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第6章 激闘、田原坂
第3話
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大鳥圭介は、担当者に対して、あらためて報告を確認していた。
「シャスポー銃の輸入薬莢による不発率は、大雑把に言って4発に1発か。
ざっと言って、4発撃ったら、全員が排莢しないといけなくなり、その間は射撃不能ということになる。
しかもスナイドル銃と違って、強制排莢機構がシャスポー銃にはないから、その点でも問題が大きい。
この原因は何か」
「結局のところ、ここまでシャスポー銃の紙製薬莢を、海上輸送しなければならない、というのが最大の問題です。
勿論、保管庫で保管している間に、湿気てしまっている可能性も否定できません。
フランス本国のフランス陸軍の保管庫ならともかくとして、民間の保管庫が、そこまで厳重な湿気対策を講じているとも思えません。
できる限り信頼できる業者に依頼して、シャスポー銃の紙製薬莢を輸入してはいます。
ですが、海上で運ぶ間は、どうしても湿気が多く、また、潮気を含んだ風が吹いています。
シャスポー銃の紙製薬莢が湿気るのは、ある程度はやむを得ないかと考えます」
担当者も、腹を括っていたのだろう、大鳥の問いに対して、面と向かって答えた。
「国産品はまだしも輸入品は問題が多く、更にその問題が大きくなるということか。
確かに横須賀からここ長崎まで運ぶだけならともかく、コーチシナ等から長崎まで薬莢等を運ぶとなると、海上の時間が長くなる」
「そのとおりです」
大鳥と担当者はやり取りをした。
「どんな対策が考えられる」
「まずは、輸入品を風通しの良い湿気の少ないところで保管し、乾燥させます。
そのうえで前線に運ぶしかないか、と。
後、前線でも薬莢を少しでも濡らさないように、乾燥させるように努めます。
後は雨が降らないことを祈ることです。」
「最後の言葉は、性質の悪い冗談でいいか」
「はい、しかし、雨が降ったら大問題なのは事実です」
「面白くもない冗談だな。
実際、雨が降ったら、射撃不能の銃が続発するぞ。
何とかできればいいが」
担当者とのやり取りを終えた大鳥は、思わず天井を見上げていた。
一方、既に前線にいる古屋佐久左衛門の方は、大鳥からの極秘電文の一報を見ると、にこやかな笑みを浮かべた。
周囲の者が不思議に思っていると、古屋は伝習隊の士官全員を呼び集めるように命じ、士官全員が集まると、大鳥の電文内容を告げ始めた。
「我々の用いているシャスポー銃は、湿気ると射撃できなくなるとの連絡が入った。
士官全員は部下にそのことを周知徹底し、湿気対策を講じるように」
「分かりました。それにしても大問題ですね」
古屋の言葉を聞いた士官の1人が発言すると、古屋は心底から不思議そうな顔をして言った。
「何が大問題なんだ」
「湿気ると銃が撃てなくなるんですよ。
大問題ではないですか」
「相手も同じだ。
互角になっただけだ」
古屋とその士官のやり取りを聞いた士官の多くが、お互いの顔を見合わせた。
古屋はあらためて言った。
「いいか、西郷軍の使っている銃の多くはエンフィールド銃で雨が降ると撃てなくなる。
お互い雨が降ると銃が撃てないだけだ。
我々が、心配することは何も無い。
それとも白兵戦では相手に勝てないか」
「そんなことはありません。分かりました」
古屋の言葉に思わず納得した士官達は、古屋の前を退出し、部下の元に戻っていった。
それを見届けて、一人きりになると、古屋はつぶやいた。
「敵をだますには、まず味方から、というからな。
少なくとも我々は、元士族が多いから、白兵戦では、そう西郷軍に引けを取ることは無い筈だ。
しかし、つらい状況になったな。
撃てない銃は、棍棒とそう変わらん。
何とかなって欲しいが、どうにもならんのだろうな」
古屋は、酷い頭痛がするのを覚えていた。
「シャスポー銃の輸入薬莢による不発率は、大雑把に言って4発に1発か。
ざっと言って、4発撃ったら、全員が排莢しないといけなくなり、その間は射撃不能ということになる。
しかもスナイドル銃と違って、強制排莢機構がシャスポー銃にはないから、その点でも問題が大きい。
この原因は何か」
「結局のところ、ここまでシャスポー銃の紙製薬莢を、海上輸送しなければならない、というのが最大の問題です。
勿論、保管庫で保管している間に、湿気てしまっている可能性も否定できません。
フランス本国のフランス陸軍の保管庫ならともかくとして、民間の保管庫が、そこまで厳重な湿気対策を講じているとも思えません。
できる限り信頼できる業者に依頼して、シャスポー銃の紙製薬莢を輸入してはいます。
ですが、海上で運ぶ間は、どうしても湿気が多く、また、潮気を含んだ風が吹いています。
シャスポー銃の紙製薬莢が湿気るのは、ある程度はやむを得ないかと考えます」
担当者も、腹を括っていたのだろう、大鳥の問いに対して、面と向かって答えた。
「国産品はまだしも輸入品は問題が多く、更にその問題が大きくなるということか。
確かに横須賀からここ長崎まで運ぶだけならともかく、コーチシナ等から長崎まで薬莢等を運ぶとなると、海上の時間が長くなる」
「そのとおりです」
大鳥と担当者はやり取りをした。
「どんな対策が考えられる」
「まずは、輸入品を風通しの良い湿気の少ないところで保管し、乾燥させます。
そのうえで前線に運ぶしかないか、と。
後、前線でも薬莢を少しでも濡らさないように、乾燥させるように努めます。
後は雨が降らないことを祈ることです。」
「最後の言葉は、性質の悪い冗談でいいか」
「はい、しかし、雨が降ったら大問題なのは事実です」
「面白くもない冗談だな。
実際、雨が降ったら、射撃不能の銃が続発するぞ。
何とかできればいいが」
担当者とのやり取りを終えた大鳥は、思わず天井を見上げていた。
一方、既に前線にいる古屋佐久左衛門の方は、大鳥からの極秘電文の一報を見ると、にこやかな笑みを浮かべた。
周囲の者が不思議に思っていると、古屋は伝習隊の士官全員を呼び集めるように命じ、士官全員が集まると、大鳥の電文内容を告げ始めた。
「我々の用いているシャスポー銃は、湿気ると射撃できなくなるとの連絡が入った。
士官全員は部下にそのことを周知徹底し、湿気対策を講じるように」
「分かりました。それにしても大問題ですね」
古屋の言葉を聞いた士官の1人が発言すると、古屋は心底から不思議そうな顔をして言った。
「何が大問題なんだ」
「湿気ると銃が撃てなくなるんですよ。
大問題ではないですか」
「相手も同じだ。
互角になっただけだ」
古屋とその士官のやり取りを聞いた士官の多くが、お互いの顔を見合わせた。
古屋はあらためて言った。
「いいか、西郷軍の使っている銃の多くはエンフィールド銃で雨が降ると撃てなくなる。
お互い雨が降ると銃が撃てないだけだ。
我々が、心配することは何も無い。
それとも白兵戦では相手に勝てないか」
「そんなことはありません。分かりました」
古屋の言葉に思わず納得した士官達は、古屋の前を退出し、部下の元に戻っていった。
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何とかなって欲しいが、どうにもならんのだろうな」
古屋は、酷い頭痛がするのを覚えていた。
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