少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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嫌い、嫌い、嫌い、なんであんな奴があの方の傍に居られるんだ?
自分ですら一緒に居られなかったのに…

あの方に憧れて、血が滲むような努力をして騎士団に入った。
本来騎士団は貴族出身の人が多く、一般街出身の魔導士はレベルが3以上ないと厳しかった。
レベルが2である僕は、ただでさえ一般街というハンデがあるのに不可能だと周りは笑っていた。

母ですら、自分に見合った仕事をしろと言っていた。
その方が楽だと自分でも思うが、僕の想いはそんなに簡単ではない。

あの方の傍に居られるなら、なんだってする。

国を守るとかそんなもの、どうでもいい…僕はあの方に近付いてあの方に僕の存在を知ってもらうのが目的だ。

自分でも病気だと思う、あの方を思うと僕は他なんてどうでもよくなる。
元々何事にも興味はなくて、初めて僕が興味を惹かれた相手だった。
あの方が望むなら、僕は奴隷にもなる。

出世は見込めないが、騎士になる事が出来た。
出世なんて別にしたくない、あの方と居ればそれでいい。

いつもは遠くから眺めているだけだったのに、あんな近くにいて僕の気持ちが暴走した。
上位の騎士しか城の中に入る事が出来ない、王族がいるから当然だ。

城の中にあの方が住まう部屋がある、あそこで寝て起きて…あの方が吸って吐いた空気がある。
考えるより、体が勝手に動いていた。

城の門番を騙すのは、簡単だった。

あの方に頼まれたと言えば簡単に入れてくれた。
騎士だから、絶対的な信頼があるのだろう。
馬鹿な門番だと、笑うのを堪えながら歩いた。

あの方の部屋の場所を歩いていたメイドに聞いた。
そして、気付かれる前にあの方の部屋に急いだ。

鍵は開いていた、不用心だなぁ…僕としてはラッキーだけど…

あの方は夜に見回りに出掛けている事を知っているから、いないのも分かった。

部屋に入ると、いいにおいがした…花があるからそのにおいかと思ったがそれだけじゃない。
きっとあの方の体のにおいなんだ、あの方に抱きしめられているような…そんな気分になる。

周りを見渡してベッドを見つけた、あの方がいつも寝ているベッド。
枕に顔を埋めて、シーツに身を包んだ…幸せに浸れる。

そんな幸せな時間は長く続かなかった。

部屋の外から無数の足音が聞こえて、ドアが開かれた。
騎士数人と使用人達の顔があり、その奥には僕が待ち焦がれたあの方がいた。

ベッドから降りて、あの人に近付こうとしたらその前に他の騎士により捕らえられた。
僕には他の騎士は見えない、あの方しか見えない。

あの方は僕に向かって微笑んでくれた、それだけで僕は幸せだった。

………あの時までは…

騎士を辞めさせられても、僕はあの方に会いに行くのを止めなかった。

城の周りをウロウロしたり、あの方が貴族街に引っ越したと聞いた時に行こうと思ったが頑丈な警備で入れなかった。
それでもあの方を目で追っているだけで幸せだった。
きっとあの方も僕に微笑んでくれたから同じ気持ちだろう。

でも身分が違いすぎて、僕と一緒に居られない…同じ気持ちなんだ。

そう思っていたら、あの方が貧困街に入っていくのが見えた。
珍しい、あんな汚い場所あの方には似合わない。

貧困街にあの人が入って、僕も入ろうと思ったが止めた。
もし、知り合いが見ていて貧民堕ちしたなんて思われたら恥だ。
外で待っていればきっと来る、ここで何をしているのか知らないがきっと悪い貧乏人を懲らしめているのだろう。

今まで何度も声を掛けようと思っていたが、あの方を見つけたと思ったらすぐに居なくなってなかなか上手くいかなかった。

今度こそ声を掛けようと思って、貧困街の前で待っていた。

入り口は一つしかないと聞いたから絶対にあの方はここから出てくる。
そう信じて、何時間もそこで待っていた。

そしてやっと出てきたあの方に近付こうとして足を止めた。
あの方の隣には見知らぬ男がいた。

貧相な格好で、すぐに貧民だと分かった。
高貴な方であるあの方と肩を並べる事を決して許せないほどの男だ。

そのまま貴族街に入っていく二人を見て頭に血が上った。
なんだあの男は、あの方に近付いていい身分じゃないのにあの方の傍に…

きっと貧困街でなにかあったんだ、あの方はあの下劣な男に騙されて弱みを握られているのかもしれない。
きっとそうだ、じゃなきゃあんな特徴もない男…一緒にいる価値もない。

僕があの方を助けないと、これを知っているのは僕だけだ。
必ずあの男から救ってみせる。

貧民だからきっとレベルは低いだろうが、あの方を思い通りに出来るなにかがある筈だ。
警戒するに越した事はない。

貴族街に入るのは簡単ではない、それにあの方がいるところは一番警備が厳しいだろう。

それでも僕は諦めなかった、必ずあの方を助け出すと…

警備が緩くなるのは人の出入りが多い時間帯だ。
人の近くに紛れれば簡単に入れると考えた。

僕は深くフードを被りながら、貴族街に向かって歩いていった。
これがバレたら貧民堕ちするだろう、それほどまでに貴族街に侵入するのは重罪だ。

でも僕はあの方を助けるという立派な使命がある。
家族もきっと分かってくれる筈だ。

貴族街に一歩踏み出した時、ビリビリと電流のようなものが流れた。
これが、貴族街を守っている結界?
正面から入るとすぐにバレるから少し離れたところから入ろうと貴族街の壁をよじ登った。

苦しくて痛くて、気が狂いそうになった。
でも、こんなもので僕を止める事なんて出来ない。
僕は、必ず、あの方と共に…

死ぬ気で通ればこんなもの何でもなかった。

僕を止められる者なんて誰もいないんだ、あの方でさえ…

無理矢理滑り込むようにして一番街までやってきた。
手足が痺れて動かない、全身火傷をしたように痛い。

頑丈な警備の一番街でも、死ぬような結界でなくて良かった。
死んだら、あの方を助ける人が誰もいなくなってしまう。

しばらく一番街の隅で自然回復を待った。
ここはほとんど人が住んでいないみたいで、僕を気にするような人はいなかった。
影が薄いからと言われたらそうだけど、今はそれがありがたい。
あの方を助けろと、きっと神様が僕にチャンスを与えてくれたんだ。

少し体が動くようになり、隙間に隠れて…これならきっとあの方でさえ僕に気付かない。

ジッと一番街の隙間から周りを見ていたら、足音が聞こえた。
入り口を見ると、あの方が歩いているのが見えた。

心臓が高鳴って、目が逸らせなくなる。
あの方は僕に気付かず、歩いていってしまった。
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