【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら

文字の大きさ
59 / 59
好き。って気持ちは最強

6 日は朝。朝は7時。

しおりを挟む
「「盗賊が他の領地から渡ってきたぁ‼︎」」

その報告を受けた時。
二つの頭が同時に上がった。
そう、ほとんど同時だ。

その反動で髪がふわりと動いて、額に垂れるまでの動きさえシンクロしていたので。
エルダスは腹の中で「うっわぁぁ。」と思った。
もう、こいつらのシンクロ率に血を吐きそうだ。

いちゃラブ夫夫はシンクロしている。

ひたすらキリル様を愛でてついて回るアルベルトに、胸焼けしそうだ。
ありがたい事にキリル様にはガルゼ様が付いているので、アルベルトのような子供脳にはなっていない。

二人は同時に立ち上がり、アルベルトがエルダスを見た。

領民に被害が及ぶ前に討伐するのは基本だ。
アルベルトの目から、
①  領主自らが出る場合。
②  兵を派遣する場合。
③  近隣の村で自警団を任命する場合。
を、読み取らなくてはいけない。
まぁ、アルベルトがキリル様にかっちょいい姿を見せない筈は無い。
だから勿論①が正解だ。
ついでと言うなら
①  アルベルトが単騎で出る
②  キリル様と一緒に出る
ソレによって準備も変わる。


「そろそろルーアも戦いに慣れさせよう。
執事にルーアの用意を命じてくる。
に言い含めてから、庭で合流だ。」

はい。③でしたー


キリル様の言葉になるほどと思う。
ルーア様は狩や戦闘訓練は充分しているが、人を殺傷することは未だ体験していない。

キリル様の言葉になるほどと頷いたのはアルベルトもだ。
アルベルトは人の話を良く聞く様になった。
マウント取りは、確実に疑問の余地無くキリル様の圧勝だった。
でもソレはアルベルトを喜ばせている。
もうアルベルトにとって視界の中にキリル様がいる事こそが、一番嬉しいことなのだ。多分。


「兄しゃま、行ってらっしゃい。
父しゃま、行ってらっしゃい。」

フォレア様の激励のキス&ハグを受けて。
凛々しい若獅子になりはじめたルーア様が鮮やかに笑う。
キリル様はガルゼ様の腕にいらっしゃる赤ん坊の頭にキスを落として、馬に跨った。

従者達も手を振っている。
あちこちに笑顔が咲いている。
キリルは大きく手を振った。


時は春。

全てこの世はこともなく。


                
        
     【終わり】

        *************

読んで頂き、ありがとうございました。

私のキャパはちっさかわいい物なので、めこっと新しい話が生えたらもうソレに夢中になってしまって、なかなか【完】に行き着けないのでございます。

「家に帰るまでが遠足よ!」
と先生に言われても。
校門を出た途端にふらふら寄り道する様な、困った奴なのでございます。
そんな私にとって【完】は、遥かに輝く一番星のごとく

このたび【完】が打てたのも、
正気に戻る様に感想まで頂いたおかげでございます。

本当にお付き合い、ありがとうございました。
何処かで目に留まりましたら、どうぞ声をかけてやって下さいませ。

         
しおりを挟む
感想 6

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(6件)

ころん
2025.07.15 ころん

すれ違う二人、後悔するアルベルト、キリルを探し続けるアルベルト全てが好みの作品でした!
最高です!

作者様の他の作品もこれから読もうと思ってワクワクしてます素敵な作品をありがとうございました。

2025.07.15 たまとら

すっごくすっごく嬉しいです!

ありがとうございました\(//∇//)\

解除
猫太郎
2025.04.05 猫太郎

ファンタジーサイコーー!!!キリルとアルベルトのすれ違いドキドキしましたー、最後まで一気に読みましたぁー、なんて幸せなのでしょう?!(私)本当に良いお話でした。これは読んだものにしか分からない至福の時間です

解除
turarin
2025.02.25 turarin

面白かった!!
そして、あっちこっちで、眼福、眼福。
義兄弟やガルぜとエルダスとか、ちょっと後日談があったらいいなあって思いました。
きっとガルぜって凄まじいイケオジだと思われます。ああ、好き。

2025.02.25 たまとら

ありがとうございます!
すっごくすっごく嬉しいです!

機会があれば是非読んで頂きたいです(*^^*)

解除

あなたにおすすめの小説

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

グラジオラスを捧ぐ

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
憧れの騎士、アレックスと恋人のような関係になれたリヒターは浮かれていた。まさか彼に本命の相手がいるとも知らずに……。

【完結】マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜

明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。 その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。 ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。 しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。 そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。 婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと? シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。 ※小説家になろうにも掲載しております。

王太子殿下は悪役令息のいいなり

一寸光陰
BL
「王太子殿下は公爵令息に誑かされている」 そんな噂が立ち出したのはいつからだろう。 しかし、当の王太子は噂など気にせず公爵令息を溺愛していて…!? スパダリ王太子とまったり令息が周囲の勘違いを自然と解いていきながら、甘々な日々を送る話です。 ハッピーエンドが大好きな私が気ままに書きます。最後まで応援していただけると嬉しいです。 書き終わっているので完結保証です。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」

星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。 ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。 番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。 あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、 平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。 そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。 ――何でいまさら。オメガだった、なんて。 オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。 2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。 どうして、いまさら。 すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。 ハピエン確定です。(全10話) 2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】

リトルグラス
BL
 人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。  転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。  しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。  ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す── ***  第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20) **

災厄の魔導士と呼ばれた男は、転生後静かに暮らしたいので失業勇者を紐にしている場合ではない!

椿谷あずる
BL
かつて“災厄の魔導士”と呼ばれ恐れられたゼルファス・クロードは、転生後、平穏に暮らすことだけを望んでいた。 ある日、夜の森で倒れている銀髪の勇者、リアン・アルディナを見つける。かつて自分にとどめを刺した相手だが、今は仲間から見限られ孤独だった。 平穏を乱されたくないゼルファスだったが、森に現れた魔物の襲撃により、仕方なく勇者を連れ帰ることに。 天然でのんびりした勇者と、達観し皮肉屋の魔導士。 「……いや、回復したら帰れよ」「えーっ」 平穏には程遠い、なんかゆるっとした日常のおはなし。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。