【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を

逢生ありす

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悠久の王・キュリオ編

<夢幻の王>

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(しっかりしなくては……っ! 私は使者なんだ!!)

弱い心を振り払うように顔をあげ、旋風を見据えながら加護の灯を強く握りしめた。

「我々は悠久の王キュリオ様の命を受け参上しました<使者>でございます! 貴殿の王へお目通し願いたい書簡をお持ちしました!!」

堂々と言ってのけたアレスに背後から声援を送るカイ。

「いいぞ! アレス頑張れっ!!」

ブラストたちは背後から彼の有志を穏やかな表情でみつめている。

『…………』

それまで陽気な雰囲気を漂わせていた旋風だが、急に無口になり、物々しさがひしひしと伝わってくる。

『……悠久の使者か……さっさと出しな!』

旋風がアレスの前を勢いよくかすめると、背後のブラストは精霊の王の名が記されている手紙を一通差し出した。

「我が王からの大事な書簡です。必ず精霊王へお渡しください」

『……御意』

前に進み出たブラストから旋風が手紙を巻き上げようとしたその時、また別の声が響く。
目の前に現れたのは小さな光の塊で、落ち着いた大人の女性のような声の持ち主だった。

「ブラスト教官、あれは……?」

アレスが小声で問うと彼はニッと笑った。

「彼女は光の精霊だ! 礼儀正しく、精霊王の<使者>として悠久に何度か来たこともあるぞ! ……っていっても数十年に一度だがな!!」

ふたりの会話を余所にカイは目を丸くして小さな旋風と光の塊を見つめている。

「……こいつらの体、どうなってんだ?」

『…………』

光の精霊はカイの不躾な眼差しに無言を貫く。

「カイ、彼女たちは精霊で体を持たずに魂をもつ、いわゆる自然界に存在するエネルギーの塊だ! では光の精霊殿、よろしくお願いいたします!!」

『……御意』

彼女の二言目も同じだったが、その雰囲気からは真面目な印象がよく伝わってくる。

「光の精霊殿に任せておけば心配無用だ!」

ブラストは豪快に笑いながらも、小さな二人の腕をつかみ門から遠ざけようとする。

「……きょ、教官?」

「おい……」

アレスとカイは、その力の強さに戸惑い顔を見合わせている。

「いいから行くぞ」

「はい……」

アレスが精霊の門を振り返るとすでに彼女たちの姿はなく、わずかに見えたのはぼやけた美しい大自然の景色だけだった。

(……キュリオ様が"慈悲の王"で、たしか精霊王は……"夢幻の王"だったはず。二度と戻れないとされる精霊の国……惑わせる精霊に夢と幻、か……)

言葉の意味を考えれば考えるほど、精霊王に対する謎は深まる。

「……教官、精霊王の神具とはどのようなものかご存じですか?」

ブラストは強く掴んだ腕をそのままに瞳だけをアレスへと向ける。

「……恐れ多くて俺には答えることもできんな。アレス、お前は現在(いま)の精霊王がなぜ第一位の王かわかるか? なぜキュリオ様が二位なのかを考えたことはあるか……?」
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