勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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そんなこちらの様子を見た彼女は満足げな表情を見せると、
「また後でね!」
と言って去っていった。
(…………)
一人取り残された俺はしばらくの間その場で呆けていたが、やがて我に帰ると急いで部屋に戻ったのだった。
部屋に戻ると、真っ先にベッドに飛び込んだ。
(まさかあんなことになるなんて……)
予想外だった。
しかし、よく考えると当たり前のことだ。
何故なら彼女は魔族なのだから。
(そういえば、前にもこんなことがあったな)
確かあれは初めて会った時だったはずだ。
あの時は彼女の正体が分からなかったせいもあって、思わず逃げてしまったが、今は違う。
俺はもう彼女のことを知っているのだ。
そう思うと急に緊張してきた。
鼓動が早くなるのを感じる。
このままではいけないと思い、とりあえず気持ちを落ち着かせるために深呼吸をする。
そして、少し冷静になったところで今後のことについて考えることにした。
まず最初に考えたのが、この世界で生きていく為に必要な事だ。
先程まではただ流されるままに生きていた。
だが、これからは自分の意志で行動しなければならない。
とはいえ、一体どうすればいいのか。
悩んだ末に思い付いたのがお金を稼ぐことだった。
幸いなことに、自分は魔法を使うことができる。
これを使えば仕事にありつけるかもしれない。
そう思って街に出ることにした。
だが、ここで問題が発生する。
自分の容姿があまりにも目立つという事に気が付いたからだ。
その為、姿を変える必要があると考えた。
「やっぱりこの姿が一番しっくりきますよね」
俺は紳士的な貴族の服装を着ると、
姿見で確認する。
鏡に映るのは金髪碧眼の美青年の姿だった。
背は高く、細身の体つきをしている。
年齢は二十代前半くらいだろうか。
髪は長く、後ろで束ねられている。
顔立ちは非常に整っており、まるでどこかの御曹司のような雰囲気がある。
「よし、これで大丈夫でしょう。それじゃあ行きましょうか」
そう言って振り返ろうとしたその時、扉が開いた。
そして、入ってきた人物と目が合う。
「……」
「あ、おはようございます」
そう挨拶をしたのだが、返事がない。
不思議と固まっていれは
「リュート様何処に行くんですか」
そう言いながら駆け寄ってくると、目の前までやってきた。
それからまじまじと顔を見つめてくる。
「?」
どうしたのかと思っていると、おもむろに両手を伸ばしてきた。
そのまま頬に触れられる。
そして、そのまま撫で回された。
しばらくされるがままになっていると、ようやく手が離れて行った。
ホッとしていると、彼女は首を傾げた。
「何かあったのですか?  いつもと様子が違いますけど?」
そう言われてギクッとする。
どうやら見抜かれてしまったようだ。
仕方なく事情を話すことにする。
すると、彼女は笑顔を浮かべた。
どうやら信じてくれたようだ。
安心して胸を撫で下ろす。
それからすぐに出発の準備を始めた。
準備といっても大したものはない。
必要なものはアイテムボックスの中に入っている。
ちなみに服などは全てアリアが用意してくれたものだ。
最初は自分で買おうと思っていたのだが、
「私が選びたいです」
と言われてしまい、結局任せることになった。
その後、アリアに案内されて買い物に出掛けた。
そこで一通り揃えることができた。
その後は二人で街を散策することにした。
歩いていると、ふと気になる店を見つけた。
そこは武器屋だった。
店の中に入ると、様々な種類の剣が並べられていた。
その中でも特に目を引いたのが、黒い鞘に収められたロングソードだった。
その美しさに見惚れていると、店主が話しかけてきた。
どうやらそれは売り物ではないらしい。
だが、興味を持った俺がしつこく食い下がると、結局見せてくれることになった。
抜いてみると、刀身が黒く染まっていた。
どうやらこれは特殊な金属が使われているようだ。
さらに鑑定スキルを使って調べてみる。
すると、魔力を通すことで属性を変化させることができる事が分かった。
さらに、持ち主を選ぶことも、
試しに魔力を流し込んでみると、一瞬だけ光を放った。
どうやら認められたようだ。
それを見たニーナが目を輝かせている。
どうやら欲しいらしいが、さすがに譲ってあげるわけにはいかない。
代わりに他のものをプレゼントする事にした。
「ありがとうございます! 大切にしますね」
そう言うと、嬉しそうに抱きついてきた。
そのままじっと見つめてくる。
だが、しばらくしてハッとした様子で慌てて離れていった。
頬が赤くなっていた。
どうやら無意識のうちに行動してしまったらしい。
恥ずかしかったのか、俯いている。
その姿はとても可愛らしく見えた。
思わず頭を撫でてあげたくなる衝動に駆られるが、なんとか我慢した。
その後も色々な店を回った。
その中で、とある店でアクセサリーを買ってあげることにした。
彼女が欲しがっていたものを買うことができた。
とても喜んでくれたようだ。
「私も負けていられませんわ!」
その様子を見ていたアリアが対抗意識を燃やしていた。
俺がアリアに目を向けると、彼女もまた見つめ返してくる。
何を求めているのかはすぐに理解できた。
だが、それを素直に受け入れることはできない。
何故なら、彼女の要求は常識はずれなものだからだ。
俺達はしばらくの間無言で視線を交わし合っていたが、やがて根負けしたのは俺の方だった。
溜め息をつくと、
「一度だけだよ」
と言って手を差し出す。
彼女は微笑むと、その手を取った。
すると、次の瞬間景色が変わった。
視界に広がるお花の色とりどりな視界に絶句して、急いで首を振る。
俺が正気に戻るとニーナが俺の裾を掴んでいた。
そして、驚いたような表情でこちらを見上げていた。
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