クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン

文字の大きさ
3 / 51

第3話 スキルは無能

しおりを挟む
「なあ、セリーナさんよ。俺のスキルとステータスってどうなんだ?」

 先ほどまで不機嫌そうに不貞腐れていた、黒崎が声を弾ませて問いかける。
 セリーナは黒崎のステータスを覗き込み、目を見開く。

 ================
 《名前》 黒崎 陸斗くろさき りくと
 《レベル》 1
 《種族》 人間
 《生命力》 90
 《魔力》 50
 《攻撃力》 45
 《防御力》 40
 《魔法攻撃力》 20
 《魔法防御力》 20
 《俊敏》 40
 《知力》 25
 《スキル》 剣聖
 《魔術》 なし
 ================

「まあ、剣聖ですね! 数万人に一人という大変レアなスキルになります。ステータスは……どれも初期ステータスとしては標準より大変高くなっております!」
「そうか、じゃあ剣士の最上位ってわけだな。まあ悪くねえか」

 そこで風間の周りの女子から嬌声が響く。

「きゃー、勇者よ!」
「きゃー凄い!」
 
 瞬時に嫌そうに顔しかめた黒崎を置いて、エリーナが風間の元へと向かう。

 ================
 《名前》 風間 翔太かざま しょうた
 《レベル》 1
 《種族》 人間
 《生命力》 95
 《魔力》 80
 《攻撃力》 40
 《防御力》 35
 《魔法攻撃力》 45
 《魔法防御力》 40
 《俊敏》 50
 《知力》 45
 《スキル》 勇者
 《魔術》 光の剣、治癒の光
 ================

「まあ、勇者。陛下、勇者が出ました! ステータスも大変素晴らしいです!」

 部屋がどよめく。
 風間のとりまきたちの嬌声がうるさい。
 だが本人は至って冷静で、当然のことのように受け止めているようにも見える。
 風間にとって人より抜きん出て優秀であることは、最早既定路線で驚くべきことでもないのだろうか?
 
 そこに横槍を入れるように一人の女生徒が質問を投げかける。
 
「ちょっとすみません。私のステータスも見ていただいてもよろしいですか?」

 エリーナに声をかけたのは、美月 紫苑だった。
 俺が密かに女帝と心の中で呼んでいる女生徒だ。
 美月はそのきつい性格と計算高い行動でクラスのヒエラルキーを巧みに操り、女子生徒たちを支配下に置いていた。

 ================
 《名前》 美月 紫苑みづき しおん
 《レベル》 1
 《種族》 人間
 《生命力》 85
 《魔力》 90
 《攻撃力》 30
 《防御力》 30
 《魔法攻撃力》 50
 《魔法防御力》 45
 《俊敏》 40
 《知力》 50
 《スキル》 賢者
 《魔術》 治癒魔法、防御魔法、知識の光
 ================

「まあ大変素晴らしい、賢者ですね。こちらも大変レアなスキルになっております。流石は賢者、初期ステータスも素晴らしいですね!」
「あら、そうですの。まあ、体を動かすのはさほど得意ではないので、魔術師でよかったかもしれませんね」

 美月は黒髪の長髪をなであげながら応える。

 風間に美月、それに黒崎。
 クラスのヒエラルキーの上部に属する人間たちが、軒並みレア以上のスキルを獲得している。
 異世界に来ても元世界の理不尽な階層構造は変化しないのか?
 恵まれた人間、運ゲーの覇者たちは異世界に来ても勝者のままなのか?
 
 まさか現実世界を投影してるんじゃないだろうな。
 そんな不吉な考えが脳裏に浮かぶ。それなら俺に未来はない。

「すごいです、美月さん!」
「賢者なんて羨ましいです!」

 美月が配下のように従えている女生徒から称賛の声が上がる。

「そんなこと……」

 美月が言葉を続けようとしたところ、また別の場所から歓声が上がる。

「きゃー、聖女よ!」
「信じられないわ、あおいが聖女だなんて!」

 エリーナは今度はそちらに向かう。

 ================
 《名前》 春日部 葵かすかべ あおい
 《レベル》 1
 《種族》 人間
 《生命力》 85
 《魔力》 100
 《攻撃力》 20
 《防御力》 25
 《魔法攻撃力》 45
 《魔法防御力》 50
 《俊敏》 30
 《知力》 50
 《スキル》 聖女
 《魔術》 癒しの光、聖なる結界、浄化の息吹
 ================
 
「聖女! さすが、賢者にも負けず劣らずの素晴らしいステータスです!」
「よかったわね、葵!」
「おめでとう、葵!」

 彼女の友達が称賛を送っている。そこへ遅れて美月が到着した。
 
「へぇー、私に負けず劣らずですって。よかったわね、春日部さん」
「え……ええ、ありがとう」

 春日部は美月と目を合わそうとはせずに遠慮がちに応える。
 彼女とその友達も同様に、先程までの嬉しそうな表情はともに影を潜めていた。

「も、もちろん私の力はクラスのみんなのために使わせてもらいます」
「そう、よろしくお願いしますね。お互いレアスキル同士、頑張りましょう」
「は、はい、わかりました!」
 
 まるで女王が配下に命じる如き言葉に、春日部が従順に応える。

 俺は知っている。
 春日部は元々クラスの上位ヒエラルキーに属していた。
 成績優秀で、何より彼女の控えめな性格と内面から溢れ出る優しさから好感を得て、多くの友人を抱えていたからだ。
 しかしそんな彼女は美月の嫉妬を買うことになる。
 友達との分断工作をしかけられ、ありもしない噂を流されて、クラスの底流へと追いやられてしまったのだ。

 ほとんどの男子はこの事実を知らないと思う。
 表面化しないように非常に巧妙に策が巡らされていたからだ。
 だが俺はいじめられっ子という立場上、そういった事には敏感で気づくことができた。

 春日部は底辺に追いやられた後も執拗に美月からいじめ、嫌がらせを受けて、すっかり美月のことを恐れてしまっている。 

 だが、これは一筋の光明だった。
 現実世界のヒエラルキーがそのままスキルに投影されるわけではなさそうだ。
 であれば俺だって凄いレアスキルを得られる可能性だって大いにある。

 怖くて言えなかったその言葉をようやく紡ぐ。

「ステータスオープン」

 俺は期待を胸に表示された画面を眺める。

「嘘だろ……?」
 
 思わず言葉が漏れる。
 モニターに表示された文言が信じられなかった。
 こんなことがあるのか?
 ショックで呆然とする。
 
 それを目ざとく見つけた黒崎が背後から近づいてきていることに気がつかなった。

「ぎゃはははははは! おい、みんな見ろよ! 小日向のスキル、無能だってよ!!」

 ================
 《名前》 小日向 悠こひなた ゆう
 《レベル》 1
 《種族》 人間
 《生命力》 35
 《魔力》 20
 《攻撃力》 15
 《防御力》 15
 《魔法攻撃力》 10
 《魔法防御力》 10
 《俊敏》 20
 《知力》 25
 《スキル》 無能
 《魔術》 なし
 ================

 スキル欄には『無能』と表示されていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

寿明結未
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。 皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。 この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。 召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。 確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!? 「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」 気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。 ★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします! ★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます

黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。 だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ! 捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……? 無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

処理中です...