勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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「お願いします、どうか俺を仲間にしてください」
そう懇願する俺を見てクロードは愉快そうに笑った。
「よかろう、そこまで言うなら仲間に加えてやろう」
その言葉を聞いた瞬間、安堵で力が抜けそうになった。
だが、そんな俺のことを気にすることなく、クロード様は俺に告げた。
「だが、その前にやることがあるから少し待っていろ」
そう言って立ち去ろうとする姿を見て焦る。
「待ってください! 俺も手伝います!」
慌てて呼び止める俺にクロードが告げる。
「そうだな、手伝ってもらうとしようか?」
そう言って微笑む顔は、天使のように美しかった。
その後、クロードに付いていくと村はずれにある森へとたどり着いた。
すると、彼は唐突に言う。
「おい、ここら辺に火を放て」
「えっ?」
一瞬何を言われたのか分からなかったが、すぐに理解する。
「でも、そんなことしたら火事になってしまいますよ?」
俺がそう言うと、クロード様は鼻で笑いながら言った。
「お前は優しいな、これならどうだ?」
魔法の結界で村だけ覆うと
「これなら火を放てるだろう、やってみなさい」
そう言われたのでやってみることにする。
火属性魔法を使って火を放つと、一瞬にして燃え上がった。
(すごい……)
その様子を見ていた俺は感心していた。
(この人、一体何者なんだろう?)
そんなことを考えている間に消火が終わったようだ。
「ご苦労様でした」
優しく頭を撫でられる度に幸せな気分になる。
(ああ、このままずっと撫でられていたいな)
そんなことを考えていると、クロード様が言ってきた。
「さて、それでは行くとするか」
どうやら、目的地に着いたらしい。
そこは何もない平原だった。
「え?」
「そうだった、一つだけ、お前を連れて行く事にうるさいやつがいてな」
「は?」
「肩書上家臣達には、人間族であるお前を俺の後継者だと伝えておく、でないと城内に入った途端、お前は殺されるからな」
その言葉を聞いて背筋が凍り付いた。
冗談じゃない!
なんでこの俺が殺されなければならないんだ!
そう思って抗議しようとしたが、クロード様に遮られてしまう。
「心配するな、お前は、我が子ではないが、お前のことは俺が守ってやるから安心しろ、名は何という」
「リュートです」
「では、リュート、これからは、リュート・エルジオルと名乗ると良い、俺の名をくれてやる」
そう言って笑う彼の顔はとても綺麗で輝いていた。
(この人はきっと悪い人じゃないんだろうな)
そう思った俺は彼の元で暮らすことを決めたのだった。
あれから一年後……
「おーい、ご飯だぞー!」
そう言いながら元気よく走ってくる少女を見て、俺は苦笑する。
(あの頃に比べて随分と明るくなったよな)
そんなことを考えながら見ていると、少女が声をかけてきた。
「お兄ちゃん、早く来ないと冷めちゃうよ!」
そう言われて慌てて食卓へと向かう。
そんな俺を出迎えてくれたのは妻のリシアであった。
「あなた、遅いわよ!」
俺はリュート・エルジオルとして、今では魔王補佐官にまで上り詰めていた。
いや、今はもうただのリュート・エルジオルではなく、クロード・エルジオル・ヴァンデリアの息子であり次期魔王候補でもあるのだから、ここは魔王と呼ぶべきだろうか?
そんなことを考えていた時だった。
不意に声をかけられたので振り返ると、そこには一人の青年がいた。
彼は俺を見るなり頭を下げて挨拶をしてきた。
「おはようございます、お父様」
そう言った彼はリシアの婚約者のユリアである。
彼女はとても綺麗な女性になっていた。
今では結婚の準備も整っているので、近い内に式を挙げる予定である。
そんなことを考えていた時のことだった。
「お父上がお呼びです」
一兵卒が俺に話し掛ける事はまずない。
彼は、魔王軍切っての精鋭、魔王庫近衛隊の隊長であった。
「今行く」
俺は短く答えて、彼について行った。
しばらく歩くと、とある部屋の前で立ち止まる。
「どうぞお入り下さい」
その言葉に頷くと、ゆっくりと扉を開いた。
部屋の中に入ると、そこにはクロードがいた。
「よく来たな、まあ座れ」
その言葉に頷いて、近くにあった椅子に座ると、早速本題に入る。
「用件は何だ?」
すると、クロードは微笑みながら言った。
「こんど、魔王軍の領地を拡大しようと思っているんだが、どうだろうか?」
「それって、俺に聞く事なのかよ、父さん」
思わず本音が出てしまい焦ったが、クロードは特に気にしていないようだった。
それどころか、どこか嬉しそうですらある。
そんな父の様子に苦笑しながら答える。
「構わないよ、むしろ俺としては嬉しいくらいさ」
それを聞いた父は満足げな表情を浮かべていた。
こうして、父の考えに賛同した俺は、数日後には行動を開始することにした。
それから数日が経過したある日のこと、俺は部下を連れて新たな領地へと向かった。
そして、そこに到着してからの第一声がこれである。
「なんでクロード様じゃないんですか」
不満そうに言う彼女を見て、俺はため息をついた。
確かに、彼女とクロードの関係は知っているが、流石にこれはやり過ぎではないだろうか?
そんな事を思っていると、クロードから指示が出る。
「これより作戦会議を始める、今回の任務については分かっているな?」
その問いかけに皆が頷くのを見て、クロードは言った。
「では始めよう」
こうして始まった会議では、まず最初に役割分担を決める事になった。
「まずは食料調達班だが……」
そこまで言って言葉を詰まらせた父に対して、俺は代わりに答えた。
「俺がやりたい」
「リュートはダメ」
即座に否定されたことでむくれる俺を見て、父が苦笑していた。
しかし、それでも諦めずに食い下がる。
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