【本編完結】迷子の腹ぺこ竜はお腹がいっぱいなら今日も幸せ〈第10回BL小説大賞エントリー〉

べあふら

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Ⅲ.大好きな卵編

5.俺は、白い竜に気づかせたい① (※)

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 大規模な人身売買未遂と“竜隠し”の騒動から、早3週間が経った。 

 俺はあの一件で、自分の気持ちに気づき、ルルドを繋ぎとめるべく、これまでよりさらに餌付けを強化した。

 加えて、ルルドが感じているらしい俺への感情を自覚させようと、言葉に行動に示してるつもりだ。好きなだけ食わせて撫でて、できる限り一緒に過ごしてる。

 だけど……。
 はぁ……駄目だな。あいつ、どんだけ鈍いんだよ。

 予想通りだが、予想通り過ぎて。でもって、予想外過ぎて、さっそく挫けそうだ。

 まぁ、俺がしたくてやってんだし、あいつが自分の気持ちに気づく気配は皆無だし、俺の気持ちが伝わってる様子は微塵もねぇ。 

 これは、ある意味で予想通りだ。

 なんというか……俺の考えと覚悟が甘かったんだろうな、これは。

 ルルドが寝てるとこに忍び込んだのは……はじめは、ちょっとした悪戯のつもりだったんだよ。
 すぴすぴ気持ち良さそうに、無防備に寝てる姿にムラっとしたっつーか。

 まぁ、要するに、魔が差した。

 いや、差すだろ。好きな奴が俺のシャツ着て、腹と足を丸出しで寝てたら。
 しかも、前の日にがっつり触られてヨがったにもかかわらず、相も変わらず同じシャツ着て寝てたら、あの時のこと思い出すだろうが。

 で、思わず頭撫でて気持ちよさそうにすり寄られたら。
 胸元の手差し入れて、気持ちよさそうな喘ぎ声、出されたら。

 どんだけ豪勢な据え膳だよ。これ。

 寝てるところに潜り込んで、あちこち触れば、嫌がるどころか気持ちよさそうに甘い声を漏らして、息が段々荒くなった。  
 小さな乳首を摘まむと、気持ちよさそうに息荒くして、甘い声で欲しがるみたいに啼きやがって。
 しまいにもぞもぞと足をすり合わせて、明らかに快感に浸って欲情している様子で。

 もう、とっくに起きてんだろ、こいつ。なのに、なんで何の抵抗もしねぇんだよ。

 拒否されないのをいいことに、反応の良さに煽られて、やり過ぎたのは確かだけど。

 でも、そうだとしても、元気に勃ち上がったもんを、ゆらゆらと擦りつけられて、すんすん匂いを嗅がれれば……。

 そりゃあ、もっとよくしてやろうと思うだろ。イかせるしかねぇ。他に、選択肢なんてあるかよ。

 ったく、どういうつもりだ。
 あいつ、エロイんだよ。普段はふにゃふにゃして全然なのに。快感に弱すぎんだろ。

 毎日、同じことを繰り返して、その度にあいつは俺が触れたとこにすりすりとすり寄ってきて、物欲しそうにいい声で啼いて、最後は気持ちよさそうにイって、我に返ったように真っ赤になって恥じらった。

 1週間たった日、耳まで真っ赤にして恥じらいながらも、あいつ……あいつ…………。

 よりにもよってくときに、俺の名前を呼びやがった。
 それはもう、恋しそうに、切実な感じで。

 俺の願望がそう感じさせたのか?……いやでも、ぎゅっと抱き着かれて、名前呼ばれて、その後もしばらくすりすりされればな。

 もう、瞬間頭が沸いて、無性にむしゃくしゃして、一度イったところをさらに責め立てたら、ルルドが突然竜体になった。

 あの時の俺の衝撃といったら。

 ねぇよ。反則だろ、それは。俺だってそこそこ昂ってんだよ。

 さすがに犬に欲情するような性癖は持ち合わせてない。持ち合わせてないが……男は急には止まれねぇだろ。

 このままいけば、近いうちに禁断の扉への道がひらけちまう予感がした。

 しかもその日以降、ルルドは快感に耽りだす頃に、毎回竜体になってそれ以上を回避する、という術を身に付けやがった。

 こっちは高ぶったままで、竜体のふわふわしたあいつを触ってて。最近良く触ってた、不思議なくらい汚れも固さもない絶妙な柔らかさの肉球に触れていたとき。

 ああ、こいつの肉球、ぷにぷにと程よい弾力といい、いい感じのピンク色で……つーか、この肉球の色と感触……まるっきり、乳首と同じじゃねぇか。

 なんてことに、気づいてしまったら。

 はぁ……嘘だろ。
 あっという間に扉への道が開通してんじゃねぇか。


 しかも扉の目の前まで、たどり着いてんだろ、俺。
 後はもう、扉を開けるだけ。開けるな。これ。もうすぐにでも開けるわ、俺。
 だってこの扉、絶対鍵かかってねぇし。

 なんなら扉の方から勝手に開きそうな勢いだ。

 もう竜体だろうとお構いなしに、襲う自信しかねぇ。これ、本気でいつかヤっちまう。

 だって、どっちもルルドなんだから。

 だから俺は、ルルドに竜体で寝るように言いつけた。 

 あー……こいつ、マジでふざけんな。
 これってもう、俺から触れられたいってことだろう。触れられて、気持ちよくなりたいってことだろ。

 こんなん、ルルドが俺のことをめちゃくちゃ好きで、何されてもいいと思ってねぇなら……。

 ド淫乱ってことだよ。

 …………どっちでも、いいけど。

 いや、良くねーよ。

 こっちは目の前に極上の餌ぶら下げられて、待てされてんだぞ。
 しかもあっちから口の中に飛び込んできやがる。さらに、舌の上でごろごろと寛いで、牙に頬ずりしてくるくせに、「どうしてこんなことするの?」なんて、よく聞けるな。

 「したいから」だって、何回言わせんだよ。

 お前だって、こういうことは『好きな者同士ですること』だって、言ってたじゃねぇか。

 それとも何か。お前は、突っ込むとこ以外は、誰でもいいのか?

 まさか、俺が好きでもないやつに、あんな風に手を出すやつだと、そう思ってんのか? 

 ………………あるか、これ。
 これは………あり得るな。

 俺は、かつての自分の言動を振り返る。

『…………………だって、そういうことは、好きな者同士ですることでしょ』
『好きな者同士、ねぇ。ま、そうとも限らねぇだろ』
『え?……どういうこと?』
『出すもんは出さねぇと、溜まっちまうからな』
『…………はぁ、ああ、なるほど……?』

 あー……かつての俺の口を封じてやりたい。

 いやでも。あの時と、今。俺とルルドの関係は随分と変わってる。
 俺の好意がまったく伝わっていないことはねぇだろう、さすがに。

 無いと信じたい。

 だとしてもだよ、これはさすがに度が過ぎんだろ。
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