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初恋、やり直し
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「だって私、ずっと閉じこもってばかりで飽きちゃったんだもの」
唇を尖らせて訴える娘に、公爵は眉を下げた。
この2ヶ月、たしかにコンスタンスは全く邸から出ていない。
彼女が記憶喪失で幼い少女に戻ってしまったことは極身近な者のみが知る秘密なので外出出来ないのは仕方のないことなのだが。
「だったら私と一緒にルーデル公爵領に行きましょう?
あそこならコニーも自由に歩けるわ?」
母である公爵夫人の言葉に、公爵が大きく頷く。
「そうだ、それがいい、コニー。
私とエリアスも今の仕事が片付き次第行くから」
だがコンスタンスは膨れっ面をして首を横に振った。
「私、ヒース侯爵領に行きたいわ」
「コニー…」
まるで宥めるように、母がコンスタンスの手を取った。
「1年暮らしたかもしれないけど、今の貴女にとっては全く知らない土地なのよ?
周りの人たちだって、知らない人ばかりでしょう?」
「旦那様がいるわ。
それに、リアだって、きっと一緒に行ってくれるわ」
「でも…」
「お願いします!」
オレリアンはガバッと頭を下げた。
「絶対にお守りすると誓います!
どうか私に、2ヶ月だけ、コンスタンスをお預けください!」
公爵は腕を組み、目を閉じた。
たしかにこの先ずっとコンスタンスを邸に閉じ込めて自由を奪うわけにはいかない。
それでは、娘の幸せを願う親として本末転倒な話だ。
このまま全く社交界に顔を出さず引きこもっているとなれば、どんな噂を立てられるか知れたものではない。
だが外に出れば、突然少女のようになってしまったコンスタンスが奇異な目で見られるのは確実だろう。
また、オレリアンと離縁するにしても、王太子との婚約解消から時をおかずにヒース侯爵と結婚し、そして瞬く間に離縁となれば、世間でどんな風に言われることか。
間違いなくコンスタンスを傷つけるものであることは、想像に難く無い。
黙ってしまった公爵の代わりに、兄のエリアスが口を開いた。
「父上…、私も絶対にコニーをヒース侯爵に返すべきではないと思っていましたが…」
エリアスの言葉に、皆が彼の方を向く。
エリアスは苦しげに眉をひそめ、父と妹の顔を交互に見た。
「記憶をなくして今や幼い少女同然になってしまったコニーを外の世界から遮断し、一生公爵領に囲っておくのは簡単です。
でも、果たしてそれは本当にコニーにとって幸せなのでしょうか?
元々コニーは最高の淑女としての教育を施され、未来の王妃として、また、社交界の華として、国王の隣に立つ女性として育てられました。
残念ながらそれは幻に終わってしまいましたが、だからと言って、そのような女性を、私たち家族だけの中に閉じ込めてしまってもいいのでしょうか。
記憶は失っても、コニーはすでにもう19歳の立派な女性です。
閉じ込めていては、コニーの女性としての幸せまで奪ってしまうような気がします」
「何もずっと閉じ込めておくつもりはない。
記憶が戻ったら私だって…」
「では記憶がずっと戻らなかったら?
戻ったとしても、20年後、30年後だったら?」
「それは…」
「コニーが出たいと言っている。
それなら、私はそれが今なのではないかと思います」
そうキッパリ言い放つと、エリアスはオレリアンの方に体を向けた。
「ヒース侯爵。
あなたは本気でコニーとやり直すつもりなのですか?」
エリアスの言葉に、オレリアンは大きく頷く。
「私は元々、コンスタンスとの仲を修正したくて彼女を迎えに行きました。
それなのに、あんな事になってしまって…。
叶うのなら、最初からやり直したいと、そう思っています」
エリアスはオレリアンに軽く頷いて見せると、今度はコンスタンスの方を向いた。
「コニー、君はヒース侯爵と一緒に行きたいのかい?」
兄にたずねられて、コンスタンスも大きく頷いた。
父や兄、そして夫が話している意味は難しくてほとんどわからない。
でも、父も母も、オレリアンとコンスタンスを離縁させ、コンスタンスのことは公爵領から出さないつもりでいるらしい。
(もし離縁したら、もう旦那様には会えなくなる?そんなのは嫌…!)
以前の夫婦仲がどんなものだったかなんてコンスタンスは知らない。
でも、今目の前にいるこのオレリアンと、もう会えなくなるのは嫌だと思ったのだ。
「私、旦那様と一緒に行きたい!
お父様、お母様、お兄様!
