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好き。って気持ちは最強
5 そのインパクトは全てを蹴散らす
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サニタは胸がいっぱいだった。
もくもくと膨らんで、ぱーんと弾けそうだった。
目の前のシーンに感動して、おへその上から喉の奥までぷるぷると震える程に見入っていた。
いきなり現れた王子様がキリルさんを抱き締めた。
村長がひいっと叫ぶのも気に留めず、二人は見つめ合っている。
鈍色の髪がざっと風に流れる。
剥き出しになったキリルさんの顔は、菫色が大きく見開かれて綺麗なお人形のようだ。
そのピンクの唇を半開きにしている。
その目が見ているのは王子様だ。
貸本にあったみたいに、お日様みたいなキラキラの金髪で
宝石みたいな青い目をしている。
イケメンだ。
だよね。
王子様はイケメンで細マッチョじゃなきゃ。
なよなよと揉んだ胡瓜のような王子様なんて、誰もときめかないものね。
今は、王子様が抱き締めたのを振り払って。
一歩下がったキリルさんと、その王子様が見つめ合ってる所だ。
もう二人の世界って奴だ。
二人は綺麗で、もう小説そのもの♡
ああ、背景にお花が飛ぶってこういう事なんだ…
サニタはうっとりと見入った。
【トントン。貧しい家の扉がノックされた。
開けると騎士が羽飾りをつけた帽子を胸に礼をする。
「舞踏会から走り去った方を探しております。
どうぞ、この水晶の靴を履いてみてください」】
サニタはうっとりと頭の中で繰り返した。
その妄想の姫はキリルさんに変わっている。
水晶の靴を履いた途端に、びゅうびゅうと風が貧しい野良着を取り巻いて、宝石とレースに替えていく。
現れたのはお姫様。
王子様がひたすら探す、お姫様なのだ…
キリルさんの桃色の唇がふるふると震えている。
ああ、二人は何かの行き違いですれ違っていたんだ。
菫色の目がうるうると潤んでいく。
さあ、感動のフィナーレだ。
サニタの手がぐっと握られた。
王子様の青い目がせつなそうにゆがむ。
その目には"愛"が沸るように燃えている。
再び出会った二人は、愛の炎に身を焦がすんだ。
サニタは声を出さないように、口を覆った。
そうだよっ!
跪いてプロポーズだよっ!
その手にキスして、愛を請うんだっ‼︎
そして二人は永遠の愛を手に入れるんだ‼︎
サニタは見逃さないように、全身全霊で見守った。
「キリル…」やっと王子様が動いた。
「キリル…許してくれっ!」
王子様は叫びながら大地にひれ伏した。
え?
DO・GE・ZA⁉︎
キリルが目を丸くして。
サニタがあんぐりと口を開けている前で。
金髪王子様はなんとも美しい土下座をかました。
上等な服。
上等な靴。
手入れされた身体。
それが土埃の中で額を擦り付け、見事な土下座を完成している。
「俺が悪かった。
俺が考えなしなのがわかった。
呆れたのはわかる。
だが、頼む‼︎帰ってきてくれっ!
愛してる。俺にはお前しかいないんだ!
お前しか欲しくないんだっ‼︎
頼む。帰ってきてくれっ‼︎」
夫夫の序列が決まった瞬間だった。
そしてサニタの夢の恋物語が砕けた瞬間だった。
この時のサニタの顔を見た者はこう言うだろう
「あの顔、うちの馬がときどきする」
「フレーメン反応っていうんだよ」と。
こうしてキリルは夫を手に入れ。
サニタはちょっぴり現実を手に入れたのだった。
もくもくと膨らんで、ぱーんと弾けそうだった。
目の前のシーンに感動して、おへその上から喉の奥までぷるぷると震える程に見入っていた。
いきなり現れた王子様がキリルさんを抱き締めた。
村長がひいっと叫ぶのも気に留めず、二人は見つめ合っている。
鈍色の髪がざっと風に流れる。
剥き出しになったキリルさんの顔は、菫色が大きく見開かれて綺麗なお人形のようだ。
そのピンクの唇を半開きにしている。
その目が見ているのは王子様だ。
貸本にあったみたいに、お日様みたいなキラキラの金髪で
宝石みたいな青い目をしている。
イケメンだ。
だよね。
王子様はイケメンで細マッチョじゃなきゃ。
なよなよと揉んだ胡瓜のような王子様なんて、誰もときめかないものね。
今は、王子様が抱き締めたのを振り払って。
一歩下がったキリルさんと、その王子様が見つめ合ってる所だ。
もう二人の世界って奴だ。
二人は綺麗で、もう小説そのもの♡
ああ、背景にお花が飛ぶってこういう事なんだ…
サニタはうっとりと見入った。
【トントン。貧しい家の扉がノックされた。
開けると騎士が羽飾りをつけた帽子を胸に礼をする。
「舞踏会から走り去った方を探しております。
どうぞ、この水晶の靴を履いてみてください」】
サニタはうっとりと頭の中で繰り返した。
その妄想の姫はキリルさんに変わっている。
水晶の靴を履いた途端に、びゅうびゅうと風が貧しい野良着を取り巻いて、宝石とレースに替えていく。
現れたのはお姫様。
王子様がひたすら探す、お姫様なのだ…
キリルさんの桃色の唇がふるふると震えている。
ああ、二人は何かの行き違いですれ違っていたんだ。
菫色の目がうるうると潤んでいく。
さあ、感動のフィナーレだ。
サニタの手がぐっと握られた。
王子様の青い目がせつなそうにゆがむ。
その目には"愛"が沸るように燃えている。
再び出会った二人は、愛の炎に身を焦がすんだ。
サニタは声を出さないように、口を覆った。
そうだよっ!
跪いてプロポーズだよっ!
その手にキスして、愛を請うんだっ‼︎
そして二人は永遠の愛を手に入れるんだ‼︎
サニタは見逃さないように、全身全霊で見守った。
「キリル…」やっと王子様が動いた。
「キリル…許してくれっ!」
王子様は叫びながら大地にひれ伏した。
え?
DO・GE・ZA⁉︎
キリルが目を丸くして。
サニタがあんぐりと口を開けている前で。
金髪王子様はなんとも美しい土下座をかました。
上等な服。
上等な靴。
手入れされた身体。
それが土埃の中で額を擦り付け、見事な土下座を完成している。
「俺が悪かった。
俺が考えなしなのがわかった。
呆れたのはわかる。
だが、頼む‼︎帰ってきてくれっ!
愛してる。俺にはお前しかいないんだ!
お前しか欲しくないんだっ‼︎
頼む。帰ってきてくれっ‼︎」
夫夫の序列が決まった瞬間だった。
そしてサニタの夢の恋物語が砕けた瞬間だった。
この時のサニタの顔を見た者はこう言うだろう
「あの顔、うちの馬がときどきする」
「フレーメン反応っていうんだよ」と。
こうしてキリルは夫を手に入れ。
サニタはちょっぴり現実を手に入れたのだった。
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