【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら

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いきなり辺境

6 進展してるよね

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ティーカップをテーブルに置くのを見計らって。

「ではへ御案内させて頂きます」
と、エルダスが礼をした。

キリルはまるで重力が無いようにすっと立つ。
ぶれない軸を見て、あちこちから簡単の声が上がる
重力が無いように見せるのは貴族の作法。
そしてぶれない軸は脳筋にとって戦いの基本。
そうだよ弱々のアニマだって、貴族社会でおほほと戦っているのだ。
舐めんなよ‼︎と、かましてみたのさ。


アルベルトがすっと手を差し出すので、にっこりと手を乗せた。

うん。

コレは契約しまっせ!の確認事項。
好敵手もしくはパートナーと認められたようだ。
宿の人も街の人も、目玉落ちちゃうよ。って感じに見開いている。

キリルはとっておきの微笑みを惜しげもなく振り撒いた。
状況を見て、瞬時に猫を被る技は熟練している。
もう達人の域だ。
いつでも"天使の様な""良い人"を演じるぞ!


正直。

見栄を張って家から出てきた。
どのツラ下げて、すごすごと帰れるんだ‼︎
って感じ。

契約万々歳♡
ぜひお願いしたい‼︎



***  

この話は。
ぼっちの苦しさにもがき悲しむ青年が。
人生の山あり谷ありをかき分けて、自分の生きる指標を探していく物語である。
      
             ***

って、事だよねー☆
(ジャン ジャン ジャーン♪とBGMで)


馬車の中でキリルは考える。
あれ?そういえば後継の子供って名前はなんだろう、幾つなんだろう。
すんごく抜けてた‼︎

ったく、トイレットペーパーの銘柄よりもそっちの方が大事だろうがぁ!
何故そっちを掘り下げなかった!
…あいつら趣味が偏りすぎてる。
覚えてろよ、おまえら…

そんなサスペンス&スプラッタな思いを微塵も感じさせず、お澄まし顔でキリルは外を見る。



城。

屋敷では無い。

地方領主はどれだけ豪華でも屋敷だ。
城門がばーんとあっても、城壁に囲まれていても、地方のしがない領主の屋敷は城では無い。
ファンドール公爵家も、豊かで広大な領地だが屋敷だ。

それが城。

何代か前の王弟が辺境の守りの為に臣籍降下した上に、先代の王弟が嫁いだ。
そんな訳で今の王様とは、従兄弟とかなんかと絡まってる。
…エルダスめ。
受けたダメージのお返しに、わざとその辺をピックアップしやがったな。



城の周りは深い堀に囲まれていた。
門から雷の様な音で引き倒された橋がそこに掛かる。

馬車は巨大な門を抜けて行った。
両側の壁がとても厚い。
キリルは王宮やファンドールの屋敷を知っているが、比較にならないほど厚い。
そして高い。
コレはもう城というより要塞の様だった。

これが辺境。

有事の際には民に庭や建物を開放して、城壁を閉めて籠城するための城。
戦う城だ。


先程馬車が通りましたのは、見栄とびびらせる為の正門です。
普通に民が行き来する様な、橋のかかった通用門はけっこう御座いますからね。
抜け出して街に行くのも容易でございますよ。

と、ガルゼが囁く。

~いや、家の諜報機関とはレベルが違うその情報。
ネタ元が知りたいよ。
絶対教えちゃくれないだろうけどね。


お行儀悪く、キリルは身を乗り出した。

馬車の進む前庭はひたすら広い。
物見櫓のある塔は城壁と一体化して、翼の様に広がっている。
そして木々の向こうに、ぼんやりと城が見えていた。
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