クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン

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第35話 悪魔の大群

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「させるか!」

 俺はエルドナに攻撃を加えようとするが、吸命樹ヤグドラシルの枝の攻撃に阻まれる。

「邪魔すんな!」

 一閃。俺は枝の大群を薙ぎ払うが、今度は複数の枝を槍のようにして、針千本のように一気に攻撃を繰り出してくる。
 凄まじい攻撃スピードで防戦一方になる。

 エルドナの背後では巨大な漆黒の扉が出現している。
 扉は少しずつ開こうとしており、扉の隙間から悪魔たちと思われる手と、奴らの声が漏れ出てきていた。

「ユウ! 悪魔たちが!」
「わかってる!」

 吸命樹ヤグドラシルに時間をかけるわけにはいかない。
 一気に勝負を決めるべく、俺は一旦距離をとってアンリミテッド魔法を発動する。

災厄の雨カタストロフィックレイン!』

 アンリミテッド魔法が発動された瞬間、大地が震え始めた。
 魔力が大気中に充満し、重苦しい圧力が辺りを支配する。

 地下にも関わらず吸命樹《ヤグドラシル》の周囲に赤黒い雲が渦巻き、次の瞬間、凄まじい勢いで血のような雨が降り注ぎはじめた。

「グギャアアアアアアアアアッ!!!」

 吸命樹《ヤグドラシル》は苦悶の叫びを上げる。
 災厄の雨は巨木の幹を溶かし、葉を枯らし、根を腐らせていく。

 雨は止むことを知らない。
 吸命樹《ヤグドラシル》の動きは徐々に鈍くなり、やがて完全に停止した。
 その体は焼け焦げた灰のように徐々に消えていく。
 遂には災厄の雨カタストロフィックレインは完全に吸命樹《ヤグドラシル》を消し去った。

 するとエルドナが拍手をしながらその様子を眺めていた。
 
「吸命樹《ヤグドラシル》の討伐、おめでとう――――そして、さようなら。ここに悪魔の門デモンズゲートは完全に開かれた!!」
「ゔぉおおおおおおおおお!!!」

 悪魔の門デモンズゲートから咆哮を上げながら悪魔たちの大群が押しよせてくる。

「ユウ! 逃げてぇ!!」

 悲鳴のようなフェリシアの叫びが後方から聞こえる――
 が、逃げられるわけがない。
 ここで逃げたら一体どれだけの人々が犠牲になるか。
 ここは虐殺と平和の分水嶺だ。

「うぉおおおおおおおお!!!!」

 手に持った星絶断刃スターブレイクブレードに魔力を供給すると神々しい光を放ち始めた。
 刃に宿った星々が輝きを増し、まるで天の川が流れ込んだかのように、剣全体が幻想的な光に包まれる。
 刃が震え、周囲の大気が渦巻く。剣が持つ絶大な力が解き放たれ、空間そのものが歪み始める。

 悪魔の大群は俺に殺到し、もうすぐ近くまで迫っている。

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
「喰ってやる、喰ってやるぞぉおおおお!! 人間んんんんんん!!!」

 ありったけの魔力を込めて星絶断刃スターブレイクブレードを振るう。

「ハァァァァァァァ!!!」 

 横薙ぎに一閃すると、光を伴った巨大な剣閃が放たれる。
 剣閃は悪魔を一気に飲み込んでいく。

「ぎゃああああああああああああ!!!」

 剣閃は悪魔たちの断末魔をも飲み込みながら神殿をも真っ二つに切断する。
 そして、一体どこまで先に斬り込んでいったのか分からないほどの傷跡を残す。

 星絶断刃スターブレイクブレードの一撃は悪魔たちを一層し、悪魔の門デモンズゲートすらも跡形もなく消し去っていた。

 少し経つと、ゴゴゴゴゴゴゴと地響きが発生する。
 さっきの一撃が地盤を破壊してしまったのだろう。

「フェリシア、アデル、逃げよう!」

 二人に声をかけて、フェリシアに抱かれたシエナとともに地下から走って脱出する。

 俺は少し走った後に後ろを念の為、振り返る。
 後方には生物の気配はなく、神代の時代の遺跡は地震によって次々と崩壊していた。




 地上は雨だったのが嘘のように、空は雲一つない晴天に変わっていた。

「ゔ……ん……」

 フェリシアに抱かれたシエナが目を覚ます。

「お姉ちゃん、お兄ちゃん? なんで……」

 フェリシアは黙ってシエナを強く抱きしめる。

「お姉ちゃんとこれから先もずっと一緒にいようね……」
「ずっと一緒にいてくれるの? ……お兄ちゃんは?」
「お兄ちゃんも……」

 俺が返答しようとしたその時――

「やってくれたね。折角魂を集めて、悪魔の門デモンズゲートを開いた努力が水の泡だよ。ましてや、シルヴィアまでも……」

 そこには、ボロボロの姿になったエルドナが宙に浮いていた。
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