97 / 98
弱い魔騎士の紋様
しおりを挟む
イヴが帰ってきてから、ずっと俺の横にピッタリくっついていた。
俺が約束守らなかったから、これ以上勝手な事しないようにかな。
大切な家を任せてくれたのに、エマ様に紋様も見られたし…
紋様のある腕を服の上からギュッと握る。
それに気付いたイヴは袖の中に手を入れられた。
指で腕を撫でられて、ビクッと体が反応してしまった。
イヴは俺の肩に顔を乗せて、袖を捲り紋様が露わになる。
俺の体なのに、自分の体のように苦しそうな顔をしていた。
「痛む?体の不調は?」
「今は大丈夫だよ、心配しなくても」
「本当に?俺に嘘は付いてないよね」
ジッとイヴに見つめられて、彼の前ではどんな嘘も付けない。
本当に今は落ち着いているから大丈夫だ、小さく頷くとイヴも納得してくれた。
俺の腕を掴むと、温かな光が包み込んだが紋様は何も変わらない。
俺もこの魔騎士の紋様を消す方法が分からない。
この紋様は魔力によって出現するから、消えるとしたら魔力がなくなった時だ。
俺の魔力は元々ないようなものだから、魔力がなくなっても消えそうにない気がする。
消えないなら痛みと共に一生付き合っていくつもりだ。
イヴにも心配掛けないようにそう言うと、手の動きが止まった。
また怒らせてしまったのかと顔を覗き込もうとする。
イヴは疲れているのか、何だか眠そうな声を出していた。
「んー」とか「うー」とか聞こえてきて、普段はかっこいいのに、可愛いとのギャップに胸がキュンとする。
俺だけが見れるイヴだったら嬉しいな。
「イヴ、もう寝る?お腹空いてない?」
「…食事より、ユーリといたい」
イヴにそう言われると、俺も食事なんてどうでも良くなる。
夕飯の準備をしていたが、明日でもいいかな。
俺もうとうととしてきてイヴを抱きしめたまま横になった。
イヴはもう寝たのか、目蓋を閉じていて小さな声で「おやすみ」とだけ言い俺も眠った。
*****
翌朝、目を覚ますと俺の上にイヴが覆い被さっていて驚いた。
突然どうしたのかと思ったが、イヴは何も言わなかった。
ただ俺を見つめていた、昨日といい…なにか言いたい事があるのは分かっている。
「イヴ、どうしたの?」
「ユーリの痛みは俺だけが与える傷」
「…え?」
「大丈夫、ユーリは絶対に好きにさせないから」
イヴが言っている意味が分からず、頬を両手で包み込んだ。
俺とは比べ物にならないほど抱えているんだ、俺のためになにかしようとしているんだって分かる。
半分、俺に抱えているものを分け与えられたらいいのに…
魔騎士の紋様なら、俺に少しでも力をくれたらイヴを守れる。
ほしいほしい、俺にも…もっと強い魔力が欲しい。
ズキリと痛みが紋様がある腕に走り眉を寄せる。
さっきまで普通だったのに、この痛みは突然前触れなくやってくる。
イヴは俺の頬に両手で包み込んで、瞳が赤く染まっていた。
「ユーリ、何を考えていた?」
「…おれ…は、もっとイヴみたいに強く」
「強くならなくていい、そんな事望んでない」
「でも、イヴを守れるように強くなればイヴの隣に相応しい自分に…」
「その考えは、いらない」
イヴは額をくっつけて、もう一度「俺の隣はユーリだけが相応しい、ユーリという存在だけが相応しい」と言われた。
本当にそれが正しいのか分からないけど、イヴ本人がそう言うならそうなのか。
今が相応しくても、もっと相応しくなりたいって思うのは普通だろ。
でも、イヴは必要ないと言う…どれが正しいんだろう。
口を開くと同時にぐぅ~と腹の音が静かな部屋に響いた。
イヴは緊張していた雰囲気がぶち壊れて、目を丸くしていた。
俺の顔は真っ赤に染まり、無駄だが腹を押さえた。
そういえば昨日、夕飯を食べていなかったな。
「先に朝食にしよう」
「そうだね、あ…そうだ」
イヴは俺から離れて、クローゼットを開いた。
プレゼントのようにラッピングされた袋を持って俺に渡した。
「頑張ってるユーリにちょっとしたプレゼント」と言われてイヴにお礼を言う。
手の感触からして服のような気がする、なんだろう。
丁寧にラッピングを外して中身を出した。
そこにあったのは前のデザインと全く同じエプロンだった。
イヴのプレゼントだと思うと、とても嬉しかった。
大切にギュッと抱きしめて、もう一度「ありがとう、イヴ」と笑顔を向けた。
「エプロンはユーリの服を汚さないためだけど、気に入ってくれて良かったよ」
俺が約束守らなかったから、これ以上勝手な事しないようにかな。
大切な家を任せてくれたのに、エマ様に紋様も見られたし…
紋様のある腕を服の上からギュッと握る。
それに気付いたイヴは袖の中に手を入れられた。
指で腕を撫でられて、ビクッと体が反応してしまった。
イヴは俺の肩に顔を乗せて、袖を捲り紋様が露わになる。
俺の体なのに、自分の体のように苦しそうな顔をしていた。
「痛む?体の不調は?」
「今は大丈夫だよ、心配しなくても」
「本当に?俺に嘘は付いてないよね」
ジッとイヴに見つめられて、彼の前ではどんな嘘も付けない。
本当に今は落ち着いているから大丈夫だ、小さく頷くとイヴも納得してくれた。
俺の腕を掴むと、温かな光が包み込んだが紋様は何も変わらない。
俺もこの魔騎士の紋様を消す方法が分からない。
この紋様は魔力によって出現するから、消えるとしたら魔力がなくなった時だ。
俺の魔力は元々ないようなものだから、魔力がなくなっても消えそうにない気がする。
消えないなら痛みと共に一生付き合っていくつもりだ。
イヴにも心配掛けないようにそう言うと、手の動きが止まった。
また怒らせてしまったのかと顔を覗き込もうとする。
イヴは疲れているのか、何だか眠そうな声を出していた。
「んー」とか「うー」とか聞こえてきて、普段はかっこいいのに、可愛いとのギャップに胸がキュンとする。
俺だけが見れるイヴだったら嬉しいな。
「イヴ、もう寝る?お腹空いてない?」
「…食事より、ユーリといたい」
イヴにそう言われると、俺も食事なんてどうでも良くなる。
夕飯の準備をしていたが、明日でもいいかな。
俺もうとうととしてきてイヴを抱きしめたまま横になった。
イヴはもう寝たのか、目蓋を閉じていて小さな声で「おやすみ」とだけ言い俺も眠った。
