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第五部
第40話 悲報、伊月フラれる
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「──んで、話を戻そうか。旦那様!」
「誰が旦那様だ! 誰が!」
一体誰が誰の旦那様なのかは訊かなくともわかってしまうのだが是非ともこの予想が外れることを願っているのだが……人生、そんなに甘くはなく、
「ずばりだ。お前は何でその日に限って学校に行きたくないんだよ」
どうやら伊月は、人生ゲームのボードを振り出しに戻すようだ。
しかし困ったものだ。既にこの質問は闇へと葬られたと思っていたのだが、どうやら僕の見解だったようだ。
知られて困ることでもないが、やはり言うのには抵抗がある。
何せ、もうすぐ来てしまうから……、
「──お待たせしました」
と、予想通りのタイミングで登場してくれたのは、我らが女神様だった。
「……っと。みなさん、集まってましたか。少し時間がかかってしまったみたいですね」
僕の隣に躊躇いなく座り、真っ白な素肌が顔を覗かせる膝上に弁当箱を乗せる。女子ってその姿勢が好きなのか? 寝る前だったが、鈴菜さんも同じことしてたし。
普段はストッキングを履いているために脚が顔を覗かせることはないのだが、最近になって急激に暑さが増したために日焼け止めを塗っているのだそうだ。
その代償が素肌の見せびらかし。
特別本人に気恥ずかしさは無さそうだが……見ているこっちには相当なダメージになるな。
「(ってなわけだ。あんま今その話するな、後でしてやる)」
「(……なるほどね。了解した)」
僕と伊月は相槌と目力だけで会話を成立させた。いや、もう会話じゃないか。完全に意思疎通に近いものの『何か』だろう。
あれだけしつこく訊いてきた伊月も何やら理解したらしく、ひとまず引き下がってくれた。
ぐるり、と美桜はこの辺りを見渡して再び伊月達をジロリと見る。いや、それは見るではなく、睨みつけるの方だった。
「……何だか、不思議ですね。今まで湊君との2人の食事がいいと思っていました。もちろん今もそれは変わりませんが、前よりもちょっと……楽しみに思えます」
……ほほう。
完全無欠な美人さんである美桜がそんなことを言い出すとは、さすがに僕も驚いた。
それだけ周りに興味を持ち始めているということなのだろうか。
前触れでもいい。
孤高と孤独の意味をはき違えることがないように、美桜にはこいつらと『友達』という関係を築き上げてもらいたい。
既に伊月はそのつもりだろうけど。
個々の意見に口出しするほど、伊月は相手を急かす真似は絶対にしないからそこは安心だ。他は全然安心しないが。
「そう思ってもらえて光栄だね。そうだ真城さん、オレと友達にでもなるか?」
ポジティブで真っ直ぐなところが、伊月の良いところ。
「いえ、それはまだ保留で」
尚、相手をすぐに信用出来るほどちょろくないのが美桜の良いところ。
「うぅぅぅ……。フラれた……」
「その言い方には語弊があるぞ。膝上で寝てる彼女がいる前で堂々と浮気するな」
「してねぇよ! つーか、何で真城さんは鈴菜ならいいんだ?」
「何で……とは?」
「何では何でだよ。オレ、そんなに信用ない……?」
ガチでショック受けてる! 半分涙目になってる! 美桜がこんなときにフォローになれる発言が出来るとは到底思えない! ここは、何とか誤魔化せるように僕が──、
「別にそういうわけではないです」
……そう思ったのも束の間、何やら美桜が真剣に弁明しようとしていた。
珍しい。美桜が伊月に真面目なフォローを入れようとしてくれているのだろうか? 他人《ひと》のために動く機会が多くなっているのは嬉しいが起源が謎だな。
美桜はそのまま続けた。
「ただ……アレですね。1晩同じ屋根の下で共に過ごした仲というやつかもしれません。何となく、鈴菜さんのことは信用出来ます」
美桜! その言い方にも多少の勘違いを孕んでしまうのだが!?
