勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

文字の大きさ
155 / 236

155.

しおりを挟む
「そうですか、それは良かったです♪それでは朝食の準備をして参りますので、少々お待ちくださいませ♡」
そう言って台所に向かう彼女を見送ると、今度は後ろから
声をかけられた。
振り返ると、そこにはもう一人の少女が立っていた。
彼女はこちらを見て微笑むと、話しかけてきた。
「おはよー! ねえねえ、今日一緒に遊ばない??」
突然の申し出に困惑していると、更に畳み掛けるように
言ってきた。
「ほら、いいから行くよ!」
そう言って強引に手を引かれるままに連れて行かれることに
なった。
連れてこられたのは街の外れにある小さな空き地だった。
ここには滅多に人が来ないらしく、人目を気にする
必要が無いというのは好都合かもしれないと思った。
そんな事を考えているうちに準備が整ったようだ。
そして次の瞬間には視界が暗転していた。
驚いて声を上げようとしたが上手く喋れなかった。
それどころか手足の自由も利かない状態だ。
一体どうなっているんだと考えているうちに意識が
遠のいていった……。
気がつくとベッドの上だった。
辺りを見回すと見覚えのある光景が広がっていることに
気づいた。ここは自分の部屋のようだ。
「よかった……」
ホッと胸を撫で下ろすと同時に、自分が何をしていたのかを
思い出すことができた。
そうだ、確か風呂で倒れて……そこからの記憶がないということは気を失って倒れたのだろう。
あのまま放置されていたら風邪を引いてしまっていたに
違いない。助けてくれた誰かに感謝しなければなるまいと
思いながらベッドから降りた瞬間、違和感に気づいた。
身体が妙に軽いのだ。
よく見れば若返っている気がする。
「まさか、本当に……?」
半信半疑のまま鏡の前に立つと、そこには18歳くらいの
自分の姿があった。
どうやら本当に若返ったらしい。
驚きのあまり声も出ない。
しばらく呆然としていたが、ふと我に帰るとこれから
どうするかを考え始めた。
このままここで暮らすわけにはいかないだろう。
かといって行く当てもない。
どうしたものかと思案していると、ドアがノックされた。
返事をする間もなく入ってきたのは、一人の女性だった。
年齢は20代後半くらいだろうか。
長身ですらっとした体型の女性だった。
髪は長く、後ろで一つにまとめられている。
顔立ちは非常に整っており、美人という言葉が
ぴったり当てはまるような人だった。
「今日から、お世話をさせていただくことになりました、ニーナと申します」
そう言って頭を下げると、彼女は俺の服を脱がせにかかった。
抵抗しようとしたが、何故か身体に力が入らずされるがままになってしまう。あっという間に裸にされると、そのまま浴室へと連れていかれた。
温かいお湯をかけられた後、石鹸のようなもので全身を洗われる。その間ずっと彼女の視線を感じていたせいで、なんだか落ち着かない気分だった。
その後湯船に浸かりながら、これからどうするかを考えることにした。
(とりあえず、情報収集から始めるべきだろうな)
まず最初に思い浮かんだのは、この世界についてだった。
見たところ普通の民家といった感じだが、
よく見ると壁に何かの紋章のようなものが刻まれていることに
気がついた。
それに触れてみると、
突然紋章が光り輝きだした。
光が収まると、目の前には一人の女性が立っていた。
その女性は背が高く、スタイル抜群の美人だった。
年齢は二十代前半くらいだろうか。
彼女はこちらをじっと見つめながら話しかけてくる。
「あなたが新しい子ね?」
その言葉に頷くと、彼女はにっこりと微笑んできた。
その顔を見た瞬間、胸が高鳴るのを感じた。
(あれ? なんだこれ……?)
戸惑っているうちに腕を掴まれ、引っ張られるように
して歩き出すことになった。
そうして連れて来られたのは寝室のような場所だった。
ベッドの上に座るように促されたので従うことにする。
すると、彼女も隣に座ってきた。
それからしばらくの間沈黙が続いたが、やがて彼女が
口を開いた。
「あなたの名前は何ていうのかしら?」
そう聞かれて一瞬戸惑ったものの、素直に答えることにした。
「……ルシフェル」
それが自分の名前だと答えると、彼女は驚いた表情を
浮かべた後でこう言った。
「素敵な名前ですね」
そう言われて何だか照れ臭かったので顔を逸らすと、 それを見た彼女がクスクスと笑ったような気がしたが気にしない
ことにする。
その後は他愛のない話をしたりして過ごした後、
そろそろ寝る時間だということになり解散することになった。
自室に戻った後はベッドに寝転がると、すぐに眠りにつくことができたのだった……。
翌朝目を覚ますと、自分の身体を確認するために
洗面所へと向かったのだが、そこで再び驚かされることになった。
なんと昨日までは確かに男だったはずの自分の身体がかなりいい男のものになっていたからだ。
しかもかなり美男子になっているようで、
自分でも見惚れてしまうほどだった。
そんな自分の姿を見ていると、不意に背後から声をかけられた。振り返るとそこにいたのはアリアだった。
彼女は心配そうな表情をしながらこちらを見つめていた。
どうやら様子を見に来たらしい。
しかし今の姿を見られるのはまずいと思い咄嗟に背を
向けようとしたところでバランスを崩してしまった。
倒れそうになったところを彼女に支えられたが、
その際に彼女の胸に顔を埋めるような形になって
しまったことで余計に動揺してしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...