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第2章 海兵隊の整備
第1話
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大鳥圭介が、ようやく出獄できたのは、明治3年の夏だった。
土方歳三さんが出獄したらしい、古屋佐久左衛門さんも出獄したらしい、という噂が出たにもかかわらず、自分が残されていたのは、やはり伝習隊の隊長として活動したために、旧幕臣の抗戦派筆頭と見られたからだろう、と大鳥は考えていた。
入牢中の大鳥のもとには、何度か荒井郁之助から、出獄後は海兵隊の幹部として働いてほしい旨の手紙が、何回か来ていた。
大鳥はそれを受け入れるつもりになっていて、出獄後、都合が付き次第、荒井のもとを訪ねた。
「よく来てくれた。
大鳥さんには海軍大尉に任官して海兵隊の幹部として尽力してほしい。
海軍卿とかの説得は何とかしてみせる」
荒井は大鳥を歓迎した。
「古屋さんは既に海軍大尉に任官して海兵隊の一員になっている。
元衝鋒隊の隊長だったせいか、荒くれ者の多い海兵隊員を指導するのに早速辣腕を振るってくれている。
大鳥さんも同様に活躍してくれることを期待している」
「海兵隊が荒くれ者揃いというのは意外ですね」
荒井の言葉に、大鳥は半分独り言で返した。
大鳥の予想では、海兵隊は海軍の一員なのだから、もう少し上品なイメージがあったのだ。
「海兵隊の士官クラスはともかく、下士官兵の多くは、元幕府歩兵隊の生き残りが大半だ。
幕府歩兵隊の一員になった多くの者が、日々の糧に困窮した余り、幕府歩兵隊に志願した者だったじゃないか。
幕府が崩壊して、幕府歩兵隊は解散した。
幕府歩兵隊の一部の兵は君たちに同行する道を選んだが、結局は薩長に降伏する羽目になった。
牢に入らなくて済んだ者も、生きていかねばならん。
残りに至っては、言わずもがなの状況になった。
そこに絶好の就職口、海兵隊に入隊するという道があったというわけだ」
「何ともいえない素晴らしい状況ですね」
「海兵隊の下士官兵にとって、最大の友は、酒とばくちというのが現状だな」
「女遊びも入るのではないですか」
荒井の現状認識を踏まえた説明に、大鳥は嘆き半分、諧謔半分の口調で答えた。
これは、海兵隊をまともな存在にするのには、かなり力が要りそうだ。
「ともかく現状を嘆いても始まらない。
対策を講じていかねば。
何かいい考えはないかな」
「そうですね、まずはイギリスか、フランスから海兵隊士官を派遣してもらいましょう。
それを顧問として、海兵隊士官の教育を行っていき、そのうえで下士官兵の教育もしていきましょう」
荒井と大鳥は、今後のことについて話し合いを始めた。
「ありきたりだが、それが一番の対策かな」
「それと並行して、イギリスやフランスの士官学校に若手士官を留学させて教育を受けさせましょう。
教育を受けた若手士官は将来、海兵隊を担う人材になっていくでしょう。
誰か適当な人材はいませんか」
大鳥は、荒井に尋ねた。
「何人か心当たりはある。
下士官兵は、さっき述べたようにとてもいいとは言いかねるが、士官は別だ。
旧幕府系の有望な若者にとっては、海兵隊は私がいるし、古屋さんや君が入ってくれるおかげでますます魅力的な職場になりそうだ。
ここだけの話にしてほしいが、輪王寺宮殿下が、海兵隊への入隊を希望されているという話もある」
「奥羽越列藩同盟で、名目上とはいえ盟主を務められていた輪王寺宮殿下が、海兵隊に入隊ですか」
荒井の言葉に、大鳥は驚いた。
輪王寺宮殿下が、海兵隊に入られるとは。
そうなれば、多くの旧幕臣、戊辰の戦野を駆けた者達が、海兵隊への入隊を志願することになるだろう。
「そうだ。
だから、有望な若者が、ここ海兵隊には来るだろう。
その中から選んだ若者を、海外に留学させよう」
