『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI

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異世界の異変

第7話「噂話の行方」

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深夜零時を回り、店内のBGMがふっと途切れた。外の闇はしんと冷え、時折、風が窓をかすかに震わせる。ドアが開くと、鈴のような小さな音と一緒に夜の冷気が流れ込み、二人組の女性客が入ってきた。

 どちらも町で見かける顔だ。片方は買い物籠を持ち、もう一人は手に布袋を下げている。軽い足取りでお菓子棚の方へ向かう途中、背の高い方が雑誌コーナーの端に目を止め、ふと声を落とした。
 「ねえ、聞いた? 王都の方で検問があったらしいわよ」
 「検問? この時期に? 何があったんだろうね……」

 棚を見ているふりをしながら、レンの耳は自然とそちらへ向かっていた。検問――この町ではまず聞かない話だ。まして王都でとなれば、何かしら大きな出来事の前触れかもしれない。

 二人はお菓子をいくつか籠に入れ、飲み物コーナーへ移動する。その間も、声を潜めながら話は続いていた。
 「知り合いの商人が通った時も荷物を全部調べられたって」
 「物騒な話ね……」

 レンは表情を崩さず、いつものようにレジ横の品出しを続ける。だが胸の奥では、小さな不安がじわじわと広がっていく。

 やがて二人がレジへやってきた。
 「夜遅くまでご苦労さま」
 「ありがとうございます」レンは笑顔で応じ、黙って会計を進める。

 会計を終えると、二人は軽く会釈をして店を後にした。ドアが閉まると、また静けさが戻る。

 「ありがとうございました。またお越し下さいませ」
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