……まぁそれでも、美桜が言いたいことは何となくわかる。
あの日以降、僕が美桜に対して、仮にも幼馴染として『好意』を抱いているのが発覚してしまい、鈴菜さんに対して申し訳なさが僕の中で渦巻いている。
美桜はきっと、鈴菜さんを絡んだ案件で僕が余計なことを考えないように配慮してくれているのだろう。
言い方はともかくとして! だけどな。
「じゃ、じゃあ……オレはダメってこと?」
「……村瀬君は湊君が信用するお友達です。湊君が認めているのであればやむを得ません」
「決起オレはフラれてんじゃんか……」
女神様の言葉は偉大である。
カノジョに一途なこいつの心の中にも、後悔の渦を創り上げてしまうのだから。
「誰が旦那様だ! 誰が!」
一体誰が誰の旦那様なのかは訊かなくともわかってしまうのだが是非ともこの予想が外れることを願っているのだが……人生、そんなに甘くはなく、
「ずばりだ。お前は何でその日に限って学校に行きたくないんだよ」
どうやら伊月は、人生ゲームのボードを振り出しに戻すようだ。
しかし困ったものだ。既にこの質問は闇へと葬られたと思っていたのだが、どうやら僕の見解だったようだ。
知られて困ることでもないが、やはり言うのには抵抗がある。
何せ、もうすぐ来てしまうから……、
「──お待たせしました」
と、予想通りのタイミングで登場してくれたのは、我らが女神様だった。
「……っと。みなさん、集まってましたか。少し時間がかかってしまったみたいですね」
僕の隣に躊躇いなく座り、真っ白な素肌が顔を覗かせる膝上に弁当箱を乗せる。女子ってその姿勢が好きなのか? 寝る前だったが、鈴菜さんも同じことしてたし。
普段はストッキングを履いているために脚が顔を覗かせることはないのだが、最近になって急激に暑さが増したために日焼け止めを塗っているのだそうだ。
その代償が素肌の見せびらかし。
特別本人に気恥ずかしさは無さそうだが……見ているこっちには相当なダメージになるな。
「(ってなわけだ。あんま今その話するな、後でしてやる)」
「(……なるほどね。了解した)」
僕と伊月は相槌と目力だけで会話を成立させた。いや、もう会話じゃないか。完全に意思疎通に近いものの『何か』だろう。
あれだけしつこく訊いてきた伊月も何やら理解したらしく、ひとまず引き下がってくれた。
ぐるり、と美桜はこの辺りを見渡して再び伊月達をジロリと見る。いや、それは見るではなく、睨みつけるの方だった。
「……何だか、不思議ですね。今まで湊君との2人の食事がいいと思っていました。もちろん今もそれは変わりませんが、前よりもちょっと……楽しみに思えます」
……ほほう。
完全無欠な美人さんである美桜がそんなことを言い出すとは、さすがに僕も驚いた。
それだけ周りに興味を持ち始めているということなのだろうか。
前触れでもいい。
孤高と孤独の意味をはき違えることがないように、美桜にはこいつらと『友達』という関係を築き上げてもらいたい。
既に伊月はそのつもりだろうけど。
個々の意見に口出しするほど、伊月は相手を急かす真似は絶対にしないからそこは安心だ。他は全然安心しないが。
「そう思ってもらえて光栄だね。そうだ真城さん、オレと友達にでもなるか?」
ポジティブで真っ直ぐなところが、伊月の良いところ。
「いえ、それはまだ保留で」
尚、相手をすぐに信用出来るほどちょろくないのが美桜の良いところ。
「うぅぅぅ……。フラれた……」
「その言い方には語弊があるぞ。膝上で寝てる彼女がいる前で堂々と浮気するな」
「してねぇよ! つーか、何で真城さんは鈴菜ならいいんだ?」
「何で……とは?」
「何では何でだよ。オレ、そんなに信用ない……?」
ガチでショック受けてる! 半分涙目になってる! 美桜がこんなときにフォローになれる発言が出来るとは到底思えない! ここは、何とか誤魔化せるように僕が──、
「別にそういうわけではないです」
……そう思ったのも束の間、何やら美桜が真剣に弁明しようとしていた。
珍しい。美桜が伊月に真面目なフォローを入れようとしてくれているのだろうか? 他人《ひと》のために動く機会が多くなっているのは嬉しいが起源が謎だな。
美桜はそのまま続けた。
「ただ……アレですね。1晩同じ屋根の下で共に過ごした仲というやつかもしれません。何となく、鈴菜さんのことは信用出来ます」
美桜! その言い方にも多少の勘違いを孕んでしまうのだが!?
……まぁそれでも、美桜が言いたいことは何となくわかる。
あの日以降、僕が美桜に対して、仮にも幼馴染として『好意』を抱いているのが発覚してしまい、鈴菜さんに対して申し訳なさが僕の中で渦巻いている。
美桜はきっと、鈴菜さんを絡んだ案件で僕が余計なことを考えないように配慮してくれているのだろう。
言い方はともかくとして! だけどな。
「じゃ、じゃあ……オレはダメってこと?」
「……村瀬君は湊君が信用するお友達です。湊君が認めているのであればやむを得ません」
「決起オレはフラれてんじゃんか……」
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カノジョに一途なこいつの心の中にも、後悔の渦を創り上げてしまうのだから。
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