土方歳三ら、西南戦争に参戦す

山家

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第5章 新選組の再集結

第7話

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 土方歳三が長崎に到着したのは、2月25日だった。
 長崎に到着後、早速、新選組の誠の旗が、輸送船の上から見えるように掲げられた。
 その誠の旗の下、屯田兵の各中隊が下船して行き、やがて、誠の旗を先頭にして屯田兵中隊は順次、仮の駐屯地に移動していった。
 もちろん、その誠の旗のすぐ傍には、土方がいる。

「ここまで派手にやっていいものかな」
 土方は半分独り言をつぶやいた。
「いいではないですか。
 海兵隊本部はいいと言っているのでしょう」 
 土方の傍にいた永倉新八が言った。

 土方は、永倉に語り掛けた。
「それにしても、一緒に来ることになるとは思わなかった。
 私宛の手紙が届いたこと自体にも、本当を言うと驚いた。
 更に、私からの手紙が着くか着かないかといったときだったのに、小樽港にいる姿を見た時には目を疑ったよ」

 永倉は、敢えて土方から顔を背け、遠くを見ながら言った。
「誠の旗を掲げられては、私も行動を共にせざるを得ませんよ。
 勿論、迷わなかったと言ったら、流石に嘘になります。
 でも、あの台湾出兵時に、新聞記事を読みました、
 また、夢の中で、原田左之助に、行かないと後悔しますよ、と背を押されました。
 それで、肚を決めて、急いで長崎に行こう、と決めて小樽港に行ったら、屯田兵が集っていて、更に土方さんから声を掛けられた。
 本当に運命というのを感じましたよ」

 永倉の言葉は、最後の方は震えていた。
 恐らく永倉は、涙ぐんでいるのだろう。
 それを察した土方も、涙が浮かんでくるのを覚えながら言った。
「それにしても、本当にいろいろあったな。
 しかし、どれだけ元新選組や海兵隊に参加したいといっていた面々が、ここに来てくれているだろうか。
 一人でも多く集っていればいいが」

 土方達が仮の駐屯地に近づくうちに、駐屯地のざわめきが、徐々に大きくなるのが分かった。
 駐屯地が、土方の視界に入ると、既に門の辺りには人だかりができていた。
 駐屯地の門の一番近い側に立っているのは、土方には、見覚えのない人間だった。

「ちゃんと整列しろ。
 土方少佐をお迎えするのに、失礼があってもいいのか」
 その男が叫んでいた。
 土方の見るところ、その男の階級は、大尉だった。
 ということは、と土方は考えを巡らせるうちに、その男の方から声がかけられた。

「土方歳三少佐、心からお待ちしていました。
 林忠崇大尉、第3海兵大隊副大隊長として、第3海兵大隊長の職務を代理で遂行していましたが、今からその職務を土方少佐に引き継ぎます」
 林大尉は敬礼しながら、土方を出迎えた。

「今から第3海兵大隊長の職務を引き継がせてもらう」
 土方は答礼ながら答えた。

「それにしても、駐屯地の門で、早速引き継がなくてもいいのではないか」
「いや、この状況で引き継がないわけには」
 苦笑いしながら、土方が言うと、林大尉も苦笑いしながら、身振りで駐屯地の中を示しつつ答えた。

「土方少佐がいよいよ来られたぞ」
「よし、土方少佐のために粉骨砕身するぞ」
 駐屯地の中では、多くの兵が叫んでいた。

 その中には、土方にとっても見覚えのある者もいる。
「土方副長、いや、土方少佐」
 島田魁が、言葉を詰まらせていた。
「この旗の下で、また戦うとはな」
 斎藤一も呟いていた。

「他にも相馬主計とか、元新選組の隊士が駆け付けています。
 速やかに土方少佐に職務を引き継がないと私の身が危ない」
 林大尉が半分冗談、半分真顔で言った。
「確かにそうだな」
 土方も、林と同じような表情を浮かべて言わざるを得なかった。

「それでは、新しい新選組の実力を、実戦で示すか、全員、私に協力してくれ」
「応」
「言うまでもありません」
 土方の呼びかけに対して、目の前に集っている多くの兵が、大声で口々に答えた。
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