荒井は言った。
大鳥もこれならば、と海兵隊に希望が広がり始めた。
土方歳三さんが出獄したらしい、古屋佐久左衛門さんも出獄したらしい、という噂が出たにもかかわらず、自分が残されていたのは、やはり伝習隊の隊長として活動したために、旧幕臣の抗戦派筆頭と見られたからだろう、と大鳥は考えていた。
入牢中の大鳥のもとには、何度か荒井郁之助から、出獄後は海兵隊の幹部として働いてほしい旨の手紙が、何回か来ていた。
大鳥はそれを受け入れるつもりになっていて、出獄後、都合が付き次第、荒井のもとを訪ねた。
「よく来てくれた。
大鳥さんには海軍大尉に任官して海兵隊の幹部として尽力してほしい。
海軍卿とかの説得は何とかしてみせる」
荒井は大鳥を歓迎した。
「古屋さんは既に海軍大尉に任官して海兵隊の一員になっている。
元衝鋒隊の隊長だったせいか、荒くれ者の多い海兵隊員を指導するのに早速辣腕を振るってくれている。
大鳥さんも同様に活躍してくれることを期待している」
「海兵隊が荒くれ者揃いというのは意外ですね」
荒井の言葉に、大鳥は半分独り言で返した。
大鳥の予想では、海兵隊は海軍の一員なのだから、もう少し上品なイメージがあったのだ。
「海兵隊の士官クラスはともかく、下士官兵の多くは、元幕府歩兵隊の生き残りが大半だ。
幕府歩兵隊の一員になった多くの者が、日々の糧に困窮した余り、幕府歩兵隊に志願した者だったじゃないか。
幕府が崩壊して、幕府歩兵隊は解散した。
幕府歩兵隊の一部の兵は君たちに同行する道を選んだが、結局は薩長に降伏する羽目になった。
牢に入らなくて済んだ者も、生きていかねばならん。
残りに至っては、言わずもがなの状況になった。
そこに絶好の就職口、海兵隊に入隊するという道があったというわけだ」
「何ともいえない素晴らしい状況ですね」
「海兵隊の下士官兵にとって、最大の友は、酒とばくちというのが現状だな」
「女遊びも入るのではないですか」
荒井の現状認識を踏まえた説明に、大鳥は嘆き半分、諧謔半分の口調で答えた。
これは、海兵隊をまともな存在にするのには、かなり力が要りそうだ。
「ともかく現状を嘆いても始まらない。
対策を講じていかねば。
何かいい考えはないかな」
「そうですね、まずはイギリスか、フランスから海兵隊士官を派遣してもらいましょう。
それを顧問として、海兵隊士官の教育を行っていき、そのうえで下士官兵の教育もしていきましょう」
荒井と大鳥は、今後のことについて話し合いを始めた。
「ありきたりだが、それが一番の対策かな」
「それと並行して、イギリスやフランスの士官学校に若手士官を留学させて教育を受けさせましょう。
教育を受けた若手士官は将来、海兵隊を担う人材になっていくでしょう。
誰か適当な人材はいませんか」
大鳥は、荒井に尋ねた。
「何人か心当たりはある。
下士官兵は、さっき述べたようにとてもいいとは言いかねるが、士官は別だ。
旧幕府系の有望な若者にとっては、海兵隊は私がいるし、古屋さんや君が入ってくれるおかげでますます魅力的な職場になりそうだ。
ここだけの話にしてほしいが、輪王寺宮殿下が、海兵隊への入隊を希望されているという話もある」
「奥羽越列藩同盟で、名目上とはいえ盟主を務められていた輪王寺宮殿下が、海兵隊に入隊ですか」
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そうなれば、多くの旧幕臣、戊辰の戦野を駆けた者達が、海兵隊への入隊を志願することになるだろう。
「そうだ。
だから、有望な若者が、ここ海兵隊には来るだろう。
その中から選んだ若者を、海外に留学させよう」
荒井は言った。
大鳥もこれならば、と海兵隊に希望が広がり始めた。
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