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第5章 新選組の再集結
第3話
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少し時が戻る。
2月11日、長崎にいるとどうしても情報の伝達が少し遅くなるな、と古屋佐久左衛門は内心でぼやいていた。
勿論、かつての飛脚による情報伝達よりも、遥かに早いのは認める。
しかし、電信網が日本全国に広まり、今や主要都市では電信がつながり、電報による民間人同士の連絡まで一部可能になっている現在は、時として奇妙な事態を引き起こしていた。
古屋は鹿児島情勢の急速な悪化を主に東京からの電信により知っている状況で、本来なら鹿児島に近い自分たちの方が鹿児島情勢について詳しいはずなのに、東京からの電信情報の方が早くて詳しいことが稀ではなく、その意味で隔靴掻痒というか、何とも言えない焦燥感を感じることが多かったのだ。
何しろ、いざという時に鹿児島鎮圧の先兵に立たされるのは自分達に他ならない。
「また、情勢が悪化したようですね」
林忠崇海兵大尉が声を掛けてきた。
「またというな。事実ではあるが」
古屋は答えた後で続けた。
「出動待機命令ではどうも済まないみたいだ。
海兵局から連絡があった。
鹿児島鎮圧のために陸軍は出動命令を正式に2月10日に一部の部隊に下した。
海兵局は、川村海軍大輔と連絡が取れ次第、全部隊に出動命令を下すとのことだ」
「全部隊ということは、まさか屯田兵も全てですか」
林大尉は、目を丸くして言った。
「ほぼそのとおりだ。
昨年、入植したばかりの屯田兵中隊は出動命令を免除されているがな。
開拓作業もまだまだだし、北海道を空にもできんからな」
「本当に天下の大乱ですな。
それで、我々はどうなるのです」
「出動命令が発令され次第、大鳥圭介が大佐に昇進の上、新編の海兵旅団長に就任する。
私は第1海兵中隊を基幹とし、屯田兵3個中隊を組み込んだ新編の第1海兵大隊長に就任する。
砲兵中隊は旅団長直属になるな」
「私は砲兵中隊長のままですか」
古屋と林は語り合った。
「いや、君はフランス留学帰りで最新の兵学を詳しく知っている。
それで、土方歳三少佐が就任予定の新編の第3海兵大隊の副大隊長に就任とのことだ。
土方少佐は、実戦の勘というか、実戦で指揮を執ることについては、文句なしに海兵隊の士官の中ではトップなのは戊辰戦争で実証されている。
しかし、惜しいかな、兵学については独学で少し学んだ程度で詳しくない。
海兵隊で教育しようにも、土方少佐は屯田兵として出獄後すぐに北海道に行かれてしまったからな。
それで、それを補う意味で、君を第3海兵大隊の副大隊長に就任させるとのことだ」
古屋は、林に事情を説明した。
「少しぼやかせてもらってもいいですか。
フランス留学をもう少し私は続けたかったのに、昨年の秋にフランスの士官学校を卒業したら、とりあえず帰国しろ、現在の知識を他の士官に伝えてほしい、との命令が私に届きました。
それで、日本に帰国したら、砲兵中隊長を命ぜられて、長崎への赴任の辞令を貰った時には、何の冗談だと思いましたよ。
そして、長崎に赴任して早々に、天下の大乱に出動する羽目になるなんて。
軍人ですから命令には当然従いますが、何ともやるせない思いがします」
林は、天を仰いでいった。
「気持ちは分からないでもない。
だが、土方少佐と共に戦うのは君にとっていい経験になるはずだ。
それに君は土方少佐と気が合うと私は思っている」
古屋は、林を半ば慰めた。
「何か根拠が」
「君が剣術等様々な武術に長けていることだ。
元大名とは思えない、殿様剣術などではない、とんでもないレベルだ」
「お褒めに預かり、恐悦至極と言えばいいですか。
土方少佐を軍人として私は尊敬してはいますが、土方少佐が、私を気に入ってくれればいいのですが」
