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第5章 新選組の再集結
第4話
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2月24日早朝、林忠崇海兵大尉は木刀を振るっていた。
ここ20日余り、いろいろと状況が急変したり、自分の仕事も急増したりで大変だった。
こういった時に木刀の素振りは、自分にとって考えをまとめたり、新たな行動を起こすのに役立ったりすると剣術と槍術の自らの師である伊能矢柄に教えられ、自分もやってみて、師匠の言葉に間違いがないことを痛感して以来、ずっと林大尉はそれをやってきていた。
考えてみると、脱藩しての遊撃隊への参加を自らが決意した時もやったし、フランスに留学していた時もそうだったな、とも追憶に思わずふけったりも、林大尉は素振りをしながらしていた。
2月の初めに鹿児島で陸海軍の施設が私学校党に襲撃されたとの第1報を受けて以来、林大尉の周囲の状況は悪化する一方だった。
海兵局からは、速やかに出動待機命令が届き、長崎に駐屯していた第1海兵中隊と砲兵中隊は即時出動可能な状況に置かれることになった。
自分は砲兵中隊の中隊長として鹿児島へ出征することになるのだろうか、と考えていたところに出た辞令が、新編の第3海兵大隊の副大隊長に自分を任命するとのものだった。
ある意味、出世と言えば出世ではあるが、それが内戦によるものであるということに、何とも言えない想いを自分は覚えた。
幸か不幸か西郷軍(いつの間にか自分もその呼称を受け入れていることにもいろいろと考えるところがあるが)には明快な大義名分がなく、ただ西郷隆盛暗殺の理非を糺すという何とも怪しげな名分のもとに挙兵していた。
これが、政府の非道を鳴らす等、名分に公的性格の大義が有ったら、自分はどう考えたろう。
フランス留学時代に色々とお世話になったブリュネ少佐と自分は、何度か個人的に会って話し合った。
そして、政府打倒を叫んで挙兵した側の名分に、公的性格の大義があった事態のときに、軍人である自分はどうすべきか、ということで議論をしたことがある。
その際に、どうするのが正しいのか、本当に自分は悩んだものだ。
だが、幸か不幸か西郷軍にそんな大義は無かった。
となると、自分も含めてほぼ全部の軍人は政府側に起つだろうし、実際にそうなりつつあった。
それにしても海兵隊は人使いが荒い、とも林大尉は思った。
古屋佐久左衛門少佐が気を使って、第1海兵中隊から何人かの気の利く下士官を、第3海兵大隊に所属予定の志願兵2個中隊編成のために派遣してくれなかったら、自分はどうにも身動きが取れなくなっていたろう。
志願兵中隊2個を編成するというのはいい考えだと自分も想うが、それに合わせて人の配置も考えてほしかった。
だが、ある意味、酷い話(最も、荒井郁之助局長や大鳥圭介海兵旅団長に言わせれば、古屋と林なら、何とかしてくれると思った)で、このことが現場に丸投げされていた。
第3海兵大隊長の土方歳三少佐が不在である以上、志願兵の最終選考や編制等は自分がせざるを得ず、人手不足で多忙な日々を過ごす羽目になっていた。
だが、それも明日までだ、明後日以降は土方少佐が主にしてくださる筈だ、と考えが及んだところで、林大尉は最後に模擬戦闘を想定した剣技をして、素振りを終えることにした。
フェンシングをフランスの士官学校で学んで以来、我流で突き技の修練を積んでいた。
まずは木刀を正眼に構え、架空の相手に突き技を浴びせ、返されたところを更に突き技を加えた。
まず大抵の相手なら勝った、と自分が思った瞬間に、いきなり林大尉に声が掛かった。
「沖田さんを思い出しますね。いろいろと違うのは分かっていますが」
「全くだ。なぜか沖田を思い出すな」
林大尉が周囲を見ると、2人の男が、いつの間にか、林大尉の近くに立っていた。
ここ20日余り、いろいろと状況が急変したり、自分の仕事も急増したりで大変だった。
こういった時に木刀の素振りは、自分にとって考えをまとめたり、新たな行動を起こすのに役立ったりすると剣術と槍術の自らの師である伊能矢柄に教えられ、自分もやってみて、師匠の言葉に間違いがないことを痛感して以来、ずっと林大尉はそれをやってきていた。
考えてみると、脱藩しての遊撃隊への参加を自らが決意した時もやったし、フランスに留学していた時もそうだったな、とも追憶に思わずふけったりも、林大尉は素振りをしながらしていた。
2月の初めに鹿児島で陸海軍の施設が私学校党に襲撃されたとの第1報を受けて以来、林大尉の周囲の状況は悪化する一方だった。
海兵局からは、速やかに出動待機命令が届き、長崎に駐屯していた第1海兵中隊と砲兵中隊は即時出動可能な状況に置かれることになった。
自分は砲兵中隊の中隊長として鹿児島へ出征することになるのだろうか、と考えていたところに出た辞令が、新編の第3海兵大隊の副大隊長に自分を任命するとのものだった。
ある意味、出世と言えば出世ではあるが、それが内戦によるものであるということに、何とも言えない想いを自分は覚えた。
幸か不幸か西郷軍(いつの間にか自分もその呼称を受け入れていることにもいろいろと考えるところがあるが)には明快な大義名分がなく、ただ西郷隆盛暗殺の理非を糺すという何とも怪しげな名分のもとに挙兵していた。
これが、政府の非道を鳴らす等、名分に公的性格の大義が有ったら、自分はどう考えたろう。
フランス留学時代に色々とお世話になったブリュネ少佐と自分は、何度か個人的に会って話し合った。
そして、政府打倒を叫んで挙兵した側の名分に、公的性格の大義があった事態のときに、軍人である自分はどうすべきか、ということで議論をしたことがある。
その際に、どうするのが正しいのか、本当に自分は悩んだものだ。
だが、幸か不幸か西郷軍にそんな大義は無かった。
となると、自分も含めてほぼ全部の軍人は政府側に起つだろうし、実際にそうなりつつあった。
それにしても海兵隊は人使いが荒い、とも林大尉は思った。
古屋佐久左衛門少佐が気を使って、第1海兵中隊から何人かの気の利く下士官を、第3海兵大隊に所属予定の志願兵2個中隊編成のために派遣してくれなかったら、自分はどうにも身動きが取れなくなっていたろう。
志願兵中隊2個を編成するというのはいい考えだと自分も想うが、それに合わせて人の配置も考えてほしかった。
だが、ある意味、酷い話(最も、荒井郁之助局長や大鳥圭介海兵旅団長に言わせれば、古屋と林なら、何とかしてくれると思った)で、このことが現場に丸投げされていた。
第3海兵大隊長の土方歳三少佐が不在である以上、志願兵の最終選考や編制等は自分がせざるを得ず、人手不足で多忙な日々を過ごす羽目になっていた。
だが、それも明日までだ、明後日以降は土方少佐が主にしてくださる筈だ、と考えが及んだところで、林大尉は最後に模擬戦闘を想定した剣技をして、素振りを終えることにした。
フェンシングをフランスの士官学校で学んで以来、我流で突き技の修練を積んでいた。
まずは木刀を正眼に構え、架空の相手に突き技を浴びせ、返されたところを更に突き技を加えた。
まず大抵の相手なら勝った、と自分が思った瞬間に、いきなり林大尉に声が掛かった。
「沖田さんを思い出しますね。いろいろと違うのは分かっていますが」
「全くだ。なぜか沖田を思い出すな」
林大尉が周囲を見ると、2人の男が、いつの間にか、林大尉の近くに立っていた。
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