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第1章 土方歳三、北の大地へ
第6話
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ブリュネ達が、部屋に入ると、そこには10名余りの男が集まっていた。
この中に土方歳三がいることは間違いない。
そう、ブリュネは考えた。
「ヒジカタサン、オラレマスカ。チョクセツ、ワタスモノガアリマス」
カタコトに近いが、そう、ブリュネが言うと、部屋の中にいた1人の偉丈夫が立ち上がり、自分の傍に来た。
ブリュネは、榎本から託された封筒の1つを、その男に渡した。
その男は、元のところに戻って座ると、その封筒を開けて中身を読みだした。
それがきっかけになったのだろう。
その部屋にいた男たちが、ブリュネ達に口々に質問しだした。
「徳川家はどうなった」
「慶喜公は家督を家達公に譲られて、駿府で謹慎中とのことです。
駿河等70万国が徳川家の領土として認められました。
それでは多くの徳川家の元家臣が路頭に迷うので、蝦夷地開拓に際して、非常時に北辺の国防に当たることを条件に徳川家の元家臣が優先的な取り扱いを受けることが出来ることになったとのことです」
「榎本はどうして来ない」
「榎本さんは、江戸に残って、徳川家の元家臣たちの生活を保護しようと奔走されています。
榎本さんも本当はあなた方と行動を共にしたかったそうですが、慶喜公の命が惜しければ、開陽と甲鉄を引き渡せと脅迫されました。
その2艦を引き渡しては最早、幕府海軍の戦力では薩長海軍にとても勝てないということで抗戦を断念して降伏、徳川家の元家臣の生活保障に奔走することを決断されました」
「薩長の卑怯者め、慶喜公の命を盾に取るとは」
「榎本さんは、徳川家の有為な多くの人材を、これ以上は失いたくない、との意向です。
薩長の幹部と懸命に話をされていて、これには勝さんたちも賛同して協力されています。
今なら、まだ全員、助命されるとのことです。
流石にすぐに家に全員還れるというのは無理とのことですが、幹部以外の兵士は武装解除のうえで帰宅することを認め、幹部については数年の入牢というところで薩長の幹部と話が出来つつあります。
牢生活はつらいと思いますが、どうかこの条件で投降していただけませんか。
もし、信用できないというのなら神速丸で行けるところまでお連れします」
「しかし、ここまできて投降するというのは」
等々、ブリュネの懸命の説得にも関わらず、伝習隊の幹部からは、反論の声が上がった。
その時、1人の男が立ちあがった。
ブリュネから封筒を受け取った男、土方歳三だった。
封筒の中の書簡を読み終えたのか、土方の片方の手に書簡は握られていた。
また、土方は、内心の激情に耐えかねたのか、書簡はぐちゃぐちゃになって握られている。
更に周囲がよく見ると、土方は目元に涙さえも浮かべていた。
「皆、よく聞いてくれ。この際、我々は全員降伏しようではないか」
土方は、文字通り、肺腑から抉り出すような、真情を込めた発言をした。
その土方の言葉を聞いた瞬間、伝習隊の幹部、それこそ大鳥圭介以下、この場にいた伝習隊の幹部全員が呆然としてしまった。
何しろ、土方は、伝習隊の幹部にしてみれば、薩長に対する徹底抗戦派筆頭といえる存在だったのだ。
大鳥にしても、土方があくまでも薩長に対する徹底抗戦を主張するのではないか、という危惧を覚える程だった。
既に伝習隊内部にも、現状からして薩長に対する抗戦は、これ以上は不可能という現実論が広がりつつはある。
だが、これまで抗戦してきた以上は、最後まで戦い抜くべきだ、という主張は、伝習隊内部において根強く、そういった面々の精神的な支柱の1人になっていたのが、伝習隊外部から来た存在ではあったが、土方だった。
その徹底抗戦派筆頭が、降伏を主張するのだ。
伝習隊幹部全員が、呆然としてしまった。
この中に土方歳三がいることは間違いない。
そう、ブリュネは考えた。
「ヒジカタサン、オラレマスカ。チョクセツ、ワタスモノガアリマス」
カタコトに近いが、そう、ブリュネが言うと、部屋の中にいた1人の偉丈夫が立ち上がり、自分の傍に来た。
ブリュネは、榎本から託された封筒の1つを、その男に渡した。
その男は、元のところに戻って座ると、その封筒を開けて中身を読みだした。
それがきっかけになったのだろう。
その部屋にいた男たちが、ブリュネ達に口々に質問しだした。
「徳川家はどうなった」
「慶喜公は家督を家達公に譲られて、駿府で謹慎中とのことです。
駿河等70万国が徳川家の領土として認められました。
それでは多くの徳川家の元家臣が路頭に迷うので、蝦夷地開拓に際して、非常時に北辺の国防に当たることを条件に徳川家の元家臣が優先的な取り扱いを受けることが出来ることになったとのことです」
「榎本はどうして来ない」
「榎本さんは、江戸に残って、徳川家の元家臣たちの生活を保護しようと奔走されています。
榎本さんも本当はあなた方と行動を共にしたかったそうですが、慶喜公の命が惜しければ、開陽と甲鉄を引き渡せと脅迫されました。
その2艦を引き渡しては最早、幕府海軍の戦力では薩長海軍にとても勝てないということで抗戦を断念して降伏、徳川家の元家臣の生活保障に奔走することを決断されました」
「薩長の卑怯者め、慶喜公の命を盾に取るとは」
「榎本さんは、徳川家の有為な多くの人材を、これ以上は失いたくない、との意向です。
薩長の幹部と懸命に話をされていて、これには勝さんたちも賛同して協力されています。
今なら、まだ全員、助命されるとのことです。
流石にすぐに家に全員還れるというのは無理とのことですが、幹部以外の兵士は武装解除のうえで帰宅することを認め、幹部については数年の入牢というところで薩長の幹部と話が出来つつあります。
牢生活はつらいと思いますが、どうかこの条件で投降していただけませんか。
もし、信用できないというのなら神速丸で行けるところまでお連れします」
「しかし、ここまできて投降するというのは」
等々、ブリュネの懸命の説得にも関わらず、伝習隊の幹部からは、反論の声が上がった。
その時、1人の男が立ちあがった。
ブリュネから封筒を受け取った男、土方歳三だった。
封筒の中の書簡を読み終えたのか、土方の片方の手に書簡は握られていた。
また、土方は、内心の激情に耐えかねたのか、書簡はぐちゃぐちゃになって握られている。
更に周囲がよく見ると、土方は目元に涙さえも浮かべていた。
「皆、よく聞いてくれ。この際、我々は全員降伏しようではないか」
土方は、文字通り、肺腑から抉り出すような、真情を込めた発言をした。
その土方の言葉を聞いた瞬間、伝習隊の幹部、それこそ大鳥圭介以下、この場にいた伝習隊の幹部全員が呆然としてしまった。
何しろ、土方は、伝習隊の幹部にしてみれば、薩長に対する徹底抗戦派筆頭といえる存在だったのだ。
大鳥にしても、土方があくまでも薩長に対する徹底抗戦を主張するのではないか、という危惧を覚える程だった。
既に伝習隊内部にも、現状からして薩長に対する抗戦は、これ以上は不可能という現実論が広がりつつはある。
だが、これまで抗戦してきた以上は、最後まで戦い抜くべきだ、という主張は、伝習隊内部において根強く、そういった面々の精神的な支柱の1人になっていたのが、伝習隊外部から来た存在ではあったが、土方だった。
その徹底抗戦派筆頭が、降伏を主張するのだ。
伝習隊幹部全員が、呆然としてしまった。
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