義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日

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義姉妹の学校生活

愛の言葉

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 嫌だった。自分のことが。
 こんなに時間が経っても、謝ることさえできない自分は、もはや愚かとさえ言い表せる。

 今日なんて、登校する時一緒に家を出なかった。
 てんちゃんが先に家を出て、私は十数分後に出た。
 避けられているんだなって。
 そりゃそうだけどさ。
 当たり前な話だ。

 今は、いつもの通学路。
 ポツンと一人で歩く。
 セミの声がうるさい。
 そのうるささが、暑さをより一層引き立てるようだ。
 額に汗をかいて、それを拭くのも面倒臭く感じてしまう。

 もう一学期も終わりそうだった。
 本当にあっという間だ。
 一学期。振り返ってみれば、良い思い出なんてほとんどない。
 嫌な思い出が色濃く残っている。

 教室に入る。
 無意識的にてんちゃんの方へ目をやれば、背筋をピンと立て、微動だにせず座っていた。
 何もする事がないのかなと疑問を持ちつつ、自分の席に腰を下ろす。
 カバンから教科書類を取り出して、机の中に突っ込む。

 だけど。
 ……何かが突っかかってうまく入らない。
 あれデジャヴ。

 手で机の中を探る。
 あぁ。やっぱりと。その感触で何かが分かった。

 これはあれだ。
 前、てんちゃんがラブレターもどきを仕込んだ時に似てる。
 紙の質は少し違うけれど、これは間違い無く封筒だった。
 さらに触ってみて、シールで封をされているということが分かる。

 ……てんちゃんだ。
 そう確信して。
 少し胸が高鳴って。
 早くこれを開封したい欲がどんどんと募っていく。

 てんちゃんは前を向いている。
 私が、この手紙を持っていくのにも気づかない。

 まだもう少し、朝礼まで時間がある。
 前と同じように制服の中に手紙を滑り込ませて、スキップ気味にトイレに向かう。

 トイレの個室で、ガサガサとそこそこ大きい音を立てて、中身の便箋を取り出した。
 ハートの模様が可愛く描かれた便箋。

 だけど。
 それは違和感の塊だった。
 『瑞樹へ』と始まる一行目。
 前の時とは、明らかに違う文字筆。
 あえて、一番下の差出人の名前は見なかった。折って差出人の部分だけを隠す。
 さっきまでの胸の高鳴りが嘘のように収まっていた。


─────────────
瑞樹へ

 急にこんなことしてごめん。
 でも、どうしても伝えたいことがあって。
 今日。学校終わったら、体育館の裏にきてくれない?
 これを今日中に見てなかったら、明日でいいよ。
 どうしてもだから。
 お願いね。
─────────────


 これだけの短い文章。
 折っていた紙の部分を開いて、差出人を確認する。

 『桃杏もあより』
 そう書かれていた。

 グランと揺らぐ。
 揺らぐって何が?
 少なくとも、心の内の何かだ。

 さっきとは別の意味でドキドキする心臓を抑えながら私は教室に戻った。

 その後は特別語るようなことは何も無い。
 てんちゃんはいつも通りだし──。
 あぁ。でも、藤崎さんはそわそわしてた。
 そりゃあ、私が手紙を隠し持ってどっかに行ったの見てたから、そうなるのも自然と言える。

 ──もし、私が告白を受け取ったら?
 ……どうなるの?
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