私を旦那様と一緒に行かせてください!」
コンスタンスが立ち上がって頭を下げると、オレリアンも立ち上がり、彼女の横で深々と頭を下げた。
唇を尖らせて訴える娘に、公爵は眉を下げた。
この2ヶ月、たしかにコンスタンスは全く邸から出ていない。
彼女が記憶喪失で幼い少女に戻ってしまったことは極身近な者のみが知る秘密なので外出出来ないのは仕方のないことなのだが。
「だったら私と一緒にルーデル公爵領に行きましょう?
あそこならコニーも自由に歩けるわ?」
母である公爵夫人の言葉に、公爵が大きく頷く。
「そうだ、それがいい、コニー。
私とエリアスも今の仕事が片付き次第行くから」
だがコンスタンスは膨れっ面をして首を横に振った。
「私、ヒース侯爵領に行きたいわ」
「コニー…」
まるで宥めるように、母がコンスタンスの手を取った。
「1年暮らしたかもしれないけど、今の貴女にとっては全く知らない土地なのよ?
周りの人たちだって、知らない人ばかりでしょう?」
「旦那様がいるわ。
それに、リアだって、きっと一緒に行ってくれるわ」
「でも…」
「お願いします!」
オレリアンはガバッと頭を下げた。
「絶対にお守りすると誓います!
どうか私に、2ヶ月だけ、コンスタンスをお預けください!」
公爵は腕を組み、目を閉じた。
たしかにこの先ずっとコンスタンスを邸に閉じ込めて自由を奪うわけにはいかない。
それでは、娘の幸せを願う親として本末転倒な話だ。
このまま全く社交界に顔を出さず引きこもっているとなれば、どんな噂を立てられるか知れたものではない。
だが外に出れば、突然少女のようになってしまったコンスタンスが奇異な目で見られるのは確実だろう。
また、オレリアンと離縁するにしても、王太子との婚約解消から時をおかずにヒース侯爵と結婚し、そして瞬く間に離縁となれば、世間でどんな風に言われることか。
間違いなくコンスタンスを傷つけるものであることは、想像に難く無い。
黙ってしまった公爵の代わりに、兄のエリアスが口を開いた。
「父上…、私も絶対にコニーをヒース侯爵に返すべきではないと思っていましたが…」
エリアスの言葉に、皆が彼の方を向く。
エリアスは苦しげに眉をひそめ、父と妹の顔を交互に見た。
「記憶をなくして今や幼い少女同然になってしまったコニーを外の世界から遮断し、一生公爵領に囲っておくのは簡単です。
でも、果たしてそれは本当にコニーにとって幸せなのでしょうか?
元々コニーは最高の淑女としての教育を施され、未来の王妃として、また、社交界の華として、国王の隣に立つ女性として育てられました。
残念ながらそれは幻に終わってしまいましたが、だからと言って、そのような女性を、私たち家族だけの中に閉じ込めてしまってもいいのでしょうか。
記憶は失っても、コニーはすでにもう19歳の立派な女性です。
閉じ込めていては、コニーの女性としての幸せまで奪ってしまうような気がします」
「何もずっと閉じ込めておくつもりはない。
記憶が戻ったら私だって…」
「では記憶がずっと戻らなかったら?
戻ったとしても、20年後、30年後だったら?」
「それは…」
「コニーが出たいと言っている。
それなら、私はそれが今なのではないかと思います」
そうキッパリ言い放つと、エリアスはオレリアンの方に体を向けた。
「ヒース侯爵。
あなたは本気でコニーとやり直すつもりなのですか?」
エリアスの言葉に、オレリアンは大きく頷く。
「私は元々、コンスタンスとの仲を修正したくて彼女を迎えに行きました。
それなのに、あんな事になってしまって…。
叶うのなら、最初からやり直したいと、そう思っています」
エリアスはオレリアンに軽く頷いて見せると、今度はコンスタンスの方を向いた。
「コニー、君はヒース侯爵と一緒に行きたいのかい?」
兄にたずねられて、コンスタンスも大きく頷いた。
父や兄、そして夫が話している意味は難しくてほとんどわからない。
でも、父も母も、オレリアンとコンスタンスを離縁させ、コンスタンスのことは公爵領から出さないつもりでいるらしい。
(もし離縁したら、もう旦那様には会えなくなる?そんなのは嫌…!)
以前の夫婦仲がどんなものだったかなんてコンスタンスは知らない。
でも、今目の前にいるこのオレリアンと、もう会えなくなるのは嫌だと思ったのだ。
「私、旦那様と一緒に行きたい!
お父様、お母様、お兄様!
私を旦那様と一緒に行かせてください!」
コンスタンスが立ち上がって頭を下げると、オレリアンも立ち上がり、彼女の横で深々と頭を下げた。
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