古屋の称賛の言葉に、林大尉は答えた。
2月11日、長崎にいるとどうしても情報の伝達が少し遅くなるな、と古屋佐久左衛門は内心でぼやいていた。
勿論、かつての飛脚による情報伝達よりも、遥かに早いのは認める。
しかし、電信網が日本全国に広まり、今や主要都市では電信がつながり、電報による民間人同士の連絡まで一部可能になっている現在は、時として奇妙な事態を引き起こしていた。
古屋は鹿児島情勢の急速な悪化を主に東京からの電信により知っている状況で、本来なら鹿児島に近い自分たちの方が鹿児島情勢について詳しいはずなのに、東京からの電信情報の方が早くて詳しいことが稀ではなく、その意味で隔靴掻痒というか、何とも言えない焦燥感を感じることが多かったのだ。
何しろ、いざという時に鹿児島鎮圧の先兵に立たされるのは自分達に他ならない。
「また、情勢が悪化したようですね」
林忠崇海兵大尉が声を掛けてきた。
「またというな。事実ではあるが」
古屋は答えた後で続けた。
「出動待機命令ではどうも済まないみたいだ。
海兵局から連絡があった。
鹿児島鎮圧のために陸軍は出動命令を正式に2月10日に一部の部隊に下した。
海兵局は、川村海軍大輔と連絡が取れ次第、全部隊に出動命令を下すとのことだ」
「全部隊ということは、まさか屯田兵も全てですか」
林大尉は、目を丸くして言った。
「ほぼそのとおりだ。
昨年、入植したばかりの屯田兵中隊は出動命令を免除されているがな。
開拓作業もまだまだだし、北海道を空にもできんからな」
「本当に天下の大乱ですな。
それで、我々はどうなるのです」
「出動命令が発令され次第、大鳥圭介が大佐に昇進の上、新編の海兵旅団長に就任する。
私は第1海兵中隊を基幹とし、屯田兵3個中隊を組み込んだ新編の第1海兵大隊長に就任する。
砲兵中隊は旅団長直属になるな」
「私は砲兵中隊長のままですか」
古屋と林は語り合った。
「いや、君はフランス留学帰りで最新の兵学を詳しく知っている。
それで、土方歳三少佐が就任予定の新編の第3海兵大隊の副大隊長に就任とのことだ。
土方少佐は、実戦の勘というか、実戦で指揮を執ることについては、文句なしに海兵隊の士官の中ではトップなのは戊辰戦争で実証されている。
しかし、惜しいかな、兵学については独学で少し学んだ程度で詳しくない。
海兵隊で教育しようにも、土方少佐は屯田兵として出獄後すぐに北海道に行かれてしまったからな。
それで、それを補う意味で、君を第3海兵大隊の副大隊長に就任させるとのことだ」
古屋は、林に事情を説明した。
「少しぼやかせてもらってもいいですか。
フランス留学をもう少し私は続けたかったのに、昨年の秋にフランスの士官学校を卒業したら、とりあえず帰国しろ、現在の知識を他の士官に伝えてほしい、との命令が私に届きました。
それで、日本に帰国したら、砲兵中隊長を命ぜられて、長崎への赴任の辞令を貰った時には、何の冗談だと思いましたよ。
そして、長崎に赴任して早々に、天下の大乱に出動する羽目になるなんて。
軍人ですから命令には当然従いますが、何ともやるせない思いがします」
林は、天を仰いでいった。
「気持ちは分からないでもない。
だが、土方少佐と共に戦うのは君にとっていい経験になるはずだ。
それに君は土方少佐と気が合うと私は思っている」
古屋は、林を半ば慰めた。
「何か根拠が」
「君が剣術等様々な武術に長けていることだ。
元大名とは思えない、殿様剣術などではない、とんでもないレベルだ」
「お褒めに預かり、恐悦至極と言えばいいですか。
土方少佐を軍人として私は尊敬してはいますが、土方少佐が、私を気に入ってくれればいいのですが」
古屋の称賛の言葉に、林大尉は答えた。
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