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第1章 土方歳三、北の大地へ
第9話
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土方歳三は、終わったな、と感慨に耽りつつ歩んでいた。
ブリュネ大尉も、同じ思いをしているようで、感慨に耽っているような表情を浮かべつつ、傍を歩んでいた。
先ほど、最後まで残っていた有力な幕府諸隊の1つである衝鋒隊が、ようやく降伏を決断したのだった。
まだ抗戦している幕府諸隊がいるかもしれないが、少なくとも自分の把握している幕府諸隊は、その全てが降伏を決断した。
俺たち幕府諸隊、徳川家の元家臣を中核とする部隊の戦争は終わった。
衝鋒隊のもとを辞去し、土方とブリュネは仙台に向かっていた。
伝習隊が降伏を決断した後、ブリュネは、すぐさま他の幕府諸隊に対しても降伏するように説得しなければ、と出立しようとしたが。
それを引き留めたのが、大鳥圭介だった。
「いきなり、あなた方が赴いても、知っている人がいなければ説得しようもないでしょう。
それに、我々が降伏したという情報は、すぐに広まります。
その情報が相手に入った段階で、相手を降伏するように説得した方が効果的です。
誰か護衛も兼ねて伝習隊の者を同行させましょう。
また、予め伝習隊から使者が行くことも、連絡しておきましょう。
その方が、説得するのに効果的ではないでしょうか。
それにしても、誰を同行させるのがよいかな」
大鳥の言葉に、土方が口を開いた。
「私でよければ、ブリュネ大尉に同行しますが」
「土方さん、いいのですか」
「私を斬ろうとするのは、そうそういますまい。
大鳥さんには、伝習隊を取りまとめて降伏する大事な役目があります。
私は、伝習隊全体から見れば部外者の身ですが、伝習隊の一員としてよく知られています。
それに、降伏を言い出したのは、私です。
私に同行させてください」
そのような経緯から、土方はブリュネ大尉に同行して、幕府諸隊を説得したのだった。
それにしても、と土方は思った。
衝鋒隊の古屋佐久左衛門さんの説得には難儀したものだ。
私達の話を聞いた後、1人考えさせてほしい、と言って退室した後、いきなり古屋さんのうめき声が聞こえてきた時には驚いたものだ。
幕府の御家人として幕府に殉じたい、ということで、古屋さんは腹を一人で切ったのだが、思ったより刺さっていなかったことや、古屋さんの弟の医師、高松凌雲がたまたま兄を頼って同行していたこともあって、一命を取り留めることに成功したのだった。
古屋さんは、本来は福岡の農家の出身なのだから、幕府に殉じることはなかったものを。
全く尾張藩といい、彦根藩といい、幕府に真っ先に殉じるべき藩が平然と幕府を見限ったことを考えるにつけても、古屋さんの態度は立派なものだ。
血止めに成功して容体が落ち着いた古屋さんを繰り返して、我々が説得したところ、古屋さんは降伏に同意し、衝鋒隊はようやく降伏してくれたのだった。
「土方さん、どうもいろいろありがとうございました。
ようやく全て終わりました。
私はフランス公使館にあらためて出頭して処分を受けようと思います。
多分、フランスに帰国することになるでしょう」
「こちらも、いろいろお世話になりました。
私は仙台に来た薩長軍の司令部に出頭します。
多分、これから私は牢に入る身です」
「土方さんの牢屋生活が、そう長くないことを願っています。
いつか再会した暁には、旧交を温めあいましょう」
「ブリュネ教官の処分が軽いことを、心から私は願っています。
本当に、いつか再会した際には、酒を酌み交わしあいましょう」
ブリュネと土方は、仙台に向かう道すがら、お互いに歩みながら語り合った。
二人は想った。
お互いにまだ若い、きっと今生の別れ、ということにはならないだろう。
いつの日にか、お互いに懐旧談を交わしながら、酒を酌み交わそう。
ブリュネ大尉も、同じ思いをしているようで、感慨に耽っているような表情を浮かべつつ、傍を歩んでいた。
先ほど、最後まで残っていた有力な幕府諸隊の1つである衝鋒隊が、ようやく降伏を決断したのだった。
まだ抗戦している幕府諸隊がいるかもしれないが、少なくとも自分の把握している幕府諸隊は、その全てが降伏を決断した。
俺たち幕府諸隊、徳川家の元家臣を中核とする部隊の戦争は終わった。
衝鋒隊のもとを辞去し、土方とブリュネは仙台に向かっていた。
伝習隊が降伏を決断した後、ブリュネは、すぐさま他の幕府諸隊に対しても降伏するように説得しなければ、と出立しようとしたが。
それを引き留めたのが、大鳥圭介だった。
「いきなり、あなた方が赴いても、知っている人がいなければ説得しようもないでしょう。
それに、我々が降伏したという情報は、すぐに広まります。
その情報が相手に入った段階で、相手を降伏するように説得した方が効果的です。
誰か護衛も兼ねて伝習隊の者を同行させましょう。
また、予め伝習隊から使者が行くことも、連絡しておきましょう。
その方が、説得するのに効果的ではないでしょうか。
それにしても、誰を同行させるのがよいかな」
大鳥の言葉に、土方が口を開いた。
「私でよければ、ブリュネ大尉に同行しますが」
「土方さん、いいのですか」
「私を斬ろうとするのは、そうそういますまい。
大鳥さんには、伝習隊を取りまとめて降伏する大事な役目があります。
私は、伝習隊全体から見れば部外者の身ですが、伝習隊の一員としてよく知られています。
それに、降伏を言い出したのは、私です。
私に同行させてください」
そのような経緯から、土方はブリュネ大尉に同行して、幕府諸隊を説得したのだった。
それにしても、と土方は思った。
衝鋒隊の古屋佐久左衛門さんの説得には難儀したものだ。
私達の話を聞いた後、1人考えさせてほしい、と言って退室した後、いきなり古屋さんのうめき声が聞こえてきた時には驚いたものだ。
幕府の御家人として幕府に殉じたい、ということで、古屋さんは腹を一人で切ったのだが、思ったより刺さっていなかったことや、古屋さんの弟の医師、高松凌雲がたまたま兄を頼って同行していたこともあって、一命を取り留めることに成功したのだった。
古屋さんは、本来は福岡の農家の出身なのだから、幕府に殉じることはなかったものを。
全く尾張藩といい、彦根藩といい、幕府に真っ先に殉じるべき藩が平然と幕府を見限ったことを考えるにつけても、古屋さんの態度は立派なものだ。
血止めに成功して容体が落ち着いた古屋さんを繰り返して、我々が説得したところ、古屋さんは降伏に同意し、衝鋒隊はようやく降伏してくれたのだった。
「土方さん、どうもいろいろありがとうございました。
ようやく全て終わりました。
私はフランス公使館にあらためて出頭して処分を受けようと思います。
多分、フランスに帰国することになるでしょう」
「こちらも、いろいろお世話になりました。
私は仙台に来た薩長軍の司令部に出頭します。
多分、これから私は牢に入る身です」
「土方さんの牢屋生活が、そう長くないことを願っています。
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「ブリュネ教官の処分が軽いことを、心から私は願っています。
本当に、いつか再会した際には、酒を酌み交わしあいましょう」
ブリュネと土方は、仙台に向かう道すがら、お互いに歩みながら語り合った。
二人は想った。
お互いにまだ若い、きっと今生の別れ、ということにはならないだろう。
いつの日にか、お互いに懐旧談を交わしながら、酒を酌み交わそう。
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