだ。
「もうこれ神隠しでいいでしょ。……いや? 神隠しって隠された人の記憶って覚えていないものなんだっけ? もーう! 分からん!」
──ブー。
私の喚きを遮るようにスマホが鳴る。
ラインの着信だ。それを開く。
『ちょっと静かにしましょう』
『すみません』
結構マジな感じでお咎めを受け、私は昂った気持ちを抑える。
けど、顔に出さなくても心の中は相当荒れているもので。
そんな複雑な心内で、私は指の動くままに入力。送信した。
『ねぇねぇ。心音はさ、どうするべきだと思うかね? 私はもう何もできない』
ぽちぽちと心音から聞こえる入力音。
数秒後、返信が届く。
『えっとですね。私的には、普通に先生に聞いたらいいと思いますよ。昼休みは職員会議でいなかったですけど。というか、鍵を取りに行った時、普通に先生方いましたよ』
『あーー。それ盲点。完全に忘れていた』
その通りだ。
先生が一番確実だと思う。
生徒と違って、テキトーなこと言わない筈。
だからって生徒がテキトーなことを言っているというのも悪いけれど。
「よし! 善は急げだ!」
勢いよく立ち上がる。
「心音も! 行くよ!」
手を差し伸べ、促す。
心音も頷いて、私の手を握ってくれる。
少し引っ張り心音が立ち上がるお手伝いをしてあげた。
目線が合い、なんとなく微笑む。
手を握ったまま、ドアの方へと歩く。
ノブに手をかけた。
その時。違和感を覚えた。少し重かった。
そして同時に、人の気配を感じた。
ドアの向こう側にいる誰かが、ノブを手にしているということだった。
「美結ちゃん⁉︎」
考えもなしに、勢いよくドアを開いた。
美結ちゃんだ。絶対。この向こう側にいるのは。と、確信的に。
考えもなしとは言ったが、そう思えばこういう考えもあったのかもしれない。
「あ──」
けれど。違かった。
「……あの。急に押しかけてすみません。ご相談があるのですが」
昼休み。
教室の端っこで本を読んでいた少女。
『その人のことは分かりません』と、バッサリ切り捨てた少女。
その人が、ドアの向こう側にいたのだ。
今は私の正面にいる。
落胆した。そこいたのは、美結ちゃんじゃない。
思わず、握っていた心音の手を離してしまう。
「ご、ごめんね! 今、ちょっと急いでて。また明日来てもらえる?」
落ち込んだ気持ちを顔には出さずに。
両手を合わせて頭をペコと下げて、その人の横をさっと通り抜けた。
「待ってください!」
背中に声量のある声がぶつかり、私は思わず振り向いた。
「どうか聞いて貰えませんか。……その。今さっき私を『美結ちゃん』と言いましたよね? その美結ちゃんについてのことなんです」
ほぼ無意識的に聞き返す。
「何か知ってるの?」
少女は頷いた。
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