*****
翌朝、目を覚ますと俺の上にイヴが覆い被さっていて驚いた。
突然どうしたのかと思ったが、イヴは何も言わなかった。
ただ俺を見つめていた、昨日といい…なにか言いたい事があるのは分かっている。
「イヴ、どうしたの?」
「ユーリの痛みは俺だけが与える傷」
「…え?」
「大丈夫、ユーリは絶対に好きにさせないから」
イヴが言っている意味が分からず、頬を両手で包み込んだ。
俺とは比べ物にならないほど抱えているんだ、俺のためになにかしようとしているんだって分かる。
半分、俺に抱えているものを分け与えられたらいいのに…
魔騎士の紋様なら、俺に少しでも力をくれたらイヴを守れる。
ほしいほしい、俺にも…もっと強い魔力が欲しい。
ズキリと痛みが紋様がある腕に走り眉を寄せる。
さっきまで普通だったのに、この痛みは突然前触れなくやってくる。
イヴは俺の頬に両手で包み込んで、瞳が赤く染まっていた。
「ユーリ、何を考えていた?」
「…おれ…は、もっとイヴみたいに強く」
「強くならなくていい、そんな事望んでない」
「でも、イヴを守れるように強くなればイヴの隣に相応しい自分に…」
「その考えは、いらない」
イヴは額をくっつけて、もう一度「俺の隣はユーリだけが相応しい、ユーリという存在だけが相応しい」と言われた。
本当にそれが正しいのか分からないけど、イヴ本人がそう言うならそうなのか。
今が相応しくても、もっと相応しくなりたいって思うのは普通だろ。
でも、イヴは必要ないと言う…どれが正しいんだろう。
口を開くと同時にぐぅ~と腹の音が静かな部屋に響いた。
イヴは緊張していた雰囲気がぶち壊れて、目を丸くしていた。
俺の顔は真っ赤に染まり、無駄だが腹を押さえた。
そういえば昨日、夕飯を食べていなかったな。
「先に朝食にしよう」
「そうだね、あ…そうだ」
イヴは俺から離れて、クローゼットを開いた。
プレゼントのようにラッピングされた袋を持って俺に渡した。
「頑張ってるユーリにちょっとしたプレゼント」と言われてイヴにお礼を言う。
手の感触からして服のような気がする、なんだろう。
丁寧にラッピングを外して中身を出した。
そこにあったのは前のデザインと全く同じエプロンだった。
イヴのプレゼントだと思うと、とても嬉しかった。
大切にギュッと抱きしめて、もう一度「ありがとう、イヴ」と笑顔を向けた。
「エプロンはユーリの服を汚さないためだけど、気に入ってくれて良かったよ」
42
あなたにおすすめの小説
ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる
桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」
首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。
レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。
ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。
逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。
マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。
そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。
近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン
元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。
くまだった
BL
新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。
金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。
貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け
ムーンさんで先行投稿してます。
感想頂けたら嬉しいです!
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
悪役未満な俺の執事は完全無欠な冷徹龍神騎士団長
赤飯茸
BL
人間の少年は生まれ変わり、独りぼっちの地獄の中で包み込んでくれたのは美しい騎士団長だった。
乙女ゲームの世界に転生して、人気攻略キャラクターの騎士団長はプライベートでは少年の執事をしている。
冷徹キャラは愛しい主人の前では人生を捧げて尽くして守り抜く。
それが、あの日の約束。
キスで目覚めて、執事の報酬はご主人様自身。
ゲームで知っていた彼はゲームで知らない一面ばかりを見せる。
時々情緒不安定になり、重めの愛が溢れた変態で、最強龍神騎士様と人間少年の溺愛執着寵愛物語。
執事で騎士団長の龍神王×孤独な人間転生者
学園一のスパダリが義兄兼恋人になりました
すいかちゃん
BL
母親の再婚により、名門リーディア家の一員となったユウト。憧れの先輩・セージュが義兄となり喜ぶ。だが、セージュの態度は冷たくて「兄弟になりたくなかった」とまで言われてしまう。おまけに、そんなセージュの部屋で暮らす事になり…。
第二話「兄と呼べない理由」
セージュがなぜユウトに冷たい態度をとるのかがここで明かされます。
第三話「恋人として」は、9月1日(月)の更新となります。
躊躇いながらもセージュの恋人になったユウト。触れられたりキスされるとドキドキしてしまい…。
そして、セージュはユウトに恋をした日を回想します。
第四話「誘惑」
セージュと親しいセシリアという少女の存在がユウトの心をざわつかせます。
愛される自信が持てないユウトを、セージュは洗面所で…。
第五話「月夜の口づけ」
セレストア祭の夜。ユウトはある人物からセージュとの恋を反対され…という話です。
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる