勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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「うーん……もう朝か……」
そう言いながら俺はベッドから起き上がると背伸びをした後で部屋を出て食堂へと向かった。
そしてそこにはいつも通りの朝食が用意されているのだった。
リュートは朝食を済ませると自室に戻り、聖剣グラムを手に取ると窓の外を眺めるように窓辺に立ったのだ。
今日は快晴で良い天気だった為散歩にでも行こうかと思ったのだが、そこでドアをノックする音が聞こえたので返事をした後に
入室を許可すると魔族の少女が入ってきたのである。
俺が視線を向けると彼女はニコッと微笑んだ後で言ったのだ。
「魔王城の探索に行きたいんだけど、付き合ってくれないかな?」
と言ってきたのだが、正直今はそれどころじゃないんだよな。
と思いつつも断る理由もない俺は彼女の提案を受け入れることにしたのである。
その後、早速出発することになったのだが道中で彼女が言うには今の魔王城に人間は殆どいないらしく人間に出会うことは殆ど無いだろうということだった。
確かにその可能性はあるなと思った俺は素直に従うことにして森の中を進んでいくと何やら見覚えのある風景が広がっていたのだ!
(これは確か俺が最初に訪れた時の場所だ!)
そう思いつつ歩いていると見覚えのある建物を見つけたので入ってみることにする。
中に入ると誰も居ないので不安に思ったのだが奥の方から物音が聞こえたような気がしたのだ。
音がした方へ行ってみるとそこには、若い魔族の女が座っていたのである。
そして彼女は俺を見ると驚いて立ち上がった後でこう言ったのだ。
「ま、まさか!? リュート様ですか!?」
その問いに俺は答える。
「そうだぞ? それにしてもよく分かったな!」
と言って笑うと、その女は感極まった様子で涙を流し始めたのである。
(どうしたんだ?)
と思いながら彼女の様子を見ていると彼女が口を開いた。
そこでようやく彼女の名前を知ることが出来たのだが、彼女の名前はルミナスと言うらしい。
「ルミナスか、いい名前だな! 」
と褒めると彼女は嬉しそうに微笑んだ後でこう言ったのだ。
「えへへ、ありがとうございます!」
そう言って笑顔を見せるルミナス。
そして続けてこう言ったのだ。
「それにしても驚きました、まさかあの勇者リュートがこんな所に来るなんて……」
(やっぱり俺の事を知っているのか……それなら話は早いな)
そう思いつつ彼女に尋ねる事にした。
「魔族のお父上と聖女の母上、そのハーフのリュート様が、どうして今こちらに?」
「俺は今人間の国の外れにある小さな村で暮らしているんだ。
俺の目的は父上、お前たちにとっての魔王、クロードから託された指輪を届ける事なんだよ」
と言って魔王城に来るまでの経緯を話すと彼女は驚いていたが同時に嬉しそうな表情を浮かべていたのであった。
その後、
「それにしても、今は警備は居ないのか? いたら、顔はパスつもりだったのに」
自分でも可笑しい話である。
魔王城に勇者が来るのは魔族殲滅と昔から相場が決まっているのに、俺にはここが実家なのだから、待遇に違和感があるのは仕方がない。
「警備なら大丈夫です、既に私が殺しておきましたから」
と自信満々に答えた。
「冗談だよな」
「……」
「俺はついでに里帰りしにか来たんだぞ、勇者としてでは無くて」
「魔王の子としてですよね」
「ああ」
「冗談です、お帰りなさいませ、我が主の子」
「お、おう」
そう答えて室内に入ったのだ。
そこで俺は久しぶりの我が家に帰ってきたのだと実感するのだった。
魔族になってしまったこと以外は何も変わっていないのだ。
懐かしいようなそんな気持ちが込み上げてくると同時にもう1つ気になることがあったのだ。
それはやはり両親の事である。
もしかしたら既に殺されてしまっている可能性だってあるわけで内心は穏やかではない。
そんな中、父が出迎えてくれたのである。
「久しぶりだなリュートよ、会いたかったぞ!」
そう言いながら抱きしめてきた父に対して少し照れ臭くなってしまった俺は顔を背けてしまった。
すると父は俺の顔を覗き込みながら言ったのだ。
俺の表情はどこか寂しげであったらしく心配させてしまったようだった。
「かえって来るのなら、ハトぐらい飛ばせばいい物を」
「ハトは、駄目なんだよ!」
そう言った俺が一瞬顔を曇らせたのを父は見逃さなかった。
すると父が不思議そうに問いかけてきたのだ。
その目には優しさが含まれていたように思えた。
そして俺は意を決して話すことにしたのだった。
「父さん、この一年何してたんだよ?」
そう尋ねると父は驚いたような表情を見せた後で静かに語り始めた。
それから一年間の空白の時間について話してくれたのである。
(そう言えばそんな話があったような……)
と思い出しながら話を聞いたのだった。
要約すると、一週間に一回か二回ぐらい会ってはいたらしいのだが、殆ど何も言わずに帰ってくるだけの日もあったそうだ。
例えば今、リュートがどんな生活をしているのかなどを聞いてきたりしながら会話をしていたようだ。
そのためこの日を境にいきなり頻繁に会えるようになるわけでは無いと分かってしまうのであった!
「これからは週に一回は顔を出すようにしなさい」
そう諭されてしまったのだ。
まあそうですよね……俺も悪かったと思うし今後は気をつけることにしようかな?
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