勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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「あれは教会かな?」
それを見て呟いた俺の言葉を聞き逃さなかったようで、ルミナスが答えた。
どうやらこの村には古くから伝わる伝説があるらしく、それによれば、
女神様がこの地に降り立った際に授けられたものだと言われているそうだ。
なるほどと思いながら眺めていると、ふとあることに気づいた。
建物の中に入ってみると祭壇のようなものがあり、その上には女性を模した石像が置かれていたのだ。
恐らくこれが女神様とやらなのだろう。
(あれ?これってどこかで見たことあるような……)
そこで俺はハッとした。
似ているのだ、
「この像って……」
俺の言葉に反応するように言った。
その言葉を聞いた瞬間心臓が跳ね上がるような感覚に襲われたがなんとか平静を装って返事をすることができたと思う。
おそらく気付かれてはいないはずだ。
ホッと胸を撫で下ろすと同時に冷や汗が出てきたような気がしたので誤魔化すように話題を変えることにした。
そんなことを考えているうちに話はどんどん進んでいき気が付けば出発することになってしまった。
正直気が進まないというのが本音だったが仕方がないので諦めてついていくことにするのだった。
翌日、俺達は再び歩き出したのだが目的地に着くまでにかなり時間がかかってしまったため途中で野営することになった。
幸い近くに洞窟があったので助かったという感じだ。
中に入ると意外と広くて快適そうな空間だったのでここで一晩過ごすことになったのだが、
「あの、私、火の番しますから皆さん休んでください」
と言い出したのはアリアだった。
それに対し皆も賛成したので結局交代で見張りをすることに決まったらしい。
ちなみに順番は以下の通りだ。
まず最初に俺とリリアが寝ることになり、次にルミナスとアレクが寝ることになっているようだ。
そして最後にアリアとマリアが眠ることになっていたようだが、何故か一人だけ余ってしまう子がいたみたいだ。
なので仕方なく俺が一緒に寝ることにしたんだが、それが間違いだったのかもしれないな。
というのも、一緒の毛布にくるまった状態で密着状態になっていたせいなのか変な気分になってしまいそうになった時のことだ。
突然彼女がこんなことを言い出したんだ。
「ねえ、リュート君ってさ、好きな人とかいないの?」
急な質問に驚いたものの冷静に考えて答えることにした。
正直に言うと、俺にはそういった感情がよくわからなかったのでわからないと答えた。
彼女は少し残念そうな表情をしていたように見えたけど気のせいだろうか?
その後も他愛のない会話をしているうちにいつの間にか眠ってしまったようだった。
翌朝目を覚ますと既に起きていたみたいで目が合った途端に微笑みかけられたことでドキッとしたが平静を装って
挨拶を交わすことにする。
その後、朝食を済ませた後すぐに出発することになったのだが、その際、リリアが少し寂しそうな表情を浮かべているのを見て
胸が締め付けられるような感じがした俺は無意識のうちに彼女を抱きしめてしまっていたんだ。
そんな俺を見て一瞬驚いていたみたいだったけど、すぐに嬉しそうな表情を浮かべた後に背中に手を
回してくれたおかげで少しだけ安心することができたような気がするな。
それからしばらく歩いているうちに休憩を取ることになったんだが、その際にちょっとした事件が起きたんだ。
それは……なぜかみんなが俺に注目してくるという謎の状況に陥ってしまったことなんだ。
一体どういうことかと困惑していると不意に声をかけられたんだ。声の主はもちろんアリアだった。
彼女は顔を赤らめながらモジモジしていたかと思うと意を決したように口を開いたんだ。
その瞬間、周囲の空気が凍りついた気がしたがそんなことはお構いなしとばかりに言葉を続けたんだ。
その内容を聞いてさらに困惑する羽目になったが、それでも何とか聞き返すことに成功したんだ。
すると彼女は恥ずかしそうにしながらも答えてくれたんだけど、その内容を聞いて驚愕することになった。
なぜならそれは、信じられないものだったからだ。
彼女曰く、俺を誘惑するためだったというのだから驚くのも無理はないだろう?
だが、そんなことを言われても困るというか、反応に困ってしまうんだよな。
どうすればいいのかわからずにいると、今度は別の方向から声が聞こえてきたんだ。
そちらを見ると、そこにいたのはルミナスだった。
どうやら彼女も話を聞いていたらしく、興奮した様子で詰め寄ってきたんだ。
その様子を見て嫌な予感を覚えた俺は咄嗟に身構えようとしたが遅かったようだ。
あっという間に押し倒されてしまったせいで身動きが取れなくなってしまったからな。
そのまま馬乗りになると、おもむろに顔を近づけてきたかと思うと耳元で囁いてきたんだ。
それを聞いた瞬間、顔が熱くなるのを感じたが何とか平静を装って返事をすることにしたんだ。
すると彼女は嬉しそうに微笑んでくれたんだが、その直後にとんでもないことを言ってきたんだ。
思わず聞き返してしまった俺に構わず話を続ける彼女の言葉を聞いているうちに頭が真っ白になってしまったよ
だってそうだろう?
いきなりあんなこと言われたら誰だって混乱するに決まってるじゃないか!
それなのに当の本人ときたら涼しい顔をしてるんだぜ?信じられるか?
心の中で文句を言っている間にも話は進んでいくわけで、結局断りきれずに押し切られてしまったというわけだ。
やれやれと思いながら溜息をついた瞬間、ふいに抱きしめられてしまったものだから心臓が止まるかと思ったぜ。
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