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第一章
5話 ③添い寝
しおりを挟む「暗い顔してどうしたのリリア」
「……アイちゃんはもう俺のことリリアって呼ぶ気なのね」
「仲良しって感じだろ! ザイドもリリアって呼ぶ気みたいだし」
ちら、とザイドのことを見るアイン。ザイドは頭を掻いてそっぽを向く。こいついつの間にか親密度20%超えてたけど、そんなに仲良くなったっけ? 周囲を常に警戒しているザイドの場合判定が甘いのかもしれない。
甘いと言えば……さっきのキスは随分と……って考えるな考えるな。
「あのさリリア……ずっと聞きたいことがあったんだけど」
「ん?」
「その……」
アインは眉を下げて目をウロチョロさせる。言いづらいことなのか?
「SSクラスの……オロクくんとはどう言う関係なの?」
飲み物を飲んでいたら噴き出していたことだろう。まあ飲めないけど。
「な、何でそんなこと聞くんだよ……?」
まさかさっきの見てたとか……。
「だって教室でキスしてただろ?」
そんなことあったな!
「あ、あの野郎……」
みんなの前で……あの時は教室にいづらかったなあ。そして三人衆がうざかった。
「付き合ってるの?」
「んなわけねえだろ!」
思わず叫んでしまう。
「じゃあアキヅキ先生とは?」
「もっとない」
きっぱりと言ってやる。
「まずせんやは先生だろ」
「まあ。でも仲良しみたいだし……。シーシェン先生とは?」
「え。いや……あいつは……」
「なんでそこではっきり否定しないんだ?」
じーっと見つめられ、思わず目を逸らす。
「あり得ないのでは?」
「なんで疑問形? 好きなの?」
「い、いや。まさか」
どうしてシーシェンだけ否定できないんだ。確かに嫌いよりは好きな方だけど、好きってそういう意味の好きじゃないし……!
シーシェンのことなんて聞かれるまで考えてなかったし。なんならオロクのことばっかり考えてたし!
「好きなわけがない」
今度こそきっぱりと言葉が出ていく。
「俺のことは?」
「え?」
「俺のことは好き?」
かつて聞いた言葉をそのまま聞かれるなんて……。
「もちろんアイちゃんのことはだ~い好きだぞ!」
「そ、そっか……俺も好き」
顔を赤くして見つめられながら言われる。アイちゃんかわいい!
「一緒に寝ようよアイちゃん」
「ちょ、ちょっと」
アインの布団にもぐり込み、アインの体を抱きしめる。
すりすりとほっぺたに頬擦りしていると、アインは真っ赤になって震えだした。かわいい~。
「おい。そこまでにしておけ」
「なんだよザイド。またアイちゃんは俺のだとか言い出すのか?」
不機嫌になって睨み付ければ、ザイドは目を逸らし、頭を掻く。
「ザイドは嫉妬してるだけだよな~」
アインが俺の胸に擦り寄り、ザイドにニヤついた顔を見せる。
「だ、誰が……!」
バチッと目が合い、ザイドの顔は真っ赤に染まり上がる。ザイドはそれを隠すかのように布団にもぐり込んだ。
本当に分かりやすい奴だったんだな。
「俺達も眠ろうリリア」
もぞもぞと胸で動き、顔を上げて目を合わせてくるアイン。上目遣いが自然で可愛い。せんやとは大違い。
「アイちゃん……」
「え」
ペットにするようにちゅっと頬にキスをする。複数の悲鳴が周りから上がった。三人衆だな。
「り、リリア!」
「アイちゃんかわいい、かわいい。癒される~」
ちゅ、ちゅと顔中にキスしていたらアインは顔を背け、しまいには胸に顔を埋めた。
「り、リリア。恥ずかしいから」
「その反応も他と違ってかわいい!」
「――……ヴォンヴァートくん?」
突然低い声が上から落ちてきて、顔を上げる。
「せ、せんや……」
なんだその笑顔は。いつもより圧が増してないか? シ-シェンもなぜか不機嫌そうだし。
「生徒同士とはいえセクハラは良くないなあ。今日は先生の部屋においで」
「え、なんで……」
「いいからおいで」
笑顔の圧には勝てなかった……。
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