勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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「ここまでか? 本当に手のかかる」
そう言いながら、抱きかかえ上げられると連れて帰られるのだった。
俺はゆっくりと目を覚ました。
自分の身体なのに、やたら重い。
「無理しない方がいいぞ、魔法で重圧魔法をかけて置いた、お前の今の魔力なら、解く事も出来まい」
その言葉に、俺は絶望した。
つまり、俺の力は、魔王の力の前では全く歯が立たないという事なのだ。
それを見せつけられて、俺は泣きそうになった。
「そんな顔するなよ、ほら、元気出せ」
そう言って頭を撫でられたが、嬉しくなかった。
むしろ惨めになった。
結局俺は何もできないのだと自覚させられたからだ。
そして俺は、諦めて魔王の娘である少女の姿に戻った。
それを見た魔王が満足げに頷き、口を開いた。
「よし、じゃあそろそろ本題に入るか、お前に頼みたい事がある」
そう言うと彼女は一枚の紙を取り出した。
それはクエストの依頼書であった。
内容はある町の警備と魔物退治であった。
しかも報酬は金貨五枚であると書いてあるではないか!
俺はそれを見て歓喜した。
まさかこんなに早く依頼が来るとは思わなかったからだ。
早速ギルドに行って依頼を受けると手続きを済ませてから宿へと戻る事にした。
部屋に着くとアリアに報告をする為にメンタルリンクを使って話しかける事にする。
アリアの声が頭の中で響いたので返事をすることにすると彼女が嬉しそうな声を上げたのでどうしたのかと
尋ねると嬉しいニュースがあるというのだった。
それを聞いた瞬間、俺も嬉しくなったのだが一体何があったのだろうと思っているとアリアは嬉しそうに言った。
なんと彼女の父親が助けに来てくれたのだという。
詳しく話を聞くと彼女の父親はどうやら冒険者をしているらしくアリアも一緒に旅に出るらしいのだそうだ。
そこで一緒に旅をしようと誘われたらしいのだが、最初は戸惑っていたらしいのだがアリアの気持ちに変化があったようだ。
アリアは一緒に行くことに決めたようだった。
「アリア、俺とアリア、二人で一緒に冒険者になろう」
と俺が提案すると、 アリアも笑顔で頷いてくれたので、俺たちは手を取り合って喜んだ。
そして翌朝になると、俺達は町を出て北にある村へと向かった。道中の敵は、主にアリアが倒し、
俺の出る幕はなかった。俺は、自分の無力さに嘆きながら彼女の後ろをついて歩いていた。
だが、ここで諦めてはいけない、そう思い気持ちを切り替えてアリアを援護することにした。
まず、アリアの周囲に敵が多いので、それを一掃すべく魔法を発動することにした。
まずは、火炎球を上空に打ち上げて敵を誘き寄せ、
「ファイアーボール!!」
叫びながら手を振り下ろして、敵の集団に向かって炎の球を投げつけると爆発が起こり、辺り一面が炎に包まれた。
更に、追い討ちをかけるように別の呪文を唱えると、空から雷が落ちたり、突風が吹き荒れたりして次々と敵を葬っていく。
その様子を見た魔王が、感嘆の声を漏らした。
俺は調子に乗って次々と魔法を唱えていったが、流石に疲れたので休憩する事にする。
魔王もそんな俺を見て、苦笑いを浮かべていた。
そんな中、アリアだけは余裕の表情を浮かべていて、まだまだいけるといった感じだ。
俺は改めて彼女の凄さを実感していた。
すると、魔王が近寄って来て、
「リュートよ、お前のその力があれば魔王になれるかもしれないぞ、どうだ?魔王になってみないか?」
と言うので、即座に断ったら残念そうにしていたが、諦めた様子ではなかったようで、何度も勧誘してくるのだった。
その度に断っていたがついに根負けしてしまい承諾しそうになった時、ふと気づくといつの間にか側に来ていたアリアに腕を掴まれていた。
その手は少し震えていたが、その瞳には強い意志のようなものが感じられた。
それを見て我に返った俺は首を横に振って断る事にした。
そんなやりとりを続けているうちに日が暮れてきたため野営の準備をすることになった。
焚き火を起こし、食事を終えた後は交代で見張りをしながら眠ることにした。
最初の頃は魔王と二人で見張りをしていたが最近は慣れてきた事もあり、
リュートは一人で見張りをこなせるようになっていた。
(魔王には悪いけど、ここは譲れないな)
そう思いつつ周囲を見回していると不意に背後から声を掛けられた。
驚いて振り返るとそこには魔王が立っていた。
「どうしたんだ? 眠れないのか?」
そう言いながら心配そうに顔を覗き込んでくる姿にドキッとする。
慌てて距離を取ろうとしたら躓いて転びそうになると、 魔王は素早く抱きとめてくれた。
そのまま抱きしめられる形になり、顔が赤くなるのが分かった。
恥ずかしさのあまり俯くと魔王の手が頬に触れた。
そのまま優しく撫でられるとくすぐったくて身を捩ってしまう。
そんな様子を見た彼は小さく笑うと手を放してくれた。
俺はホッとした反面、少し残念な気持ちになった。
それからしばらく沈黙が続いたが、やがて彼が話し始めた。
「なぁ、リュート、俺、お前の父親だよな」
と、どこか不安そうに聞いてくるものだから、つい笑ってしまうと拗ねられてしまった。
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